音のプロが直伝!良い音で音楽を楽しむためには?

音にこだわるカフェやバーを訪れると気づく“良い音”。空間作りと音楽に精通するカフェオーナーの濱田大介さんと、DJのLicaxxxさんに指南してもらいました。
photo_Taro Ota(P.112~113) illustration_Ayaka Takase text_Kahoko Nishimura
〈LIFE HACK 1〉良い音を響かせる部屋を作る。
音は空気や家具、壁など物体を振動させて伝わるもの。音楽機材に詳しい濱田大介さんに、音を良くする方法を教えてもらいました。
教えていただきました

濱田大介
はまだ・だいすけ/20代からバリスタとして活動し、富ヶ谷にて〈Little Nap COFFEE ROASTERS〉などを営む傍ら、DJとしても活躍している。音楽仲間も多い。
濵田大介さんが営む〈Little Nap COFFEE ROASTERS〉のように、家でも心地よい音楽を感じたい。初心者へのおすすめを濱田さんに聞いてみると、「良い音を響かせるためには、スピーカーの種類、置く場所の基本を知り、周りの環境を整えておくことが大事」と、機器を選ぶ前に必要な“技”を教えてくれた。
一般的に、音声はステレオ(異なる2つの音源)の場合が多く、左(Left)と右(Right)に分かれたスピーカーで再生すると立体的になる。「ステレオスピーカーなら部屋の左右に、1つのスピーカーから音を出すなら部屋の中央に」。大事なのはその置き方だ。「特に低音は振動が大きく、壁や床を伝って隣家に及ぶかも。レンガや大理石ボードなど硬いものをスピーカーの下に敷いて、音の振動を抑えることでノイズも減少。また、硬い床やコンクリートの壁などは音が反響しすぎることも。壁に木の板を張り付けたり、ラグを敷いたり、“吸音”素材を使った工夫が大切です」。部屋全体に音を行き渡らせるには、できるだけ高いところに置くこともポイント。濱田さんの店ではツイーター(高音域を担うスピーカー)を天井から吊るし、店内にふわっと音を広げている。まずは手持ちのスピーカーで置き方による違いを感じてみて。

より“良い音”になる3つのポイント。
〈TIPS 1〉吸音材を配置する。

壁や床に、コンクリートや石、ガラスなど反射率の高い素材が使われていたら、窓にはブラインドではなくカーテンを、ソファにはクッションを、床にはラグを敷くなど、反響を抑えよう。
〈TIPS 2〉高い場所に置く。

「鳥のさえずりや包丁の音など、生活音の邪魔にならずBGMとして存在する音が最上級」と語る濱田さん。高い位置に置くと会話を妨げず、居心地のいい空間を演出できる。
〈TIPS 3〉不要な振動を抑える。

スピーカーが壁や家具に直接触れて余計な振動を増やさないよう、インシュレーターと呼ばれる緩衝材を設置。専用のグッズもあるが、石やブロックなど手近なものも活用できる。

〈行きたいお店〉PLACE TO GO

(リトルナップ コーヒーロースターズ)
1階には焙煎所とコーヒースタンド、2・3階は濱田さんの秘密基地。店には音楽を聞きに来る人も多い。
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-43-15
TEL:03-5738-8045
営業時間:9:00~19:00
定休日:不定休
席数:20席
〈おすすめの機材〉RECOMMENDATION
使いやすく手頃なアイテム。
「知れば知るほど沼」というオーディオ。手っ取り早く“良い音”を体感でき、通にも好まれる名品。
懐かしのラジカセが最新仕様に。

「良いスピーカーを買うと、それに合わせたアンプなど必要なものがたくさん。一つで完結する『ORION Bluetooth機能搭載 CDステレオラジカセ SCR-B9』は、電池でも動き、カラオケもできる。痒い所に手が届く機能が充実」。43,780円(ドウシシャ https://doshisha-av.com/)。
360°音が出るポータブル。

アナログ機器派の濱田さんが屋外で愛用するデジタル機器が、ポータブルスピーカー「Beosound Explore」。「側面全体から音が出るので、空間の中央に吊るしても。ちなみに、吊るす場合には緩衝材は要りません」。32,900円(Bang & Olufsen Japan0800-600-0206)。
針を落とす楽しみを知る。

いま、世界中のミュージシャンがレコード盤を発表しているが、レコードプレーヤー選びも難関。「昭和の名機の復刻版『ポータブルレコードプレーヤー GP-N3R』は、スピーカー内蔵。余計なこだわりを削ぎ落として楽しめます」。21,780円(太知ホールディングス 03-5846-7211)。
〈LIFE HACK 2〉まずはイヤホンから。段階を追って良い音を実感しよう。
“良い音”がもたらす幸福感は、まずは体験あるのみ。手近なイヤホンをランクアップさせるところから始めるのがおすすめです。
教えていただきました

Licaxxx
リカックス/1991年生まれ、「東京コミュニティラジオ」主宰。東京のクラブシーンを中心に活動し、海外のイベントにも参加するDJ、ビートメイカー。
いきなり高品質なスピーカーを買うのはビギナーにはやや難易度高め。「最初はイヤホン、その次にヘッドホンを使うと一つ感動があると思います」と教えてくれたのはDJのLicaxxxさん。「とはいえ私もプライベートに室内でヘッドホンをすることはなく、家に一つ導入するなら、テレビ周りに設置するサウンドバーが次のステップに。ある種映画も音楽を聴くようなものですが、サウンドバーから音を流すと迫力の違いを実感できるはず」
Licaxxxさんの自宅では、テレビの両脇に置いたステレオは映画や音楽を鑑賞用に、リビングと廊下の間に置く「HomePod」は部屋全体に音を行き渡らせ、BGM用にしているそう。「『HomePod』は複数あればペアリングしてくれるので、ステレオやサラウンドシステムにも。音響が整ったら、スイートスポット(音が鮮明に聞こえる場所)を見つけるのが楽しいですよ」

〈STEP 1〉移動中に聴く音楽を上質な音にしてみよう。
「イヤホンやヘッドホンは、LとRの2chから音を聞く良さを手軽に体験できるという意味でもおすすめ。そのあと家でサウンドバーを使うところまで辿り着くと、映像・音楽周りが充実してくると思います」
〈STEP 2〉“スイートスポット”を探して座ってみよう。
ちゃんとしたスピーカーを導入したら、部屋を歩き回り、音の響きが良い場所を見つけよう。「音を聞くためには、座り心地のいい椅子やソファも大事。長時間座っていられる快適さなら、音楽や映画にも没頭できます」
〈おすすめブランド〉pick up brand
上質な音とクールなデザイン。
Licaxxxさん推薦のブランドは、音が良く、ファッションやインテリアになじむ見た目も特徴だ。
Apple
「iPhone」や「MacBook」をはじめとした製品で世界中の人々に親しまれる〈Apple〉。近年イヤホンやスピーカーなどオーディオの性能も音楽のプロに認められている。「iPhoneと瞬時にペアリングしてくれ、イコライザーの設定もしやすい」
Apple
TEL:0120-993-993
https://www.apple.com/jp/
小さなイヤホンで良い音に没入。

「『AirPods Pro 2』は付け心地は今まで通りなのに、ノイズキャンセリングの質が良くなりました」。39,800円。

Licaxxxさんが主にBGM用に使っている「HomePod」。室内の大きさや反響を測って調整してくれる。各44,800円。
Bang & Olufsen
1925年にデンマークで設立された高級オーディオメーカー。クラフトマンシップを大切にしたものづくりを続け、製品はどれもエレガントだ。「音のバランスが良く、デザインは圧倒的に好み。高級なので小さいアイテムから試してみては」
Bang & Olufsen Japan
TEL:0800-600-0206
https://www.bang-olufsen.com/ja/jp/

「イヤーパッドが快適で、ノイズキャンセリングも優秀」。カラーバリエーションは3色。「Beoplay HX」84,900円。
リュックにつけてどこへでも。

P.113で濱田さんも推薦した「Beosound Explore」32,900円。防水・防塵機能も優れ、丸洗いも可能なタフさも魅力。
SONOS
2002年にアメリカ・カリフォルニア州のサンタバーバラで設立された、ワイヤレススピーカーの先駆的存在。家中の最大32部屋のヘッドホンやスピーカーを管理できる「Sonosサウンドシステム」など革新的なテクノロジーを発表してきた。
Sonos
https://www.sonos.com/ja-jp/
インテリアにも素敵になじむ。

「Sonos Arc Ultra」149,800円は〈Son
os〉史上最もパワフルなサウンドバー。「ウーファーが足せるのも良いところ」