【京都】和菓子とペアリング4選。様々な飲み物との合わせ方を伝授。 FOOD 2022.10.08

極上の和菓子には日本茶を合わせる。そんな思い込みに縛られない、味、香り、食感などあらゆる角度から考え抜かれた4つの組み合わせ。

【抹茶のどら焼き×中国茶】〈○ 間〉中国茶特有の香りを倍増させるエッセンスをお菓子に忍ばせて。

茶&菓子のペアリングコース「茶菓」3,300円~。
茶&菓子のペアリングコース「茶菓」3,300円~。

大正末期に炭問屋として建てられた町家を改装。芸術的な空間も相まって、日本にとどまらず海外からのお茶好きも多数訪れるという話題の店が〈〇間〉だ。“現代の茶の湯スタイル”を追求するこちらでは、日本茶はもちろん中国茶、ブレンドティーなど200種以上ある多彩なお茶を、飲み比べやペアリング、一汁三菜の昼食コースなど様々な趣向で楽しめる。

「中国茶は何と言っても豊かな香りが特徴なので、香りの良さを引き立たせるお菓子を合わせています」と代表の酒井俊明さん。例えばこの日に供されたのは、「武夷岩茶石乳」という宋の時代から愛飲される希少な青茶。特有のミルキーな香りを持つこの茶には、同じくミルクの要素を持つ濃茶バターあんを使ったオリジナルのどら焼きをペアリング。ここでしか出合えない組み合わせを楽しんで。

〈○ 間〉
京都府京都市南区西九条比永城町59 (東寺)
075-748-6198
11:00~17:00(予約制)
水休 10席

【カラキ餅×コーヒー】〈Kaikado Café〉コーヒー豆に宿る果実味が、 シナモンの香りを引き立てる。

カラキ餅とコーヒーのセット1,250円。
カラキ餅とコーヒーのセット1,250円。

創業明治8年。日本で最も古い、手作り茶筒舗〈開化堂〉が営むカフェ。自社製の茶筒やシュガーポットなどが配され、その使い勝手の良さを実感できる。コーヒーは、プロからも支持を集める焙煎人・中川ワニ氏が営む〈中川ワニ珈琲〉のオリジナル中煎りブレンド。そのスペシャルな一杯に合わせるならば、おすすめは〈鍵善良房(かぎぜんよしふさ)〉に別注した“カラキ餅”。

沖縄産のシナモン=“カラキ”を生地に練り込んだ求肥の餅菓子で、食べると爽快な風味が鼻に抜ける。コーヒーのフルーティさと相性抜群だ。「もともとコーヒーにはベリーやスパイス系の風味があるもの。その香りとの調和を考えた、当店ならではの和菓子です」と店員の青木麻紗子さん。シモン香る新鮮な和菓子と、ここでしかいただけない一杯の組み合わせを体感して。

〈Kaikado Café〉
京都府京都市下京区河原町通七条上ル住吉町352(河原町七条)
075-353-5668
11:00~18:30(18:00LO) 
木休
16席(テラス15席もあり)

【氷汁粉×煎茶】〈YUGEN〉煎茶と共にいただくことで、深さが増す白餡と果物の味わい。

季節の水菓子氷汁粉とお茶のセット1,900円~。氷汁粉の果物は桃(季節で替わる)
季節の水菓子氷汁粉とお茶のセット1,900円~。氷汁粉の果物は桃(季節で替わる)

「日本茶は多くのお菓子や料理と相性がいい。2つを対等に合わせるのではなく、日本茶がお菓子を包み込むイメージでお出ししています」と、店主の須藤惟行(ただゆき)さん。和束や宇治など、京都が誇る名産地の生産者から直接買い付けた20種類以上の茶葉が店に並び、カウンターの茶房で、専属の職人が作る精進胡麻団子やおはぎなどできたての甘味メニューと共に楽しめる。

煎茶に特に相応しいと提案されたのが同店の「氷汁粉」。白餡をシャリシャリの氷と和えたものに、旬の果物と寒天、白玉が添えられた冷製汁粉で、四季を通じて人気の一品だ。「白餡や寒天の瑞々しい甘み、果物の果糖や酸味が、煎茶独特の甘みを引き立たせます」との店主の言葉通り、煎茶と共にいただくと、その奥深いうまみが口一杯に広がっていく。

〈YUGEN〉
京都府京都市中京区亀屋町146(丸太町)
075-708-7770
11:00~18:00
不定休
11席

【上生菓子×日本酒】〈喫茶 狐菴〉古くから定番の組み合わせを今も。和菓子&日本酒の一体感を堪能。

〈嘯月〉の上生菓子600円~、〈向井酒造〉伊根満開700円。
〈嘯月〉の上生菓子600円~、〈向井酒造〉伊根満開700円。

「和菓子と日本酒は、大定番の組み合わせ。共に甘みが上品で、相性が良いのです」と店主の真秀(ましゅう)さん。彼の店のメニューは日本酒とコーヒー、そして和菓子のみ。菓子は京都を代表する和菓子の名店〈嘯月(しょうげつ)〉と〈聚洸(じゅこう)〉の2店より取り寄せ。その上生菓子を前に、真秀さんが客の好みを聞きながら個別に日本酒とのペアリングを提案する。

例えば、和菓子の甘みをより引き立たせるために、対比”を意識して辛口の日本酒との組み合わせをおすすめする。また一方で、彼が大切にするのが、甘みのあるお酒を合わせるという“同調”の意識。「古代米から作られた芳醇甘口タイプの日本酒との組み合わせもおすすめ。味わいがフルーティながら熟成感も満点。上生菓子がさらにおいしくなったと驚く人も多いですよ」

〈喫茶 狐菴〉
住所:京都府京都市北区紫野上門前町66(紫野)
営業時間:15:00~20:00LO 
定休日:月火休
席数:スタンディングで7名

photo : Tomoyasu Nakao, Yoshiki Okamoto text : Kimiko Yamada

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