電力会社だって、顔の見える誰かのため&地球のために選びたい。ユニークな電力会社〈みんな電力〉が提供する豊かさ。
2020.11.30

第12回 ハナコラボSDGsレポート 電力会社だって、顔の見える誰かのため&地球のために選びたい。ユニークな電力会社〈みんな電力〉が提供する豊かさ。

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足! 毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第12回は、編集者として活躍する藤田華子さんが、電気の生産者と消費者が繋がるサービスを展開するユニークな電力会社〈みんな電力〉を取材しました。
藤田 華子
藤田 華子 / ハナコラボ/SDGsレポーター

「〈RIDE MEDIA&DESIGN株式会社〉所属。編集者としてコンテンツを制作しながら、プロジェクト〈Act for Planet〉を推進。〈DRESS〉〈暦生活〉〈ランドリーボックス〉などでエッセイの執筆も担当する。」

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国内200以上のさまざまな再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、バイオマス)の生産者と私たちを繋いでくれる〈みんな電力〉。全国200カ所以上の”顔の見える”発電所の中から応援したい発電所を選べるほか、「ふるさと納税」のように返礼品をいただけることもあるのだとか!
今回は、そもそも再生可能エネルギーとは何なのか?そしてコンセプトである「顔の見える電力™️」の魅力を、社長室プロジェクト推進1チーム・長島遼大さんと、広報担当の佐藤チェルシーさんに伺いました。〈みんな電力〉から供給される電気は、何だか優しくあたたかく感じます。

二酸化炭素を排出しない、自然の力を活用して作られる「再生可能エネルギー」

ーー基本的な質問ですが、「再生可能エネルギー」とはいったいどんなものなのでしょう?

長島さん:ざっくりいうと、自然の力を活用して作られる電気です。自然エネルギーともいうのですが、例えば太陽光、風力、水力、地熱などが当てはまりますね。化石燃料と呼ばれている石油、石炭や天然ガスは、電気を作るときに二酸化炭素を排出するのですが、再生可能エネルギーは二酸化炭素を出さずに作ることができるので環境にも優しいのです。

ーー再生可能エネルギーの反対語を考えると、再生不可能エネルギーですよね。いつかは資源が尽きてしまうということを実感します。

長島さん:おっしゃる通りで、石油や石炭は有限。使えば使うほど減ってなくなってしまいます。一方で再生可能エネルギーは、太陽光や風など自然界に常に存在するエネルギー。底を尽きることもなければ二酸化炭素を排出しないため、温暖化の心配もありません。

SDGs 藤田さん
エントランスの壁にはたくさんのコンセント!
SDGs 藤田さん
バイオマス発電で使われる木材チップのオブジェもお出迎え。

ーー〈みんな電力〉が掲げる「顔の見える電力™️」というコンセプトはどこから生まれたんですか?

佐藤さん:実は少しヨコシマなエピソードがありまして…(笑)。ある日、代表の大石英司が電車で携帯電話の充電がなくなってしまったとき、ちょうど目の前に座っていた女性がソーラー充電器をお持ちだったそうで、「この女性から電気を買えるなら200円払ってもいい!」と思ったらしいんですよね(笑)。それがきっかけとなり「電気は誰でも作れるし、生産者の想いや生産背景などが可視化できたら面白いのではないか」という発想が生まれ、「顔の見える電力™️」というコンセプトを掲げるに至りました。

ーー見事に不純な動機ですね(笑)!

佐藤さん:そうなんです(笑)。でもきっかけこそ不純だったものの、コンセプトには「顔の見えないところで誰かが泣いているのはよくない」という考えも含んでいて。たとえばアパレルなどが抱える、途上国の児童労働問題。誰がどんな想いで作っているか知らないことが、いろんな社会課題の一因なのではないかと思います。
また創業時の想いには、誰でも電気が作れるようになれば、お年寄りやお子様、障害をお持ちの方など生産人口に含まれない方にも富が分配されるのではないかというものもありますね。

ーーたしかに、パネルなどを設置すれば電気の生産者になれる、つまり不労所得が得られるんですよね。なぜまだビジネスとして広まっていないのでしょう?

長島さん:しっかり稼ぐとなると、大きなソーラーパネル設置する必要があり初期投資がかかるんですよね。たとえば小さいパネルを用意して「30分だけ充電OKです」と道端で電気を販売するなんていうのは、ハードル低く始められます。

佐藤さん:ビジネスとまでいかなくとも、たとえばおばあちゃんからお孫さんに電気を送るなど、個人で値段を決めて好きな方にプレゼントするというのもいま考えているんですよ。

毎日電気を消費しても、経済的にも気持ち的にも豊かになる

SDGs 藤田さん
〈みんな電力〉社内のオリジナル自動販売機。かわいいイラストとともに「沖縄県産 黒糖」など産地を記載。

ーー「顔の見える電力™️」を私たちが選択することで、世の中にどんな作用があるのでしょう?

長島さん:家庭から排出される二酸化炭素は、約半分が電気由来なんです。冒頭でお話しした通り、電気は基本的には石油や石炭を燃やして作っているため。それを再生可能エネルギーに替えると二酸化炭素を排出しなくなり、環境問題に大きく寄与できますね。
また、電気という目に見えないものを作る生産者さんの顔を見て、誰から買いたいか、応援したいか自分で選ぶことで、電気代を支払う納得感が生まれます。電気でさえ生産者が見えるようになれば、衣服や食料もそういう気持ちで選びたくなるのではないでしょうか。毎日の消費が経済的にも気持ち的にも豊かになる、そんな一歩なのではと思います。

佐藤さん:弊社に設置してある自動販売機も、「顔が見える」という理念のとおり、生産地がわかるようになっています。私は電気も生産者さんのお顔が見えるから節電しようとか、大切に使おうという気持ちになる。日々目まぐるしく生産背景に思いを馳せる時間が少なくなってきているいまだからこそ、そういう時間を取り戻すきっかけになればうれしいです。

SDGs 藤田さん
休耕地にソーラーパネルを設置して電気を作り、その下でお米を育てる「ソーラーシェアリング」。
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ーー日本には200ヵ所以上に発電所があると伺いましたが、おすすめの生産者さんを教えていただけますか?

佐藤さん:本当に魅力的な方ばかりなのですが…。たとえば神奈川県小田原市桑原にある〈おひるねみかん発電所〉のオーナー・小山田大和さんは、みかん農園をやられているのですが、一方で休耕地(眠っていた田んぼ)を“おひるねしていた田んぼ”ととらえてソーラーパネルを設置し、電気とお米を作る「ソーラーシェアリング」というシステムを取り入れています。ソーラーシェアリングは、太陽のエネルギーを野菜と電気でシェアすること。地域を盛り上げたいという想いで地産地消にこだわり、8回以上こちらで電気を購入するとみかんジュースをいただけたりするんですよ。お米とみかんを使って、地元の酒屋さんとコラボレーションしてリキュールを作られるなど、すごく活発ですね。
あとは福島県の〈みさき太陽光発電所〉もいいなあ。こちらは東日本大震災の津波の被害が甚大だった地域なのですが、再生可能エネルギーで元気を取り戻そうとパネルを立て、地域復興のために活動されています。

SDGs 藤田さん

ーー生産者さんのところに電気料金が入り、地域活性や復興支援になるんですね。漫然と支払っている電気料金が誰かのためになるなんて、素敵です…!

長島さん:まさしくそうなんです。僕らにとっては、発電所が主役。生産者さんもおもしろいから知ってほしいですし、選んで欲しいから電気を売っているんですよね。昨日、ちょうど神奈川県の厚木にある市民の方が自分たちで出資して建てた〈あつぎ市民発電所〉に行ってきました。そこもソーラーシェアリングを導入していて。野菜を育てたり収穫したりする農業体験はよくあると思いますが、太陽光についても一緒に考えられるんですよね。いまは学校給食にもその野菜が使われていて、どんどん輪が広がっています。

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〈BEAMS〉さんと〈丸井〉さんとの取り組み。
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ーー電気について考えるとき、こんなにワクワクしたのは初めてです…!〈みんな電力〉はこれまで、想いに共鳴された〈BEAMS〉さんや〈丸井〉さんともコラボレーションをされてきたとか?

長島:セレクトショップである〈BEAMS. JAPAN〉さんでは、日本初の「電気の店頭販売」というテーマで、電気もセレクトしようという展示をしたんです。電気のカードと一緒に、発電所の産地のものを販売しました。若い方を中心に話題になってうれしかったですし、観光でいらっしゃっていた外国の方からもとても反響がありました。
〈新宿マルイ本館〉さんは青森県の風力発電所の電気を導入されていて、店舗のサイネージなどでご紹介してくださっているほか、去年は青森県横浜町の産品と電気のカードを店頭で販売しました。また〈丸井〉さんは企業としてだけではなく、お客さまにも再生可能エネルギーを導入して欲しいという想いがあり、エポスカードと連携して電力会社の乗り換えができるシステムを作ってくださっていて。もともと5分以内で手続きはできるのですが、クレジットカードには個人情報が入っているので、1分以内で〈みんな電力〉に乗り換えられるんです。コラボレーションして〈みんな電力〉版のエポスカードも作りました。

SDGs 藤田さん

ーーここで素朴な疑問なのですが、大手の電力会社の電気とクオリティ的には変わりないものなのでしょうか?停電してしまったら困るなあと…。

佐藤さん:私たちは、日本全国の発電所から電気を仕入れてお客さまに販売する小売業。〈みんな電力〉はさまざまな発電所から電気を仕入れているんですけど、十分すぎるくらいのストックがあり、ほとんど卸売市場に流している状況なんです。電気が足りない電力会社さんは、市場で電気を買われることもあるんですよ。
また、電気がみなさまのおうちに供給されるときには共通の電線を通っていくので、電気の質はどこの電力会社でもまったく変わりはないのです。なので停電の心配もいりません。変わるのは、みなさまがお支払いする大切な電気代がどこに届くかです。

ハードルは低いのに、インパクト大。再生可能エネルギーと〈みんな電力〉の魅力

ーーお話を伺うにつれ、〈みんな電力〉に乗り換えたい気持ちに駆られているのですが、大手電力会社と比較して費用面はいかがでしょう?

佐藤さん:現在1万円前後電気代がかかっている方は、安くなる可能性がありますね。もしお高くなる場合も、毎月カフェでコーヒーを一杯飲む程度です。

長島さん:よく「アラブの石油王の懐に電気代を支払っている」なんてウワサもあり笑うのですが、大手の電力会社さんは国外から石油や石炭を輸入して発電されているところが多いので、毎月の電気料金の一部は海外に流れていくんですよね。例えば〈みんな電力〉にすることによって、月々の電気代の一部が電気料が想いをお持ちの生産者さんのところに届く。毎月、毎年という長い目で見ると、大きなインパクトになりますよね。

ーー日常生活を送るうえで、大きなアクションを起こさずともSDGsの課題解決に貢献できるのはうれしいです!そもそも、おふたりはどうして電気会社に?

長島さん:僕は新卒で〈みんな電力〉に入りました。電気というよりも「顔の見えるもの」に興味があって。大学時代に福島の有機農家さんをお手伝いしながらお話を伺う機会があり、そこで食べたお料理をすごくおいしく感じたんですよね。その農家さんが震災を乗り越えて頑張っている背景を知っていたことが大きいのではないかと感じて、そこから服や食べ物、誰がどう作っているか知りたくなったんです。生産者が見えにくい電気でさえもそんな価値観を伝えられたら、もっと世の中が豊かになるのではと思い入社しました。

佐藤さん:私はもともと客室乗務員をやっていたんです。ずっと目指していたので仕事は楽しかったのですが、体力的な問題で転職をすることを決めました。退職後そろそろ転職活動を始めるかと思ったタイミングで、知り合いから「あなたに合いそうな面白い会社があるよ!」って教えていただいたのが〈みんな電力〉。調べてみたら、何だかよくわからないけど、すごく魅力的に見えたんですよね。広報はまったくの未経験だったんですけど、客室乗務員として顔を見せてお客さまと接してきた経験と、私が顔を見せて会社のことを知っていただく・ファンを作ることは通じるものがあるのではないかと思い、勇気を出して受けました。ユニークな会社で、面接が進むうちにここで働きたい気持ちが強くなっていったんです。

SDGs 藤田さん
社内にあるスナック〈再生〉。本格的なスナックスペースには、ソーラーシェアリングで栽培されたお米で作った日本酒も。
SDGs 藤田さん
SDGs 藤田さん

ーーSDGsを考えるきっかけになる、もしくはご自身が誰かにお勧めしたいと思った本があれば教えてください。

長島さん:五十嵐大介さんの『海獣の子供』です。いまって、情報は簡単にスマホで手に入るし何でも知っているような気になるんですけど、実は視野が狭まっているだけだと思っていて。この漫画は海の中の物語で、全然知らない世界が舞台なんですよね。なので”知った気になっていた”ことをより自覚できたり、地球が愛おしい気持ちになったりしました。
個人的には、SDGsって課題を知るきっかけだと思うんです。順番を変えて、視野を広く世界を見てそこで課題を見つけたときにSDGsについて考えると、より深く考えられるんじゃないかなと。まさしく僕はこの漫画を読んだときに、自然や生き物の描写が美しくて、絶対に海を守ろうと思ったんです。それからSDGsについて知りたくなりました。

SDGs 藤田さん

長島さん:もう一冊は菅付雅信さんの『物欲なき世界』です。最近、物欲やモノを所有したいという欲が薄れてきているなと個人的に思っていて。そう考えたときに電気は行き着く先なんですよね。モノとして持つわけではないけど、この発電所から買っているということにすごく満足感がある。改めて電気っておもしろいなと思います。

佐藤さん:私はミヒャエル・エンデの『モモ』ですね。人間から時間を奪っていく時間泥棒と戦うお話なんですけど、時間を節約するうちに大切なものを見失ってしまい、逼迫していく。豊かさってなんだろうって考えさせられることは、SDGsに通じるのではないかと思います。私の中で豊かじゃない状態は選択肢がないことだと定義していて。せかせかした環境や時間の使い方によって選択肢が減っていくのはよくないと思いますね。

ーー今後やってみたいこと、ビジョンなどを教えてください!

長島さん:やりたいのは、アプリなどで「明日はどこから電気を買おうかな」と簡単に選べるようになる世界観を作ることですね。例えば自分のお気に入りの生産者さんのところに「ソーラーシェアリング」で作った野菜を買いに行くとか。電気を通した繋がりで、第二の故郷のように安心できる場所が増えるといいなと思います。

佐藤さん:会社としては電気だけではなく、空気、家、土地など「顔の見えるライフスタイル」が広がればいいなと思っています。誰かがどんなふうに作っているか知ることは、生活の豊かさに繋がるのではないかという想うからです。あとは、自分が関わってきたものに再生可能エネルギーを差し込んでいくという野望も。空港で再生可能エネルギーを使ってもらったり、私は「チェルシー」という名前なので、〈明治〉さんのキャンディ「チェルシー」を再生可能エネルギーで作ったり(笑)。いつか叶えられたらうれしいです。

〈みんな電力〉

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