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まちをつなげるパン屋さん by Hanako1179 群馬の隠れ家ベーカリー〈Rinascimento Cafe〉へ。ひたむきに作り続けた魂の“おいしいパン”を求めて。
パンラボ・池田浩明さんによる、Hanako本誌連載「まちをつなげるパン屋さん」を掲載。今回は、群馬県藤岡市にある〈Rinascimento Cafe〉をご紹介します。
ひたむきに作り続けた魂の〝おいしいパン〞。
追い詰められた崖っぷちで、全身全霊をかけて作る。松本正廣さんのパンから感じるのは、そんな職人だけが込められる精神性だ。
店舗さえ持っていなかった。前身の〈リンカフェ〉時代、作ったパンをキッチンカーにのせ、自ら売りに出かけた。畑の真ん中に車を停めてみるが、待てど暮らせど客は来ない。怪しまれながら、通りがかりの人に声をかけ、パンを食べてもらう。作ったパンは売れ残り、ほぼそのまま持って帰る。そんな希望もない毎日。移動販売に見切りをつけ、自宅の敷地に自分で店舗を建てようとするも、建築許可が下りず、1年以上中断。その間、厨房の窓からパンを売っていた。
![_MG_0021 _MG_0021](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06155341/MG_0021-1-1536x1024.jpg)
Google Mapでもたどり着けないほど難解な場所で、異常にうまいパンを売る人がいる。そんな評判が少しずつ広がり、パンを気に入った客の中に助けてくれる人がいて、店舗が完成。〈リナシメントカフェ〉をようやくスタートさせた。
![レーズン種、ヨーグルト種、ルヴァン種。3種の自家培養発酵種と国産、仏産小麦を使用、二晩の熟成を経て作りあげるバゲット各370円。気合の一品。 レーズン種、ヨーグルト種、ルヴァン種。3種の自家培養発酵種と国産、仏産小麦を使用、二晩の熟成を経て作りあげるバゲット各370円。気合の一品。](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06154750/main-1198x1536.jpg)
パンの森をさまよい続ける。パン酵母(イースト)は使わず、発酵種を自分で育てる。その数7種。どの種を使うか、どの小麦粉を使うか、どんな発酵をとるか。昨日より今日、少しでもいいパンを、と試行錯誤を繰り返す。「パン作りって毎日単調な作業。その中で、100回に1回、1000回に1回、『これは!』と思うものを見つけることがある」
![パン売り場と、店主の松本さん。 パン売り場と、店主の松本さん。](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06154746/MG_0017-1-1536x1024.jpg)
![左:「コッペオザマンド」220円、右:「パンオティエ~MACCHA~」1,000円は季節限定商品。ほかにも、ロデヴやカンパーニュなど、ハード系で勝負する。 左:「コッペオザマンド」220円、右:「パンオティエ~MACCHA~」1,000円は季節限定商品。ほかにも、ロデヴやカンパーニュなど、ハード系で勝負する。](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06154810/MG_0026-1536x1024.jpg)
![カウンターで、パンの作り手である松本正廣さんと会話しながら、パンとコーヒーを楽しむスタイル。 カウンターで、パンの作り手である松本正廣さんと会話しながら、パンとコーヒーを楽しむスタイル。](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06154757/MG_0006-1-1536x1024.jpg)
![パン・ド・ミ使用の「厚切りトーストプレート」500円、ハンドドリップコーヒー360円。 パン・ド・ミ使用の「厚切りトーストプレート」500円、ハンドドリップコーヒー360円。](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06154803/MG_0032-1536x1024.jpg)
〈Rinascimento Cafe(リナシメントカフェ)〉
![_MG_0038 _MG_0038](https://img.hanako.tokyo/2019/12/06155100/MG_0038-1536x1024.jpg)
店主渾身のパン、サンドイッチ、コーヒーを静かに楽しむ小さなサロン。自家培養発酵種をいくつも組み合わせ、風味のハーモニーを作り出す。持ち帰り可。
■群馬県藤岡市立石1461-1
■0274-37-1083(群馬県藤岡市)
■10:00~16:00(カフェは15:00LO)日木休
■10席/禁煙
池田浩明 いけだ・ひろあき/パンラボ主宰。パンについてのエッセイ、イベントなどを柱に活動する「パンギーク」。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法』『日本全国 このパンがすごい!』など。 パンラボblog
(Hanako1179号掲載/photo:Kenya Abe)
☆前回のパン屋さん〈nichinichi〉はこちらから。