別府をぶらり。ノスタルジックに浸かる!|花井悠希の「この街この駅このパン屋」 FOOD 2023.02.02

ヴァイオリニストの花井悠希さんがお届けする、新しいカタチのパン連載。1つの駅、1つの街にフォーカスを当て、ここでしか出会えないパン屋さんを見つけていきます。

「寒い、寒い」が口癖になってしまう季節。こうも寒いと、どうにも温泉が恋しい。そして温泉が恋しくなると、一度はこの街を思い浮かべてしまうのではないでしょうか?そう、「別府」です。

今回の街…別府

大分空港からバスに乗り、別府湾を眺めながらバスに揺られていると、1時間弱の旅もあっという間。別府に降り立つと、その瞬間にどこからともなく温泉の香りが。それだけでほかぁ…とした気分を届けてくれるのだから温泉は偉大です。「別府へいらっしゃい」と歓迎を受けている気分にしてくれますね(ポジティブ)。海岸線のバス停を降り、まっすぐ進めば別府駅に到着です。

1軒目〈友永パン屋〉

別府で出会う人におすすめのパン屋さんを聞くと、みなさま口を揃えて教えてくれるのが〈友永パン屋〉。調べると、駅から徒歩10分くらいの位置にあります。そうと聞けば、いざ出陣だ!足取り軽く向かうと店の前には人だかり。うわさには聞いていたけど、すごいぜ。
土曜日ということもあるのか、お店の前をぐるりと曲がり、ざっと30人ほどは並んでいました。整理券を受け取り、列の最後にイン。人気店ゆえにお店の方のオペレーションはばっちりで、列の長さの割にサクサクと順番がまわってきました。

すぐ食べるか聞いてくれて、「食べる」と答えると焼きたてのものを渡してくれました。早速「バターフランス」をいただきます。一口食べたら、ふかーっと包まれる。なんですかこの心地よく抜ける食感は!ふわふわでもちもち、だけど空気が抜ける道は細かくて、はむっと大きく頬張るとふかーっと繊細に抜けていくのです。
柔らかくしっとりとした口当たりに、真ん中に位置するバターゾーン、塩気が効いた塩ゾーン、底のバターカリカリゾーン(ネーミングが雑)がそれぞれ炸裂してくるから、どうしよう私、錯乱しそう(危険)!バターカリカリゾーンの底にはじゃりっとした砂糖があり、カラメルのような甘さがニヤリとドヤ顔をするから、ああもう平伏しちゃうよね。恐れ入りました。

ゆるいかわいさにつられた「ワンちゃん」は翌日に。冷えても生地がおいしいな。繊細な空気の抜けも健在です。そこにたっぷりのクリーム。甘さがしっかりでとろとろなクリームは懐かしさもありつつ、どこまでもクリームに柔軟に寄り添う繊細な生地は懐かしいだけには収まらない、〈友永パン屋〉のキャラクターが光ります。
「チーズフランス」は分厚い体、密度は高いのにふかふかでこれまた気泡が細かくて繊細な軽やかさがあります。「繊細」って何回言うんだと突っ込まれてしまいそうだけど、食べたらきっとあなたも言いたくなるはず。内側に閉じ込められたナチュラルチーズはクリーミー。ぬっとりと生地のそれとは違う歯切れと口溶けで全体を導きます。これは出来立てを食べたらさらに違う感想になりそう!

〈友永パン屋〉
■大分県別府市千代町2-2
■0977-23-0969
■8:30〜17:30
■日、祝休

他にも別府のパン情報をちゃっかりゲットしたので、駅前のなんとも惹かれる商店街(!?)で見つけたパン屋さんと合わせて、まだまだパン巡りは続きます。

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