花を愉しむ暮らし。

花を愉しむ暮らし。
LIFEHACK JOURNAL no.20 『花を愉しむ暮らし。』
花を愉しむ暮らし。
LEARN 2025.04.22
立派な花束を買わずとも、生花店で見つけたお気に入りの一輪を上手に飾る。それだけで気持ちも空間もパッと華やぐのが、花の醍醐味だ。少しでも長く花と寄り添って暮らすために、できることは?
photo_Miyu Yasuda text_Ami Hanashima
行きたいお店
The
The Little Shop of Flowers
祐天寺

「植」と「食」のあり方やライフスタイルを提案する、一軒家型の複合施設〈babajiji house〉内にある。
住所:東京都目黒区祐天寺1-22-7
電話番号:03-6452-3723
営業時間:10:00(土9:00)~19:00
定休日:水木休

〈LIFE HACK1〉行きつけの花屋さんを作ろう。

オーナー壱岐ゆかりさんから見た、今の花の愉しみ方と、一期一会にふさわしい理想の生花店の見つけ方とは?

パンデミックで花のある暮らしは少しずつ密接になり、そして現在、花はより〝選ばれる〟時代に。

花の愉しみ方を提案する、オーナーの壱岐ゆかりさんとフローリストの大塚月菜さん。

「気に入った数本を大切に愛でて、長持ちさせたい人が多くなりました。衣食住と近しい存在となり、懐が寂しくてもなぜこの花を育てたいのか、と考える人が増えたからだと思います。たった一輪でも、生産者の背景などを知って、美しい景色を守りたいという楽しみ方にシフトしている気がします」

価値ある一輪と出合うには、花屋選びも大切にしたい。年によって状況が変わる花のリアルな季節感を伝え、どう寄り添えるのか提案してくれるお店と出合ってほしい、と壱岐さん。

「例えば、昨夏の猛暑で例年1月に顔を見せ始めるミモザが今年は僅少でした。当たり前に買っていた花がない、でもその代わりに、いま旬を迎えているこの花を楽しみませんか? と気さくにコミュニケーションを取ってくれる店を見つけられるといいですね。私たちも提案するだけのスタイルではなく、お客さんのリクエストを通して情報交換をしたり、一緒に成長し合えています。どんな花が欲しいのか、使いたい花器を伝えるだけでも構いません。理想の一本とマッチする花屋に出合えれば、花をより身近に、より価値あるものに感じられるはずです」

[ なじみのフラワーショップを探すポイント ]

1:家からの距離。

近所のスーパーへ買い物、と同じようにまずは生活圏内から。飾る用途や目的が明確になれば、条件に合う一軒を探し回るのも楽しい。

2:話しやすさ。

花の産地や背景、実際に育てる時の悩みなど、フランクに話せるお店を見つけられると、また訪れたくなる。相性の良さに素直に。

3:好みの品揃え。

取り扱う花の種類だけに注目せず、花を飾る環境や生けた時の景色のイメージ、手持ちの花器に合うようなフィーリングも指針に。

仕入れたばかりの花々が、店の内外を埋め尽くすように綺麗に並ぶ。春の息吹を感じさせながら、訪れた人たちを温かく迎えていた。

〈LIFE HACK2〉少ない花でも長く愛せる。剣山を上手に使おう。

剣山=華道と堅いイメージもあるが実は一輪から美しく生けられる優れもの。
花器と組み合わせて賢く活用したい。

店に飾られていた土器に生けたのは、山採りのシンビジウムなど、わずか3本。手持ちの花瓶と長さが合わず、飾りにくい…といった悩みも、剣山さえあれば解決。剣山が入るものであれば、自宅にあるグラスや皿を花器代わりにもできる。

CHOOSE 剣山の選び方。

短い切り花も挿すだけで凛とする。花のある風景は、剣山で作ろう。

壱岐さんのお店でも販売している剣山。ほか、ホームセンターやネット通販等でも手に入る。大5,500円、中4,400円、小3,300円。

花瓶よりも水の入れ替えや掃除などの手入れが少なく、真鍮製のものなら壊れにくく一生使える。丸型が主流だが、花器のデザインによっては角型、楕円型なども使い分けたい。まずは行きつけの花屋で生けたい花と花器を伝え、剣山の型やサイズを相談してみよう。

HOW TO 剣山の使い方。

この花はどこから?〈where this flower from?〉

バラエティ豊かな花々に出合う。


同じ種類の花でも、仕入れルートによって、サイズ感や枝・ツルの付き方が違うといった個性があり、愉しみ方の幅も広がる。水揚げしたばかりの花が並ぶ入荷日のタイミングで訪れ、比較してみるのもおすすめだ。出生の見極めは難しいので、気になるものは積極的にお店の人へ聞いてみよう。

市場:規定の形やサイズで、洗練された統一感。

気候に左右されず、花暦通りに栽培されたものが中心。写真のアネモネのように花径や茎の長さなどの規格があるので、特徴を捉えやすく初心者でも扱いやすい。

産地直送:生産者の声がリアルに届く、顔が見える花。

交流のある農家から直接仕入れるため、育った環境や生産者のこだわりなどが詳しく分かり、親しみあるものに。生産背景を添えて人に贈る愉しさも見出せる。

山採り:山で自生した野性味のあるリアルな花。

成長度合いで採花のタイミングも異なるので、季節感が如実に現れる。栽培花では見られない枝の曲がりなど、個性的で自由度が高く、遊び心で生けられる面も。

使いこなす〈type of VASEs〉花の魅力を引き立てる。

花のある風景をさらに輝かせるのが花器選び。迷ったらファーストタッチは、この3種から。

ヴィンテージの作家もの

インテリアとしても優秀。
唯一無二の古い逸品を取り入れることで、花のある空間にも新旧入り混じる心地よさを感じられる。(ヴィルヘルム・ワーゲンフェルドのガラス花瓶18,000円)

デザイン性の高い花器

おもてなしの場でも活躍。
カジュアルで見栄えのするものは、ホームパーティなど、場に応じてアレンジが利くので持っておきたい。(ミントティーグラスとアイアンスタンド11,000円)

シンプルな花器

使い勝手の良さを重視。
贈られた花束をそのまま飾れるような手軽さで、ストレスなく花と長く付き合える。くびれのある花器は、どの花を生けても様になる安心感があるので使いやすい。

花と向き合う〈column〉使う場所別に荷物を分ける。

花も野菜と同じ見極めを。食に例えて身近な存在に。

毎日、店にある花の健康状態をじっくりチェックする大塚さん。

花との暮らしが縁遠くなってしまう人ほど、「茎や葉はどこまで切って良いのか」「この蕾は生かすべきか」と花に対する接し方を難しく考えすぎて及び腰になりがち。そんな時こそ、食べ物に例えて、花を身近に感じてほしいと壱岐さん。

「例えばサラダを作る時、まずは使う野菜の状態を観察して、食材と向き合いますよね。そこから腐っている部分がないか感触を確かめて、レタスは萎びているから水に浸してシャキシャキ感を出そう、トマトの傷んでいる部分は処理をしよう、と少しでもロスを減らしておいしく食べる工夫をすると思うんです。花も同じように、自分の感覚を信じてじっくり観察するとより身近に、少しでも長く愛着を持って接することができるはずです。間引く作業も花を慈しむ醍醐味なので、一緒に愉しさを見出せるといいですね」


花を長持ちさせるTODO LIST

・色や状態を観察する

・傷んだ部分を間引く

・水を入れ替える

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