花井悠希の朝パン日誌 vol.40 京パンに会いにいこう…〈annee〉と〈fiveran〉〜京パン日誌vol.2〜 LEARN 2019.02.18

あれ?このテーマ見覚えある…?とデジャヴを感じて下さった皆さま、ご名答です!今回は去年の初夏に続き、京都の朝パン日誌第2弾と参りましょう!

前回は「四条烏丸」周辺に絞って行ってきましたが、今回は「烏丸御池」辺りを攻めてみました。ん?大きな通り一つ北上しただけじゃないかと気づいたあなたはきっと、京都好きさんですね!?(誰目線)
この烏丸御池エリア、パン屋さんの宝庫なのですよね。生憎私の行った日は定休日のお店も多かったのですが、張り巡らされた小さな通りにパン屋さんやケーキ屋さんなどギュギュッと何店も集まっているのです。京都での予定の前に、少し早起きして朝パンを求めに行ってきました!

ゆったりとした時間が流れるベーカリーカフェ…〈annee〉

〈annee〉

ー私はずっとパン屋さんのフルーツサンドが食べたかったんだ(謎にプロローグ風)。

あそこのカフェのフルーツサンド、あの喫茶店のそれ、あるいはフルーツパーラーのそれ、色々食べてみてもどうもパンの質感が気になることが多くて、なかなか自分好みなフルーツサンドに出会えず、フルーツサンドと自分の相性がきっと悪いんだろうなと半ば悟りを開きかけていた時、やってきましたフルーツサンドチャーーンス!!
調べるとフルーツサンドの画像が沢山出てくる〈annee(アネ)〉さん。朝一にお邪魔したらこの子がちゃんと待っていてくれました。イートインで朝パンしましょ。

「季節のフルーツサンド」
「季節のフルーツサンド」

この日はいちごとキウイとぶどうのフルーツサンド。食パンは、しなやかでありつつも、重さのないサラリとした表面のおかげで、クリームのコクを受け止める準備は万端です。
隙間なく均一につまったクリームは、たっぷりなのにしつこさゼロ。生クリームとクリームチーズが混ざっているそうで、きっとこのクリームチーズがキーマンなはず!フロマージュブランのようなレアチーズ感から生クリームの甘やかなクリーム感に移ろう、その境界線が滲む瞬間の多幸感といったらうっとりすること間違いなし。そ!こ!に!パンが添い寝するんです。ここでパンがパサついていたりすると一気に現実に戻されるのですが、この子はどこまでも寄り添ってくれます。口内に広がるクリームの旨みと生き生きとした果物の甘味、酸味で作り上げるストーリーに、パンがのりこんで完結させる。パン屋さんのフルーツサンド、此処に在り!でした。

「クロワッサンダマンド」
「クロワッサンダマンド」

店内でいただく時は温めてくれます。ダマンド部分はしっかり焼きが入りサブレのようにサクサクっと、クロワッサン部分はファサファサとその層を揺らしながらパリパリと歯切れよし!中心部、一番分厚い部分の内側は、アーモンドの香りがじっくり染み込んだしっとりした層が襞となり、芳しく魅惑的な香りを放ちます。口内から鼻に抜けるこの香りとテイストがなんとも甘美。サクッとお菓子感覚からのこのリッチな味わいに脳が目覚めます。端っこの、ダマンドとクロワッサンが重なる部分は、サクサク度MAX!そう、最後は軽やかに気軽なおやつ感覚でフィニッシュ。スマートなヤツです。

「アプリコットとミルククリーム」
「アプリコットとミルククリーム」

トップに塗られ焦げ目がついているのがミルククリーム。半分に切ると目視で確認できる程、みっしり詰まったアプリコット。外からの見た目以上にぎっしりと入っています。

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いつだって私はアプリコットの、可愛げが集約されたような甘酸っぱさにメロメロなのです。ちょっと歯応えのある果肉も、ちょっと様子見がちな酸味も甘みも、どれもこれもに好きが溢れちゃう。小麦が香ばしい密度高めなハード生地に、折り重なるようにそんなアプリコットが積み上げられて、トップにひと塗りされたミルククリームでほんの1エッセンスを。そこだけ食べてもわからないくらいのさりげなさに、後ろの方でクンっと滲むコク。きっとその一瞬の君がミルククリームなのだね。控えめな彼を見つけてあげてください。

「柚子胡椒ソーセージ」
「柚子胡椒ソーセージ」

一口入れるや否やチーズと柚子胡椒が駆け抜けます。それはそれは目にも止まらぬ速さで立ち上がり駆け抜けていくから、第一印象はチーズと柚子胡椒。でもこの二つとパンの生地がこんなにも相性抜群だなんて!柚子胡椒はチーズと合わせることにより和のスパイスのカテゴライズから見事に脱却しています。ハラペーニョ的なのに、旨味成分は抜群。もう、チーズと柚子胡椒合うよって、世界に伝えたい!(話がでかい)

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そこに少し遅れをとってソーセージが待って待ってと肉々しい脂をオン。美味しくないわけがありません!これを食べたらあなたもきっと、海外のホットドッグにチーズと柚子胡椒を布教したくなりますよ!

明太フランスは売り切れていたけれど…〈fiveran〉

「パティシエール」
「パティシエール」

福岡の名店「パンストック」で働いていた方のお店、〈fiveran(ファイブラン)〉。むちっとした生地は柔らかく、クリームに沿って形を変え、甘さは控えめに。真っ白なプレーンさが光ります。そこにどしっとカスタードクリームがもったりのっそり動き出しました。さらっと液体寄りなタイプでも、昔ながらのクリームパンのような硬いタイプでもない、でもとろんともたれかかってくる重さは、紛れもなくクリームが主役ですよと教えてくれます。

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手炊きされたクリームはこっくり滑らかで、甘さは決して角がなく朗らかな丸みを帯びた味わい。気づけば心もまったり、クリームのペースにのせられます。シュークリームのようにクリームを思う存分味わうためのクリームパン。

「ショコラフリュイ」
「ショコラフリュイ」

ほろ苦いカカオの生地に、みちみちとナッツとドライフルーツがたんまり。口から身体におちていくその動向がわかるほど濃いチョコレートが、生地だけでなく具材としてもしっかり入っているので、チョコレートのねっとりした感触とコクにどこをとっても出会えます。

〈fiveran〉

ツンと鼻に抜けて口内から消えてもなお居座る(大歓迎よ)オレンジピールの苦味、大ぶりのドライイチジクはぷちぷちとその身を弾かせ、くるみやピーナッツ等ナッツ類はホクホク。驚くほどジューシーなレーズンが甘酸っぱく口内を模様替えしたかと思ったら、カカオの苦みが滲むパン生地がそこにある全ての要素をなだめ、落ち着かせています。パン生地は管理人、総監督といったところでしょうか。この「ショコラフリュイ」、パンというよりフルーツたっぷりのチョコレートを食べている感覚に近いかもしれません。自分へのヴァレンタインということにして、シュトーレンのようにちびちびと一人でいただきましたとさ(それもまた人生)。

「烏丸御池」だけに絞ってもまだまだ行きたいお店がたくさん。この分じゃまだまだ続けられそうです、京パン日誌。次はいつになるかわからないけど、こちらも楽しみにしていてくださいねー!

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