ドリアン・ロロブリジーダのゆずれないもの
〜第8回〜作り笑顔のすゝめ。口角が上がれば、ウソじゃないっ! LEARN 2024.04.11

踊り場世代のドラァグクイーン、ドリアン・ロロブリジーダさんの"ゆずれない、ゆずりたくない、でも時々ゆずっちゃってるかもしれない?!大切にしているコトやモノ”をゆるーくご紹介する連載です。

ハッシュタグは#ドリゆず。あなたのゆずれないもの、なんですか?

今月のゆずれないもの/口角を常に意識すべし

Hanako WEBをお読みの皆様、ごきげんよう。ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダです。

春ですね…。雨が多いせいか、今年は一斉に咲き乱れる桜を観る機会も少なそうな気配が漂っております。皆様はお花見のご予定はあるのでしょうか。お花見といえばアタシも一つ思い出があります。アタシが若い頃に通っていたゲイバーは、毎年春になるとママやスタッフと常連のお客様たちがお花見に興じていたのですが、そのお花見は非常に凝っていて、新宿の某公園の芝生の上に大きな金屏風を立て、その前に緋毛氈(茶道の茶席やひなまつりの雛飾りで使用する赤い敷物)を敷いて、飲めや歌えやの大騒ぎを繰り広げるというもの。そこに集うのは20代から50代のゲイたち。その大多数が髪を短く切り揃え、ガタイもしっかりと鍛えており、桜と酔いも手伝ってか、皆さんなかなかに“オネエ”を丸出しです。アタシも毎年のように参加していたのですが、ある年の春、いつものようにどんちゃん騒ぎをしていると、「あら、マサキ?」と馴染みのある声が。振り返るとそこにはアタシの母が立っていました。母も友人らとお花見に来ており、我々のすぐ横にブルーシートを敷こうとしています。アタシは血の気が引きました。当時のアタシは家族にはカミングアウトをしておらず、アタシの周りにいる方々の様子を見たら、“自分の息子はどのようなコミュニティに属しているか”は一目瞭然です。一気に酔いが覚めたアタシは、頼み込んで母親のグループに移動してもらい、その場をどうにか誤魔化したのでした。それから数時間が経ったころ、母親からメールが届きました。そこには『私はもう帰ります。それにしても随分と“賑やかな”お友達ねぇ…⭐︎』という文面が。満開の桜の下で、アタシは苦笑いしか浮かべることができませんでした…。

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前置きが長くなりましたが、今回の「#ドリゆず」は“笑顔”についてのお話です。

過去の記事でも幾度となく触れているように、アタシは「口角」をいつも意識しています。ドラァグクイーンのお仕事のときも、スチール撮影やシリアスなパフォーマンスをする際にツンとお澄ましをする以外は、基本的に笑顔をお届けするようにしております。プライベートでも同様に、誰かと会うときなどは意識的に口角を上げて笑顔でいるようにしています。これにはいくつか理由があるのですが、大きく影響をしたのはアタシが大学生の時に読んだとある記事で、そこには“口角を上げることの効果”が紹介されていました。その中で興味深かったのが、「口角を上げると、脳が楽しいと錯覚して、幸せホルモン“セロトニン”が分泌される」というもの。そもそも脳は身体からの情報を元に信号を出しており、「笑顔=口角を上げる」という身体の状態を先に作り、後から「楽しい・面白い」というホルモンを出して幸福感がもたらされるとのこと。そしてそれは「作り笑顔」であっても効果が同じであることが研究でも実証されているそうなのです。アタシは中学・高校時代に、友人からの「笑顔が嘘くさい…」という指摘を受けながらも、いつも「これが百万ドルの作り笑いっ!」とうそぶいて笑顔を繰り出してきました。いろいろなことはあるけれど、なんとなくでも楽しい人生を“ごっつぁん”できているのは、この上げた口角が少しは影響しているのかもしれない…、記事を読んだときにそう感じて、それからアタシはより一層、口角と笑顔を意識するようになったのでした。

併せて読者の皆様にお伝えしたいのは、口角を上げることによる美容効果です。口角を上げることで顔の筋肉が全体的に引き上がり、表情筋が鍛えられることによって、ほうれい線やたるみ、シワの予防・改善や、頬のリフトアップ効果があったり、若々しい印象を与えることができるはず。どうしたって年を重ねてくると、顔の下半分が重力に抗えなくなってきて、「どよ~ん」とした表情になってしまいがちです。口角を上げる癖をつけるというのは、とってもお手軽な美容法じゃないかしら。そして何より、お金が一円もかからないのです♡

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とまぁつらつらと「作り笑顔」についてお話してきましたが、もちろん「本当の笑顔」ができることに越したことはありません。でも人生には様々なことが起きるし、日々を生き抜いていくことに追われていると、心から笑えることなんて一日にそう何度も訪れるものではないと思います。だからこそアタシは「笑顔をつくること」をオススメしたいのです。古臭い考えかもしれないし、とても“日本人的な”発想かもしれませんが、ちょっとしんどい出来事に直面しても、ちょっと余裕がない時でも、ちょっと踏ん張って笑顔でいられる人がアタシは好きです。強い人だと尊敬します。本当に辛い時や憤りを感じた時は存分に泣いたり怒ったりしたいですが、それまではなるべく口角を上げられる自分でありたいなぁと思っています。つよがり、虚勢、空元気。続けられればそれはもう嘘じゃないんですよ

今日の「#ドリゆず」はこんなところかしら。最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。またお目にかかれることを楽しみにしております。それでは、ごきげんよう。

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text_ Durian Lollobrigida collage_Fumiko Oda edit_Wakaba Nakazato

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