別府をぶらり。ノスタルジックに浸かる!|花井悠希の「この街この駅このパン屋」 FOOD 2023.02.02

ヴァイオリニストの花井悠希さんがお届けする、新しいカタチのパン連載。1つの駅、1つの街にフォーカスを当て、ここでしか出会えないパン屋さんを見つけていきます。

2軒目〈オニパンカフェ〉

由布院に本店があるパン屋さんの別府店。こちらは天然酵母を使い、具材も自家製にこだわって作られたパンがいただけます。別府駅の高架下〈べっぷ駅市場商店街〉をうろうろさまよっているときにたまたま見つけました。お散歩した分だけこういう出会いがあるから、街歩きって楽しい。

表面パリパリ。餃子の皮のような薄さの皮は「パリン」と軽快な音を立て、ペキペキと割れます。塩バターと名前がついているだけあって、全体の塩気が心地よい。表面のパリパリから内側へ進むと歯切れが良く、ふくよかな押し返しと共に塩気が出てきて、夢中でムシャムシャ。荒々しさのないグリッシーニのような、クセがなく小麦のドライな香ばしさが楽しめて、サクサクとテンポ良く食べてしまいました。

〈オニパンカフェ別府店〉
■大分県別府市中央町5-26 べっぷ駅市場商店街(旧南高架商店街)
■0977-88-2690
■11:30~16:00
■火水休 ※祝日は営業。

地元の方に〈友永パン屋〉以外のおすすめを聞くと、少し駅から離れたお店を教えてもらいました。リコメンドしてもらったパンをねらい撃ち!

3軒目〈あしながおじさん〉

色とりどりのケーキが並ぶ洋菓子屋さんで、地元の方に人気なのがこちらの「スイートポテト」。私の中でパイはギリギリパンということでカウントさせてください(強引)!
帰りの車内に漂う香りがすごいといううわさは聞いていたのですが、うわさに違わぬこの香り。香りからして“おいしい”がダダ漏れです。

パイのボートは2日経っても(やらかしました)サックサクで、温めればバターの風味がぷんぷん。時間が経っているのに(ごめんなさい)、なぜだか油っぽさは感じません。そこに黄金色したさつまいもフィリングが焼き芋のようなホクホクさを弾ませながらお芋の旨味をきゅっと届ける。サクサクボートが味の輪郭を縁取って、消えゆくその瞬間までバターの風味でしっかりお見送りしてくれました。

〈あしながおじさん〉
■大分県別府市鶴見7-3
■0977-26-1580
■9:00~20:00
■年末年始休

4軒目〈おひげのぱんやさん〉

「かぼちゃ好きなら、ぜひこちらの『かぼちゃあんぱん』を!」と熱烈な推薦をしていただきました。このまばゆい彩度の黄色、元気になりますね。餡子というよりは濃ゆいかぼちゃクリーム。もったり・まったり・のっそりの質感3段構えのクリームは、なめらかな口当たりなのに遠くの方でそっと囁くのです。かぼちゃの裏漉しされた繊維質たちが「ざらりざらり」と(「ざわわざわわ」のように)、かぼちゃ好きのポイントをしっかりおさえてきます。かぼちゃのまろやかな甘みからクリームのミルキーさが溢れ出てきて、しっとりとしたパン生地はというとクリーム達の守り神。寄り添い、クリームのキャラクターを守りながら1番の応援団長を務め上げておりました。

〈おひげのぱんやさん〉
■大分県別府市石垣西3-5-11
■0977-25-8832
■6:00~20:00(売り切れ次第、閉店)
■日、祝休

温泉の香りで歓迎されて(と思っている)、少しお散歩すると、気軽に立ち寄れる日帰り温泉があったり、硫黄の香りを強く感じたかと思ったら道の端で沸々と湧き上がっていたり、温泉の街にきた実感を至る所で感じられる街。心なしか別府は体感温度が少し高いような気がします(花井調べ)。〈べっぷ駅市場商店街〉には、おいしいお惣菜が並ぶ〈野田商店〉をはじめ、味のあるお店が昔の面影を残したまま立ち並び、ノスタルジックな景色に出会えるのも別府の見どころの一つ。THE温泉街といった景色とはひと味違う、生活のそばに温泉がある風景は別府ならではな気がします。駅のホームで見つけた「またお越しください」のメッセージを間に受けて、再訪を誓いました。

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