〈文喫〉の「オンライン選書宅配サービス」でパーソナルな読書体験。
2020.08.26

検索だけでは辿りつかないからワクワクする本の世界。 〈文喫〉の「オンライン選書宅配サービス」でパーソナルな読書体験。

入場料のある本屋さんとして話題の六本木にある書店、〈文喫〉で「オンライン選書宅配サービス」が始まりました。読んでみたい内容や知りたい情報を伝えると、〈文喫〉のスタッフがテーマに沿った本を選んで送ってくれるというこのサービス。早速利用してみましたので、サービスの魅力と選んでいただいた本をご紹介します。
野崎さおり
野崎さおり / フリーライター

「おいしいと楽しいに貪欲なフリーライター。郷土料理や外国の料理へも興味は尽きません。趣味は現代アート鑑賞とパン屋さん巡り。」

野崎さおりさんの記事一覧 →

思いがけない本と出会える「オンライン選書宅配サービス」。

六本木 文喫
〈文喫〉店内にあるカウンター。

本を読んだ方がいいのはわかっているけど、どんな本が今の自分に合うのかわからない。そんな人は書店による選書サービスを試してみてはどうでしょうか?

六本木に2018年12月にオープンして以来、入場に整理券が配られることもある人気書店、〈文喫〉。2020年4月から「拡張文喫」として、提供しているサービスの一部がオンラインでも体験できるようになりました。

その中でも注目が「オンライン選書宅配サービス」です。利用者の希望に沿った本を〈文喫〉のスタッフが選んで送ってくれるというもの。〈文喫〉の「オンライン選書宅配サービス」は2万円から1万円刻みで5万円まで4つのコースが用意されています。今回私が体験したのは2万円のサービスで、14,000円ほどの本を選んで送ってもらえます。

六本木 文喫
ネット上のヒアリングシートでは、好みのジャンルなどを選んでいきます。

このサービスはインターネットから申し込んだあと、まずオンラインで選書サービスヒアリングシートに入力していきます。ヒアリングシートでは希望する書籍のジャンル、書籍一冊あたりの金額の目安などを選択したあと、いよいよ選書のテーマとその理由や背景、普段の読書についても回答します。希望すると、スタッフの方と電話で本について話すこともできます。

六本木 文喫
本と一緒に届いた手紙。

今回お願いしたのは「次のヨーロッパ旅行に向けて柔らかく歴史に分け入る」ための本。ヨーロッパを旅行したとき「歴史をもうちょっと知っていれば!」と感じる機会が多かったので、旅行が難しい今のうちにゆっくり、できれば楽しく学べれば、と考えたことが背景です。

〈文喫〉の選書サービスでは、ヒアリングシートの内容に沿って、6名ほどのスタッフが建築・デザイン、外国文学、哲学などそれぞれ得意な分野の選書に当たっています。今回本を選んでくださったのはアート、写真、コミックスが担当で〈文喫〉の副店長を務める林和泉さんです。

電話でのヒアリングでは、具体的な書籍や作者を挙げたり、普段小説をよく読むことなどを話したりしながら、本選びのイメージをすり合わせました。「〈文喫〉ではヒアリングはしっかりした上で、お客様の好みに合わせすぎるのではなく、投げかけるような選書を心がけています」と林さん。

歴史をそれぞれの視点から見つめる6冊。

届いた本は上下巻1組を合わせて6冊でした。届いた箱の中には本のほかに手紙、さらにそれぞれの本にはコメントが書き込まれたしおりが挟み込まれています。ページをめくると箱を開いた瞬間とは、印象の違う本ばかり。しおりのコメントと一緒に紹介します。

六本木 文喫
『若い読者のための世界史(上・下) - 原始から現代まで』著・エルンスト・H・ゴンブリッチ 、訳・中村典夫(中央公論新社/上762円、下667円)
六本木 文喫

学生時代に世界史がとても苦手だったと正直に話した結果がこの上下巻のようです。読み始める前は怯みましたが、いざ本を開いてみると読者に語りかけるような文章と歴史の一場面を思い浮かばせる描写のおかげで夢中になっていきます。しおりに書かれたメッセージの通り「歴史とは壮大な物語である」と感じられるこの本は、次の旅行でどこに行くことになっても関係するページに目を通すことになりそうです。

六本木 文喫
『台所の文化史』著・モリー・ハリスン、訳・小林祐子(法政大学出版局/2,900円)
六本木 文喫

作者はロンドンにある風俗・生活に関する博物館で館長を務めた人物。家の中の仕事全般がどのように変わっていったか、古い家計簿や手紙、そして作者のシニカルなジョークを織り混ぜて生き生きと紹介しています。「家庭内で争いがあると糸巻棒が武器に使われた」という文には、声を上げて笑ってしまいました。歴史は日々の積み重ねだと改めて感じると同時に、難しそうな本の中にも楽しい世界が隠れていると教えてくれた1冊でもあります。

六本木 文喫
『アウステルリッツ(新装版)』著・W・G・ゼーバルト、訳・鈴木仁子(白水社/3,000円)
六本木 文喫

6冊の中でいちばん読み応えがあったのがこの本です。建築史家のアウステルリッツがアントワープ、ロンドン、パリなどで建築物を訪れながら自らの数奇な出自も明らかにしようとし、それを語り手の「私」に語るという構造でストーリーが進みます。20世紀のヨーロッパに生きていた誰かの時間を適度な距離で感じ、アウステルリッツが訪れた都市や建築物への興味も掻き立てられます。

六本木 文喫
『ルイジ・ギッリ』著・ルイジ・ギッリ(タカイシイギャラリー/5,800円)
六本木 文喫

20世紀後半に活躍したイタリアの写真家、ルイジ・ギッリが1970年代に撮影した作品を集めた写真集。挟まれていたしおりには「切り取った世界の一部分から物語が紡がれるよう」と書かれています。確かに各見開きページの左側中央に1枚ずつ写真が貼られ、眺めれば眺めるほど写真には写っていない周囲の様子を想像して、遠くの世界を覗き込んでいるような気分になっていきます。

六本木 文喫
『ベルリンうわの空』作・香山哲(イースト・プレス/1,000円)
六本木 文喫

まさか今のヨーロッパが舞台の漫画が含まれるとは予想外でした。漫画家でイラストレーターの香山哲さんがベルリンに移住して気がついた現代のドイツ人の気質、暮らしぶり、街の様子を中心に紹介するエッセイ漫画です。移民問題、貧富の差、ナチスドイツによって強制連行されたユダヤ人を記念した記録など、街や暮らしが歴史の流れの中にあることが移住者の視点で客観的に描かれていて、どの土地にも歴史が刻まれていると改めて感じられます。

選んでもらった6冊のおかげで、かつて学ぶことを挫折した歴史が確実に身近になり、訪れたい場所も増えました。次にヨーロッパを訪れる日が待ち遠しくてたまりません。もう少し世界の歴史を物語として触れてみたいと思うまでになったのは我ながら驚いています。

〈文喫〉の選書サービスでは、「最近読んだ面白い本を教えて!」といったリクエストにも応えることもあるとのこと。思いがけない出会いになることもある〈文喫〉の「オンライン選書宅配サービス」。あなたならどんなテーマで本を選んでもらいたいですか? 

〈文喫〉
■東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
■03-6438-9120
■9:00~21:00(20:30LO)
■入場料 1,500円、土日祝1,800円
公式サイト
「オンライン選書宅配サービス」サイト 

今月のスペシャル

いまこそ免疫UP!働く女子こそ知っておきたい“腸活”特集いまこそ免疫UP!働く女子こそ知っておきたい“腸活”特集
TOPに戻る