かつてないおいしい発見の連続。 絶品スイーツのフルコース。料理とお菓子の枠を超えた「お菓子なレストラン」〈山-yama-〉へ。 FOOD 2020.02.17

近頃にわかに増えているのが、デザートコースを楽しませる店。 今回はパリの一ツ星レストランで経験を積んだシェフパティシエ・勝俣孝一さんのレストラン〈山-yama-〉のディナーコース 12,500円(サ別)から、 一部デザートを抜粋(18種9皿前後)してご紹介します。カウンター越しに美しく生み出される無二の味わいとライブ感を、 スイーツライターのchicoさんに体感していただきました。

ここでしか味わえない非日常のおいしい体験。

勝俣孝一(かつまた・こういち)/〈アンカシェット〉を経て〈ランプラント〉では料理の研鑽も積み渡仏。パリの一ツ星レストラン〈Sola〉のシェフパティシエを務める。オーストラリアでも修業し、帰国後独立。
勝俣孝一(かつまた・こういち)/〈アンカシェット〉を経て〈ランプラント〉では料理の研鑽も積み渡仏。パリの一ツ星レストラン〈Sola〉のシェフパティシエを務める。オーストラリアでも修業し、帰国後独立。

ミニチュアみたいなクロワッサンにフォアグラプリン。リング状のショープレートに美しく並ぶ10種の小さなフード。こんなアミューズを前にしたらどうしたって心が躍る。どれからいくか悩むのも幸せだけど、まずは「朝採れたての雲」から。甘まとい抹茶を纏う一片の「雲」は、ギモーヴのようでいてもっと瑞々しく繊細。口にするとたちまちふわりと消えてしまう。雲を食べる、子供のころの無垢な夢が不意に叶った。

勝俣孝一シェフが始めたのは、パティシエの技で作る〝お菓子っぽい料理〞と〝デザート〞をコースで楽しむ「お菓子なレストラン」。「〝おいしい〞が正義ですから」と、彼はフルスイングでそこにアプローチする。「バシュラン」のバニラアイスには、希少なタヒチバニラを通常の8倍量使うと聞いて驚愕。バニラ高騰が止まらない今、お菓子屋ではありえないこともこのスタイルならできるのだ。はかなメレンゲのほろっと儚い食感の中、イチゴとレモンの果実味と重なり湧き立つバニラの色香に、スプーンが止まらなくなる。また、「おいしいものに手がかかるのは当然」と、加工品はフルーツピューレさえ一切使わない。使うのは地元山梨を中心とした日本のとびきりの素材たち。

南仏の修業先のお茶をヒントに編み出したここだけのハーブティー「アンフュージョン」には山梨〈HERB STAND〉のハーブをふんだんに。お客の好みやその日の気分を聞き、20種ほどからその人のためにブレンド。一番だしの要領でさっと引き出した香りはえぐみがなく、どこまでも澄みきっている。かつてないおいしい発見の連続に、ワクワクが止まらない。

1.〈yama〉のアミューズ

〈山-yama-〉恵比寿

持てないほど柔らかで舌にふわりと消える「朝採れたての雲」、甘じょっぱい「味噌のマカロン」、「ウニトースト」、「マイクロクロワッサン」など、可愛くも個性が光る10種がぐるり。

2.白子のアイスクリーム

〈山-yama-〉恵比寿

ひんやりとろり。醤油の香ばしさを帯びた白子アイスクリームの旨味に、三つ葉で仕立てた泡、カリフラワーピュレの香りを優しく重ねて。和の香りがホッと心を緩めてくれる。

3.カプレーゼ

〈山-yama-〉恵比寿

お口直しの小さなデザート。バジルのパンナコッタに、トマトのコンソメ(塩もみしたトマトから取り出したトマト果汁)のジュレ。ワイルドにトマト香るとろけるカプレーゼ。

4.バシュラングラッセ

〈山-yama-〉恵比寿

メインデザート。ほろほろくずれるメレンゲの器にとろりと甘酸っぱいレモンカードとイチゴマリネ、無糖の生クリーム、バニラアイスの芳潤な香りが圧巻の調和。

5.トリュフ

〈山-yama-〉恵比寿

ジュエリーボックスを開けるとLEDライトに輝くトリュフが!?その正体は竹炭をまぶした真っ黒シュー。齧れば刻んだトリュフ入りのカスタードクリームがとろり。

〈山-yama-〉

ランチとディナーは同じ内容。15:00〜の「小さなデザートコース」(3,500円)も。要予約。
■東京都渋谷区恵比寿1-26-19 B1
■03-6456-2971
■ランチ12:00〜(2月から土曜のみ)、デザート15:00〜、ディナー19:00〜(一斉スタート)不定休
■6席/禁煙

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chico(ちこ)/スイーツトレンドに精通し、記事の執筆や企画を行うほか、ギフトセレクトショップやECサイトのスイーツ監修も。共著に『東京最高のパティスリー』。

(Hanako1181号掲載/photo:MEGUMI text:chico)

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