『伊藤家の晩酌』~番外編/“大人のラムネ”ともいわれる発泡感が人気の「風の森」シリーズから~
2020.09.13

第56回 娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~番外編/“大人のラムネ”ともいわれる発泡感が人気の「風の森」シリーズから~

弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 番外編として、奈良県の人気酒造から、今飲むべき旬な3本をご紹介。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)
伊藤 ひいな
伊藤 ひいな / 唎酒師

「東京生まれの23歳。大学入学時から割烹料理店でアルバイトをはじめ、20歳のお酒の解禁とともに日本酒にハマる。唎酒師の資格も取得し、日本酒の知識を増やすべく日々邁進中。父はHanakoをはじめ多くの雑誌で引っ張りだこの人気フォトグラファー、伊藤徹也。酒好き気質は間違いなく父親譲り!」

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娘・ひいな(以下、ひいな)「前回登場してもらったナツ・サマーさんにいただいたTシャツを着て張り切っていきます!」
父・徹也(以下、テツヤ)「ひいな、めちゃくちゃ似合ってるね」
ひいな「父娘でペアルックだね」
テツヤ「いいね」

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ナツ・サマーさんからもらったTシャツを着て。父・テツヤはすでに酔っ払ってます(笑)。

ひいな「今回は番外編です! 大好きなお酒『風の森』を造っている油長酒造さんのお酒を3本、ご紹介します!」
テツヤ「沖縄のパン屋〈宗像堂〉の隣でやってるお店でさ、〈LIQUID〉っていうお店があって、そこが『風の森』を全種類いれてるの。店主の村上さんも呼びたかったんだけどね。今回は、featuring〈LIQUID〉ってことで!」
ひいな「奈良のお酒なのに、沖縄に全種類あるんだよね。おしゃれ酒屋の最高峰って感じの場所」

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日本酒発祥の地といわれる奈良で伝統と革新の酒を造り続ける油長酒造。中でも今一番旬な3本を、沖縄にあるセレクトショップ〈LIQUID〉にセレクトしてもらいました。

テツヤ「同じ蔵から出ているお酒なのに、ラベルだけでもぜんぜん違うねぇ」
ひいな「今回は〈LIQUID〉さんに『風の森』から2本と『鷹長』っていう菩提もと(ぼだい)のお酒を教えてもらったよ」
テツヤ「菩提もとは初めて聞くね」
ひいな「あとで教えるね。油長酒造のお酒はね、○○採りってよく使うんだけど」
テツヤ「それはお酒の搾り方だな?」
ひいな「その通り! 奈良県のお酒って古いイメージあるでしょ?」
テツヤ「そうなの? 実はさ、47都道府県全部回ったんだけど、一番最後に行ったのが奈良なの。普通、修学旅行とかでみんな行く場所でしょ?」
ひいな「そうだったんだ。奈良はね、日本酒誕生の地なの」
テツヤ「初耳! 歴史があるんだね。さすが奈良!」

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ひいな「『風の森』って聞いたことある?」
テツヤ「もちろん!」
ひいな「『風の森』の定義があってね。全量、濾過器やフィルターを通さず無濾過。一切火入れしない、割り水をしない生原酒。全量純米酒で、アルコール添加をしないお酒なの」
テツヤ「なるほど。米の旨さを感じる酒なわけだな。ひいなはどうして『風の森』が好きなの?」
ひいな「やっぱり、元気のあるピチピチ感のあるお酒にハマったからかな」
テツヤ「へぇ!」

番外編1本目は、プチプチとした発泡感と甘口なのにキレのある「風の森 秋津穂657 真中採り」から。

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「風の森 秋津穂657 真中採り」720ml 1350円(税別・ひいな購入時価格)/油長酒造株式会社

テツヤ「ポン!とすごい勢いで栓が飛んだね!」
ひいな「夏は特に『風の森』は飛ぶんだよねぇ〜」
テツヤ「そうなんだ。『風の森』ってさ、名前がいいいよね」
ひいな「奈良県のお酒って渋いイメージがあるんだけど、『風の森』が奈良のお酒だって聞いて驚愕したのが3年前。お酒飲むようになってすぐの頃、『仙禽』と『風の森』を教わったんだけど、この『真中採り』っていうのは『なかどり』のことなの。第2回の『仙禽』でも紹介したよね。最初の『あらばしり』と最後の『責め』をカットして、真ん中の部分を詰めたのが『真中採り』」
テツヤ「すごい発泡だな。温度が上がったからなんだね。菩提もとも!?」
ひいな「いや、『鷹長』は飛ばないから大丈夫(笑)。じゃ、まずは『真中採り』から飲みましょうか」

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開ける瞬間、ポンと栓が勢いよく飛びました!
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では『風の森 真中採り』から乾杯!
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冷えた『真中採り』をワイングラスでいただきます。

ひいな&テツヤ「乾杯〜!」
テツヤ「あぁ、うんまい! これぞ『風の森』っていう味だな。初めて『風の森』を飲んだのが沖縄の〈LIQUID〉だったからさ、俺にとっては『風の森』=沖縄の酒っていうイメージなんだよね」
ひいな「珍しいよね、沖縄で奈良の『風の森』が飲めるなんて」
テツヤ「すんごい清涼感があるね」
ひいな「うん、あるある」
テツヤ「このさわやかさがいいねぇ。沖縄の風が吹いてくる感じがするよ」
ひいな「『風の森』だけに(笑)」
テツヤ「でもさ、どこで初めて飲んだかとか、どこで出会ったかっていうのも大事じゃない?」
ひいな「記憶に残るシチュエーションってあるよね。これは、“大人のラムネ”っていわれるのもわかる」
テツヤ「あぁ、その表現もらった! でも、しっかり苦味もあって、甘口と思いきやキレがある感じで、ちゃんと日本酒らしさも感じるよね」
ひいな「『風の森』ってプチプチとした発泡感だけピックアップされがちなんだけど、ちゃんと苦味もあるっていうのがいいよね」
テツヤ「『真中採り』でもこんなに発泡感あるんだ。ラベルにも抜栓時の注意書きがあるくらいだもんね」

続いて2本目は、すっきりとした飲み口の特別編「風の森 ALPHA TYPE1 DRY」。

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続いて2本目は、すっきりとした飲み口の特別編「風の森 ALPHA TYPE1 DRY」。

ひいな「次は『ALPHA』です。『風の森』の中でも実験的な新たな挑戦シリーズなんだけど、いろいろタイプがあって、これは『TYPE1』のドライタイプなのね。挑戦シリーズのさらに挑戦って感じかな。ドライっていうだけあって『風の森』のなかでは辛口め」
テツヤ「つまり、『風の森』の定番があって、ちょっと冒険したやつが『ALPHA』シリーズで、その中でもさらに冒険したやつがドライなんだな。特別編ってことか」
ひいな「しかも、低アルコールで度数は14度。さらにドライだから」

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こちらも勢いよく開きました!

テツヤ「うん、確かにすっきりしてて、さらに飲みやすいね。それにしてもすごいよな。杜氏の頭の中には、『こういう味にしたい』っていう設計図があるってことだろ? それに合わせて味の違いを造っていくんだもんな」
ひいな「1年に何度も造れるものじゃないしね」
テツヤ「本当にすごいよ」
ひいな「『風の森』はいろんなシリーズを出してるから、きっと設計図があるんだろうね」
テツヤ「杜氏に向いてるのは、センシティブすぎない人の方がいいのかもな。酒造りって、なるようにしかならないところもあるだろし」
ひいな「トライ&エラーで造って味をみての繰り返しがあって、この味にもっていくんだろうね」
テツヤ「でもこれは出せないっていうお酒ってあるのかな?」
ひいな「あるんじゃない?」
テツヤ「でもそれも、ひとつの限定酒になるわけだし、飲んでみたいよね。たとえば7人その味が嫌いな人がいたとしても3人好きな人がいて、今はその3人が大事な時代でしょ? だからおいしいっていうファンが少しでもいれば、それでいいんだよね」
ひいな「でも『風の森』は7人に好かれるお酒だと思うよ」
テツヤ「俺も7人に好かれたいわ」
ひいな「え、どういうこと(笑)?」

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酔っ払うと語り出しちゃうんですよね。

テツヤ「『風の森』の中では、ドライの方が好き♡」
ひいな「そうなんだね!」
テツヤ「軽やかで、俺はすごい好きだね」
ひいな「シュワシュワしてる〜」
テツヤ「うまくて危険だね、これ。ラムネっていうより、スポーツドリンクを炭酸で割ったみたいな」
ひいな「ラムネよりも、さらにさわやか!」
テツヤ「うん、おいしすぎるね」

最後の1本は、室町時代の醸造法から生まれた「鷹長 菩提もと純米酒 生酒」。

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「鷹長 菩提もと純米酒 生酒」720ml 1600円(税別・ひいな購入時価格)/油長酒造株式会社

テツヤ「3本目の菩提もとの味が気になるなぁ」
ひいな「昔ながらの手法で造ったお酒なんだって。室町時代に奈良県の正暦寺(しょうりゃくじ)というお寺で、菩提もとっていう造り方が生まれたんだけど」

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テツヤ「菩提もとって?」
ひいな「生米のなかに、蒸したお米を1割加えて置いておくと、乳酸性の水が出てくるらしんだけど、それを仕込み水として入れるんだって」
テツヤ「へぇ〜」
ひいな「独特の酸味やコクが生まれるんだって」
テツヤ「そりゃ気になるねぇ」
ひいな「じゃ、いただきましょ。菩提もとは平杯(ひらはい)で飲んでほしい」

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テツヤ「いただきます! うわぁ、これ熟成酒っぽいね。しっかりとした濃さがある」
ひいな「正暦寺発祥なんだけど、何蔵か集まって今も造ってるんだって」
テツヤ「すごい貴重なものなんだね」
ひいな「まったりともしすぎず、さらっともしすぎず。風の森っぽさもあるね。粘着さがないというか」
テツヤ「そうそう。スーッと消えていく感じがあるね。ほんとに風みたいに吹き抜けていく感じ。だけど、味としては濃いし旨みがすごい」
ひいな「飲み口が広い平杯で飲むと、香りが強く感じられるでしょ」
テツヤ「うん、ぜんぜん香りが違うね。日本酒の香りだ」
ひいな「明らかに違いがわかるよね」
テツヤ「これ、めちゃおいしいね。ボルドーグラスとか大きいグラスで飲みたいね」
ひいな「あぁ、華やかさが際立つだろうね」
テツヤ「これだけ香りがすごいなら絶対おいしいでしょ? 『風の森』を造ってる蔵なんだなっていうルーツも感じるね。今日の中で一番うまい。熟成感もあって。ラムネを煮詰めた感じ?」
ひいな「ラムネの炭酸感なくした感じ?」
テツヤ「さわやかさはあるけど、濃厚さがあるよね」
ひいな「この3本は〈LIQUID〉の村上さんとお話をして、油長酒造の魅力を伝えるにはどのお酒だろうということで選びました」
テツヤ「これがベスト3なんじゃないの? 他の飲んでないからわからないけど(笑)」
ひいな「タイプ違いで、いろんな味があるらしくて」
テツヤ「そうなんだ」
ひいな「この3本が象徴してる感じ?」
テツヤ「飲み比べしたいねぇ」
ひいな「〈LIQUIDO〉に行くしかないね」
テツヤ土田酒造の限定酒を飲んだ時くらいの衝撃を感じたよ。どれもうまかった!」
ひいな「ありがとう〜!」
テツヤ「終わりゆく夏を『風の森』とともに。『風の森』飲みに沖縄行きてぇ〜! でも、沖縄の風を感じられたよ!」
ひいな「よかった〜! 村上さん、ありがとうございました!」

→次回は9月20日(日)更新

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【ひいなのつぶやき】
歴史を重んじながら革新を続ける油長酒造さんを応援しています!!
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