言いたいコト、書きたいコトバ…混じり気ナシ! 弘中綾香の「純度100%」~第24回~ LEARN 2020.04.09

ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。前回から引き続いての初インド旅行記、いよいよインド到着!?

「インドに行ってきた」(その3)

 ということで、2月某日、私は成田空港に向かった。この原稿を書いている3月末、インド政府は日本人向けの到着ビザの発行を停止している。私が旅立った頃はまだ感染は局地的なもので、どこも誰もまだどこか他人事だった。まさか世界規模での事態になるなんて、身近に迫ることになるなんて、こんな一週間先の状況も分からないような日常が訪れるなんて、想像だにしなかった。インドは呼ばれないと行けない、という話があると言ったけれど、おい、このタイミングを逃すな、と肩を叩かれていたのかもしれない。

 時を戻そう。旅のお供、トランクの中には捨ててもいい服と靴、インド旅行には必需品というウエットティッシュとポケットティッシュ(どこのガイドブックを見ても書いてある!確かに手を拭くのはもちろん、怪しいと思う食器を拭くのにも助かった!また、トイレットペーパーがないことがしばしばあった)。読みたい本も詰めて、意気揚々とカウンターに並ぶ。と、ここで初めてAさんの上司にあたるBさんとご挨拶をさせていただく。インドに5回以上も行ったことがあるというツワモノでいらっしゃる。そんなBさん、ものすごく大きなキャリーケースを引いている。何も買うものはないだろうと思って、機内に乗せられるサイズのトランクを持ってきた私とは、全く違う。不思議に思って聞いてみると、「インドのお土産を甘く見てはいけない!」と一言。Aさんも、お洒落で可愛い雑貨や布製品が多くて、買いすぎてしまうとの声。そんな!うれしい予想外!可愛いお店はすべて押えているというので、早くもこの二人に付いていけば安心と思う私。
 
 そもそも一週間足らずとはいえ、面識のない人と空港で初めましてで一緒に海外に行くなんて、ちょっと前の私からは考えられない。知らずのうちに人と壁を作ってしまうような人間からすると、大きな挑戦だ。一見、社交的に見えるけど、実は仲良くなるのに時間がかかる、という性格はここ数年の課題というか、直したいところだった。居心地の良い環境だけに身を置いて、十年来の友達に甘えてばかりの私。いい大人がそれじゃいかんと、自分に自分で試練を与えるためにこのインド旅に飛び込んでみたのだが、今のところ、お二人とも受け入れ態勢ばっちり。こまやかに気を使ってくださり、私の挑戦なんてどこ吹く風。すぐになじめてしまった…。

 私たちのフライトは平日の朝だったこともあって、ほとんどがスーツ姿のサラリーマンばかり。ヴァカンスモードでいるのは私たちくらいでちょっと浮いていた。目的地のデリーまでは、直行便だと9時間ほどかかる。遠いと思っていた国も「えいっ」という勇気さえあれば行けるんだな、意外に近いとすら思えてしまう。疲れていたのか飛び立つ前に眠ってしまい、起きて映画を一本見たらあっという間に到着した。
 世界でも有数のハブ空港であるデリー空港の照明がやけに明るくて清潔な印象に一瞬だけ拍子抜け。イミグレで係のおじさんに「16歳にしか見えないよ!」と言われた自慢話だけ挟ませていただいて、ニヤニヤ顔のまま到着ロビーを抜けると、そこは「インド」だった。(つづく)

次回:4月24日更新予定

photo:moro_non
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【弘中のひとりごと】
zoom飲み会やってみました!気楽でいいですね。

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