街を愛する住民が通う 手土産のお店。 焼菓子がある時間。PART #5 【 AREA SAMPO 西荻窪 】
焼き菓子店が急増中の街で、店を巡る楽しい時間を。 FOOD 2022.03.10

休みが多い、行列がある、などなんのその。焼き菓子(ベイクグッズ)の店が増えているのが、西荻窪と京都。お目当ての店から店へとホッピングするのも楽しいという。

センスのいい個人店が立ち並ぶ西荻窪の中でも、ここ数年でぐっと増えたベイクショップ。2010年に開いた〈カナム〉の店主によれば、「オープン当初は焼菓子店は珍しかったのですが、今では焼菓子巡りに遠方から来る人もいるほど。お隣の吉祥寺よりもこぢんまりとした街で、ほっこりとしたベイクがなじむのかもしれません」。

住民に話を聞くと、西荻窪を愛してやまない人ばかり。だから休日にも街にいて散歩するし、手土産となれば地元のお菓子屋さんを利用することが多いという。「手土産やプチギフトにご利用くださる方が多いです」と〈オカシヤ カルフ〉の店主。目の肥えたお客も唸らせる、ちょっと良いお菓子が粒ぞろいだ。

Kies

好きなクッキーを一枚ずつカウンターから、はいどうぞ。
カウンターに並ぶ瓶詰めのクッキー、カップケーキ、レモンケーキ。一人暮らしの人も、ファミリーも、子どもたちも、どんな人でも買いやすいようにと、1個単位で販売している。こだわりは、粉の味がちゃんとするレシピ。一番のおすすめ、全粒粉のクッキーには卵を使わず、小麦とバターの香りが芳醇。

Patisserie Hosokoshi

定番を常に見直し、進化を続けるシェフの店。
日本洋菓子界の重鎮・藤生義治さんに師事したのち渡仏し、星付きレストランなどで腕を磨いた細越誠シェフ。造形の美しい生菓子はもちろん焼菓子へのこだわりも強く、自身でブレンドした小麦粉、手作りのプラリネペーストなど手間を惜しまない。通常より厚みのあるフィナンシェは中と外のコントラストが明瞭だ。丸型のマドレーヌなど日常的なお菓子もバランスよく並ぶ。

Khanam

おいしさを諦めず、体に優しいお菓子。
卵や乳製品にアレルギーがある影響で自分のための焼菓子作りをしていた店主の石橋理(ただし)さん。「10年ほど前のヴィーガンスイーツは、健康のために油や砂糖を控えたものが多くて満足感が少し足りないものでした。僕が作るのは、あえてオイルをたっぷりと使い、洗双糖でコクや香りを豊かにしたお菓子。誰にでも食べてほしいです」と話す。

OKASHIYA Karhu

シンプルで丁寧なお菓子を直接届けたい。
生活雑貨やカフェの商品開発を行っていた夫婦が独立して始めたベイクショップは、オンライン販売の頃から人気。看板のレモンケーキには、毎年訪れているという広島の農家の大長レモンを使用。果汁を搾ったり皮を削ったりという作業も手で行い、「一つ一つ丁寧にお菓子を作って届ける」のが信条だ。そのほか、お酒に合うしょっぱい系焼菓子も。

galerie non

夢の中にいるようなキュートな羊を迎えに。
“衣食住芸”をテーマに約20年営むショップに2018年、焼菓子ブランド「OK.goodies」が誕生。ココアクッキーとマシュマロを合わせた羊形の焼菓子が評判だ。パティシエのMAOさんは辻調理師専門学校を卒業したのち、フランスでも学んだ人物。都内のフルーツパーラーやレストランで働き、ここで初めて自分の味を追求している。

Amy’s Bakeshop

品の良さと無骨さを併せ持つ、大ぶりのベイク。
スパイスやお酒などを使った大人っぽいテイストを中心に50種類以上が並ぶ。「粉の旨みや重みを生かした食べ応えのあるものを焼いています」と店主の吉野陽美さん。アメリカのコーヒーショップにあるような、大胆にかぶりつけるカジュアルさと繊細さが同居。お菓子作りを始める前は空間やパッケージのデザインをしていた吉野さんだから、店内の雰囲気も素敵。

La Petite Surprise

焼菓子だってフレッシュさが大事。
「食い意地が張ってるので、おいしさのためなら手間も時間も惜しみません」と話す店主の塩見充代さんは何でも自家製し、例えばダックワーズに使うコーヒーエッセンスも手作り。カフェでいただけるショートケーキやプリンも人気だが、一つ一つ食感にこだわった焼菓子が必見。風味の鮮度を大切にするため週2日の営業で売り切る量だけを作っている。

photo : Kenya Abe text : Kahoko Nishimura

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