ウー・ウェン先生、教えて!「鶏の青椒肉絲」と「春巻き」|真佑のお弁当奮闘日記

LEARN 2023.04.12

料理研究家のウー・ウェンさんを義母にもち、ウー・ウェンさんのクッキングサロンでアシスタントを務める井上真佑さん。ウー・ウェンさんとの日々の仕事と著書から学び、義母としてのウー・ウェンさんのアドバイスを受けながら、井上さん自身の工夫を加えて作ったお弁当の中身とは?

ウー・ウェン先生、教えて!「鶏の青椒肉絲」と「春巻き」|真佑のお弁当奮闘日記

こんにちは。すっかり春ですね。私も先生(ウー・ウェンさん)も花粉症に悩まされ続けている毎日です。毎年、お花見をしたいなと思い日程は決めるのですが、いつもその前には雨で桜が散ってしまう…私だけではないはず。花巻(はなまき)と叉焼(チャーシュー)、香味野菜、えびチリをバスケットに詰めてお花見をするのがここ何年かの目標です。 ※現時点未達成

さて、今回はついに!先生に登場していただき、私がうまくできなかった子たち(弁当のおかず)へのアドバイスをいただきます。中でも難しかった「鶏の青椒肉絲」と「春巻き」をお届け。

1品目「鶏の青椒肉絲」

ウー・ウェン先生、教えて!「鶏の青椒肉絲」と「春巻き」|真佑のお弁当奮闘日記

■材料(2人分)
鶏むね肉(皮なし)…1枚(約200g)
ピーマン…4個

※下味
黒胡椒…少々
酒…大さじ1
醤油…大さじ1/2
にんにく(すりおろし)…1片
片栗粉…大さじ1

粗塩…大さじ1/2
黒胡椒…大さじ1/4
唐辛子(輪切り)…1〜2本
太白胡麻油…大さじ1
太香胡麻油…小さじ1/2

★「ピーマンとお肉が入っていれば青椒肉絲!」の記事はこちら

1.ピーマンを切る

野菜→鶏肉の順で切ればまな板が汚れず、そのまま使えるのでピーマンから。青椒肉絲はすべての食材が棒状のため、同じ長さ、太さで揃えることがおいしく作るコツ。口に入れたときの一体感が違うのです。
「ではでは…」と長さを揃えるため、まずはピーマンの頭とお尻を切り落とし、半分に切り、中のわたを取る。そこから細切り〜とドヤ顔で進めていく私。
「これは口を出してもいいのですか?」と先生。「まず、この切り方だと周りがもったいないですよね。最小限に薄く切りましょう。また、この切り方、ワタの取り方では勢いがついたとき、そのまま手を切りそうで危なっかしいです。別に浮かせて切る必要はなく、ピーマンをまな板の上においてゆっくり切れば大丈夫です」(先生)。
確かに。近くに見えた方がやりやすいと思い、無意識に持ち上げていましたが、置いた方が安定感もあってやりやすい。

「どうせ細切りにするから、真ん中にある取りにくいワタはもう一回半分に切ればOK。ピーマンは形が湾曲していて切りにくいので、1/4にしてまっすぐな辺から切り始めたらやりやすいですし、少し押して広げればさらに切りやすくなります」(先生)。
確かに、確かに。“何でもかんでもとりあえず切る!”精神で、端から切っては「切りにくいな〜、切るの嫌いだな〜」と思っていましたが、食材に向き合い、どう切ってあげればおいしくなるかな?と考えれば、見える世界は変わるのだなと実感しました。

2.鶏肉を切る

ウー・ウェン先生、教えて!「鶏の青椒肉絲」と「春巻き」|真佑のお弁当奮闘日記

最難関!鶏の切り方。いつもぼろぼろに、太さも長さもバラバラになってしまう私。じっくり先生の手元を観察します。

「繊維にそって薄切りにしてから細切りに。よ〜く繊維を見れば、真ん中で切り替わっていることがわかります。このままでは繊維にそって薄切りにすることはむずかしいので、切り替わり部分で切断し、2つに分けましょう」(先生)。
「次に、細い部分からピーマンと同様の長さになるよう角度をつけて切っていきます」と、繊維に合わせて角度を少しずつ調整しながらさっさっさっと切っていく先生。断面を見ると、繊維にそって切っていることがよくわかります。
私は、この角度の調整が甘かったことを実感。角度をうまく調整してなかったから短いものや長いものなど、バラバラな長さのものが出来上がっていたのだなとわかりました。でも、これは練習あるのみだな…。
「全て薄く切り終わったら、1枚1枚、包丁を使ってしっかり広げながら棒状に切っていきます。広げて同じくらいの長さのものなら3枚ほど重ねて切ってもOK。大きさの揃わないものは1枚ずつ切りましょう」(先生)。
しっかり広げて、切る。言われてみれば全くしていませんでした。ピンとなっていない鶏肉を適当に重ねてざくざく大雑把に切っていく…そりゃあ、ぼろぼろのお肉になりますよね。

全部切り終わって見てみると、先生の鶏肉はくるくると丸まってお団子の用になっているものが1本もなく、ピンっとしっかり棒状になっています。次に、下味を順につけて混ぜていきますが、混ぜているときも鶏肉が棒状であることがはっきりわかる上に、ぼろぼろになることもない頼もしい鶏肉です。これは繊維にそって切れているからこそなのだなと改めて感じました。

3.炒める

フライパンに油を引き、鶏肉を炒めます。「炒めるときのポイントは、フライパンに入れたら、1本1本独立するよう箸で左右に動かして肉同士を離れさせること(最初が肝心)。炒めていると水分が出てきますが、根気よく水分がなくなるまで炒めるのが2つ目のポイント。水分を失くさないと次に入れる調味料がお肉に入っていきません」(先生)。
最初に動かして離れさせることによって、鶏肉1本1本が油でコーティングされ、しっかりまんべんなく火が通っていく。そうすると、べちゃっとした感じがなくなり、細切りお肉の良さが出てきます。
しっかりと炒めたら、粗塩・黒胡椒、唐辛子、太白胡麻油、太香胡麻油で調味し、ピーマンを投入。お肉が持つ温度を生のピーマンに渡すよう混ぜて絡めていきます。だんだんとピーマンの香りが。
「このあたりで火を止めてたから生っぽかったのか…」(私)、「それじゃサラダじゃない!」(先生)…おっしゃる通り。私は、先生の口癖「みんな肉を炒めなさすぎ、野菜は炒めすぎ」の言葉にとらわれすぎてしまい、炒めなさすぎていたようです(笑)。
ピーマンに火はきちんと入っていて生き生きしているけど、つんつんぴんぴんしておらず、しっかりしなだれてお肉と絡んでいる状態がベスト。火を止めて完成です!

ウー・ウェン先生、教えて!「鶏の青椒肉絲」と「春巻き」|真佑のお弁当奮闘日記

食べると「あ〜これこれ!」と思わず言ってしまいます。お肉とピーマンの一体感が心地よくて、ピーマンのシャキシャキ感とお肉の存在感が最高。味もしっかり絡んでいて、時間が経っても状態が変わらないからお弁当にもぴったりです。胸肉は塊だとモソモソして飽きてしまうこともありますが、この切り方をマスターすればレパートリーは無限大だなと感じました(先生の炒め物の書籍には、同じ切り方で違うレシピが紹介されています)。

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