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テレビウーマン・小山テリハの「人生は編集できない」 あなたのおばあちゃん/小山テリハの「人生は編集できない」 Learn 2022.09.01

テレビ朝日プロデューサー、ディレクターの小山テリハさん。自分や後輩の女性たちが少しでも生きやすく、でも面白い(ここ、重要!) 番組を作るために奮闘中の彼女が綴る、日々の悩みや疑問。第2回目は「あなたのおばあちゃん」。

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おばあちゃんが好きです。
一人暮らしをしてるおばあちゃんに、学生の頃は、季節ごとに会いに行きました。
春は桜を見て、夏はお墓参り、秋は誕生日を祝って紅葉を見て、年が明けたらまた会う。

子供の頃はお小遣いをくれるし、炊き込みご飯が美味しいし、二の腕を触るともちもちしてて気持ちいいから、とかで好きでした。
もちろん思春期特有の気恥ずかしくなる時期もあったし、高校、大学とどんどん会うペースは減っていきました。

就職して私は番組のいちADとしてゼロからのスタート、私はここの底辺だ、いろんな人からいろんなことを学ばないと存在する価値はない、辛くてもありがたいと思え、死ぬ手前まで働けと自己暗示をかけていたので、気づけば一気に自己肯定感が低くなり、自分の存在する意味もよくわからなくなっていました。

そんな時です。おばあちゃんの存在が大きくなっていったのは。

会えば顔を見るだけで喜んでくれる、手を握るだけで大切そうにさすってくれる、何か話せば楽しそうに頷いてくれる。
とにかく、自分が存在していることを全肯定し、喜んでくれるのです。そこに理由などない。
私が死んだら絶対にこの人は悲しむだろうと確信できる。私ってこの人のために存在してるのかもしれない。

コロナが流行り出してからは、会うのがとても怖くなってしまいました。私が会いに行って万が一何かあったらとか、会うことが不安にさせるのではないか、とか。コロナなんて少しの辛抱だと思ってたけど、全然収まる気配もない。おばあちゃんの1年と私の1年は全然価値が違うのに。歯痒い。

私のような同じ思いをしてる人が、きっと世の中にはいるはずだと思って、番組の企画にしました。

番組名は『本日のお客様は、あなたのおばあちゃんです。』おばあちゃんが孫の働く姿を見に行くという、とてもシンプルな企画です。
第1回は六本木のバーレスク東京で働く女の子に福島からおばあちゃんが会いに行き、2回目は女子プロレスラーの福岡の凱旋試合におばあちゃんが見に行ったりしました。

バーレスクという、偏見がある人もいる職業を、誇りを持ってやっている孫の姿を見て涙を流すおばあちゃん。プロレスの試合で、地元の凱旋試合で孫娘が出てきた瞬間に涙を浮かべたおばあちゃん。負けてしまった孫にかける言葉の一つ一つは、私にまで刺さりました。

たった一度の密着ですが、出会ったご家族の会話や表情をふとした時に思い出します。
この番組がなければ一生出会うことなかったであろうおばあちゃん、お孫さん、お母さんお父さん。私は外野の人間ですが、そこにある見えない歴史や絆(傷かも)のようなものが垣間見えました。
私自身、家族全員とうまくいってるとは言い難く、その温かさが、とても貴重で美しく愛おしく感じるのです。

ロケの別れ際、おばあちゃんたちに、
この仕事をしていく自分の道標になるような言葉をもらいました。

「この企画を考えてくれてありがとう。
これがなかったら、このまま一生見ずに終わってた。きっかけをくれてありがとう。
人生最後、こんな素敵な冥土の土産をもらえるなんて(笑) 」と。

テレビはマスメディアにくくられますが、
例え多くの人に何か届けたいと思ったとしても、私はこれから先、どこかで出会うかもしれない誰かひとりのために、いや一生出会うことがない誰かひとりのために番組を作っていくんだろうと思った。

一人一人の人間がそれぞれ別の道を歩いていて、ちがう何かを背負って生きてる。大切な誰かのために、何かを守ってる。
その姿を見て、勇気をもらうこともある。

私がここまで生きてこれたのは間違いなく周りの人達を除いたらアイドルやアニメなど大好きなコンテンツたちのおかげ。コンテンツ孝行なんて大それたことできる気しないけど、
これからもいろんな孝行、していきたいな。

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