なつかしくて、新しい場所へ。ただいま台湾、はじめまして台湾。 【ARCHITECTURE】日本の建物が今も守られている嘉義へ1日旅。 TRAVEL 2023.03.11

気軽に旅に出られる日を、どれだけ待ちわびたことだろう。海外への渡航が緩和されたらすぐに出かけたかった、あの場所。ずっと会いたかった台湾へ。日本統治時代の建物が多く残り、訪れた台湾人たちに「ただいま!」と言わせてしまう。懐かしい雰囲気でいっぱいの、嘉義 (ジャーイー) の街がお勧めです。

台北から高鐵(新幹線)で約1時間半。台南に隣接する嘉義は、かつて甲子園に出場した嘉義農林学校のエピソードを描いた映画『KANO』の舞台となり、故宮博物院南院のある街。日本統治時代に建てられた建物が今なお数多く残り、日本時代の建物をリノベーションした街づくりで台湾でも一際目立つ存在だ。その中心にいるのが、故郷を一度離れ、都市部や海外での暮らしを経験してきた若い世代の人たち。古くから残る嘉義の良さに気づき、嘉義に戻ってくる若者が増えている。そんな動きを嘉義の人たちは親しみを込めて「回嘉(ホェイジャー)」(嘉義に戻ってくるという意味。中国語の同じ発音で、家に帰るという意味の「回家(ホェイジャー)」をなぞっている)と呼ぶ。

日本で昭和ブームがあるように、台湾でも「回嘉」してきた彼らが街の魅力を牽引する。誰もが「ただいま!」と口にしてしまうような、活気ある街づくりが繰り広げられ、嘉義市もプロジェクトを立ち上げて、助成金やPRでさかんに支援し、観光資源としての老屋保存に力を入れ始めた。特に嘉義の玄関口、台鐵の嘉義駅東側にある「成仁街」(チャンニンジェー)は、最近注目のエリア。かつては劇場や画廊、画材店や洋品店などが多く、文化・芸術の街として栄え、1キロほど続く一本道には昔ながらの画廊や画材店が残る。そこにある日本統治時代の老屋をリノベしたカフェやレストランなどが次々とオープンし、古い街並みともうまく共存しながら新たな活気を生み出している。保存状態も良く、広い老屋や路地が多い嘉義のリノベーションスポットは、小さな路地がひしめく台南とは異なる雰囲気を味わうことができ、台湾リピーターにもオススメ。

日本統治時代の建物は日本人の私たちにとっても、懐かしさを感じることができる。台湾と日本、懐かしさと新しさがミックスされた雰囲気が味わえる嘉義へ、

【見る】台鐵嘉義火車站前站(タイティエジャーイーフオーチェージャンチェンジャン)

台鐵(台湾鉄路)と阿里山森林鉄路が乗り入れる駅。前站と後站の2つの駅舎からなり、前站は日本統治時代から今も現役として使用されている台湾の文化遺産のひとつ。コンコースに降り立つと、数多くの窓から差し込む光が温かく迎えてくれ、レトロな雰囲気に包まれる。高鐵嘉義駅からバスで40分。

住所:嘉義市西區中山路528號 │中山路
TEL:05-222-8904

【食べる】 桃城豆花-光華路(トウチャンドーファーグォンファールー)

嘉義名物、豆漿豆花を楽しむならここ。ヴィンテージ好きのオーナーが一目見て気に入ったという、日本統治時代に医院兼住宅として使われていた建物をリノベーションし、両親が営む豆花店の2号店に。シロップに豆漿を使った豆漿豆花40元は、長く煮込むことで濃厚かつさっぱりとした味わいに。

住所:嘉義市東區光華路65號 │ 光華路
営業時間:9:00〜22:00
定休日:水休
TEL:05-228-7789

【泊まる】Antik 旅館

嘉義市中心部にあるホステル〈Antik 旅館〉は、その名の通りアンティークの家具に包まれた空間が人気。元々産婦人科医院として使われていたご主人の実家を改装。床や壁、家具は当時のものをうまく活用し、さらにアンティーク家具がレトロ感を演出。暮らすような旅が体験できる。

住所:嘉義市西區中央第一商場39號 │ 中央第一商場
部屋数:全3室
料金:1人1泊1,200元〜
TEL:非公開

【飲む】新華美西裝社(シンフォーメイスージョンス)

「地元を盛り上げたい!」という思いから、新北や海外で修業を積んだ若きオーナーが、スーツの仕立屋だった家屋を改装し、オープンしたカフェ。オープン前から改装の様子をSNSで発信し、注目を集めた。住居として使われていた2階席の和室は、まるで家で寛いでいるかのよう。

住所:嘉義市東區成仁街80號 │ 成仁街
営業時間:11:00〜18:00
定休日:不定休
席数:15席
TEL:0919-359-158

日本時代から残る、 懐かしのおやつをお土産に

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成功食品廠-手工餅(チェンゴンシーピンビャオ ショウゴンビン)

素朴な甘さの生地に甘いクリームが特徴の〈成功食品廠-手工餅〉のビスケットは、幼い頃によく食べたものを思い出す。ここでしか買えない味を求めてお客さんが次々とやってくる人気店だ。日本統治時代の機械や型を使用した昔ながらの製法や、完全無添加にこだわり、懐かしの味を守っている。

住所:嘉義縣朴子市文明南路81號 │ 朴子市
営業時間:9:00〜17:00
TEL:05-379-7259

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朱家麻花捲-12號(シュジャーマーファージャンシュウイーハオ)
台湾の伝統的なお菓子、麻花捲は日本のかりんとうによく似ている。かりんとうより少ししっとりして甘さ控えめなものの、噛めば噛むほど味わい深くなる。ここ〈朱家麻花捲-12號〉の生地は、小麦粉と酵母のみで作られ、近所のお母さん職人たちがひとつひとつ丁寧に編み上げる。お茶やコーヒーと一緒に。

住所:嘉義市西區友忠路788巷12號 │ 友忠路
TEL:05-291-0973

photo :Sue Chang an model : Lin Hsin Yu text :Tomomi Murata coordination : Chien Tsuiwen cooperation : Taiwan Visitors Association, Tokyo Office

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