カルチャーで知るSDGs 人種差別をテーマにした本&映画リスト。あってはならない差別の「リアル」を知ろう。
なんだか難しそうと思われがちなSDGs、実は私たちの生活に身近なテーマばかり。現代社会が抱える課題について知るきっかけになる、映画やドラマ、本を紹介していきます。今回ご紹介するテーマは「人種差別」。「Black Lives Matter」の運動をきっかけに私たちの目にも入ってくるようになった人種問題。あってはならない差別の「リアル」を知る。
1.『チェルシーが考える:私と白人特権』
ユダヤ系白人のコメディアンであるチェルシー・ハンドラーが、共和党を支持する富裕層や自称貧困層の白人ラッパー、Black Lives Matterの活動家など多様な人々にインタビューする中で、アメリカにおける白人特権について考え、その恩恵を受けてきた自分の人生を振り返るドキュメンタリー。
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「優遇されてきた白人の立場から人種差別を語ることで、差別と本当に向き合わなくてはいけないのは差別をしている方ではないか?と思わされます。」
2.『トレバー・ノア: 僕はパトリシアの息子』
南アフリカ出身のコメディアンで、アメリカの人気テレビ番組『ザ・デイリー・ショー』の司会を務めるトレバー・ノア。全米で知らない人はいないほど有名人の彼が、アメリカにおけるタコスの存在や人種差別への対抗策、母から学んだという人生訓で笑わせるスタンドアップコメディ。
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「「移民を嫌っている人は、彼らの国の料理も食べちゃダメじゃない?」という彼の斬新な提案には、笑いながら心の中で盛大な拍手を送りました!」
3.『BEFORE THEY PASS AWAY -彼らがいなくなる前に-』ジミー・ネルソン 著/神長倉伸義 訳
極地に生きる人々の生活や文化を大判カメラで撮影するイギリスのフォトグラファー、ジミー・ネルソンによる写真集。世界各地を訪れ、失われつつある民族の生活風景を肖像として収録。彼らの風習や美しい工芸品を撮るだけでなく、文化の担い手である人々の内面までも映し出している。(パイインターナショナル/4,200円)
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「美しく壮大な風景の中に立つ強烈な個性を「美しい」「幻想的」だと思ってしまい、ハッとしました。これは私たちの生きる現代が抱える危機です。」
Navigators
・木村綾子(きむら・あやこ)/文筆業のほか、〈蔦屋書店〉で企画と制作を行う。『Hanako.tokyo』で「あなたに効く本、処方します。」を連載中。
・クラーク志織(クラーク・しおり)/武蔵野美術大学を卒業後、2012年にロンドンへ移住。イラストレーターとして雑誌や広告を中心に活躍中。
(Hanako1190号掲載/photo:Natsumi Kakuto text:Momoka Oba)