読書の秋、心揺さぶられる1冊に出合いたい。作家・鈴木涼美さんおすすめの3冊
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1. 教育やセレブ生活とは無縁、意識低い系?移住の真理。『タイ移住に挑む、アラフォー崖っぷち女子の苦難』漫画・プル子、原案・カワノアユミ

海外移住の実態はSNSでも見かけるが、多くが多額のお金をかけた教育移住やセレブ生活、あるいはその国の文化を学ぶ意識の高い人々。普通の生活を送る、どちらかというと意識の低い私にとってはかなり縁遠い世界だが、本作は多分私と同じくらいゆるゆると生きる女性ライターが、なるべく面倒ごとをさけ、楽しいナイトライフのあるパタヤで暮らすために奔走する姿を描く稀な本だ。ビザのためでも留学は面倒くさい、豪華なコンドに住むには収入もおぼつかない、そんな彼女がたまにトラブルに遭いつつ、移住を着々と進める様子は、私にもできるかも、と非常に参考になった。
2. 不妊治療クリニックで出会った女性たちの痛みと絆。『ハロー、ベイビー』著・キム・ウィギョン、訳・小山内園子

産むことや産まないことを巡る物語の存在感が日本でも世界でも増している気がする。妊娠・出産が当たり前に望まれる義務ではなくなり、その選択が個人の生き方にゆだねられるようになったぶん、産める体を抱えた現代の女性たちは自分自身の欲望と向き合わざるを得ない。日本と同じように合計特殊出生率の減少が続く韓国で、本作の舞台となるのは不妊治療専門の病院。描かれるのはこの少子化の時代に子どもを産みたい、と奮闘する女性たちだ。物語の描く痛みや失意は苦しいが、それでも残っていく女性同士の繋がりに、個人的には大きな救いを感じた。
3. 働く女二人が海を隔てて語るこの世界で愛すること。『いつか終わる恋愛の、人生への影響について』鈴木綾×ひらりさ

ロンドンと東京。より多くの人が幸福になる社会の実現を待ち望み、新年早々失恋で寝込み、話題のフェミニズム本に唸り、恋して仕事して生活する女性二人が日々思ったことや最近の関心事項などを往復書簡で綴っていく。許しがたい世界の動向や、希望になる言葉が綴られた本、自分らが重ねた恋愛や、女性であることの難しさと面白さが詰まった内容は、ごく普通に働いて、恋をして、生活している私たちが読んで、いつの間にか議論に参加しているような気分にさせてくれる。フラットな恋愛、恋の失敗、そもそも恋愛を語る意味など、深掘りして悩む夜は続く。
すずき・すずみ/著書にエッセイ『めめSHEやつら』(KADOKAWA)など。新刊『女の子未満』『悪い血』が発売中。




















