きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

さあ、行くわよ? きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」第35回〜『マネーの虎化してるわよ』〜 Learn 2022.09.08

きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第35回は「いつメン」のお話。

『マネーの虎化してるわよ』

皆さま、ごきげんよう。

それまで当たり前だったものが、ある日を境に当たり前じゃなくなる。

そこでいったん落ち込むんですけど、それを乗り越えた先に絶対に新しい出会いがあると思っている、きゃりーぱみゅぱみゅです。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

例えば、紅白とか歌番組に出れなくなったり、フェスに出れなくなったり、またはフェスに出れたとしてもステージが小さくなったり…。それまで続いてたものが急になくなるとヘコみます。

でも、そこで「いや、出れてたことが奇跡だったんだ」とか「じゃあ、違うことに全力を出そう!」と思ってがんばると、別のプロジェクトがうまくいったりするもので、私は“断つ”ということは“目線を変える”ことと同じだと捉えています。

恋愛もそうです。ずっと元カレのことを引きずっているときは、いい人がなかなか現れなくて、もう忘れようと思ったタイミングでいい人が現れたりしますよね? 少なくとも私の人生ではそうでした。

だから、もはや当たり前になってしまった環境を続けるより、次に進むほうがいい。今回はそんな”当たり前”を変えることについてのお話です。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

どの世界でもそうだと思いますけど、やっぱり一度成功例ができてしまうと、「うちら最高だよ! うちらが一番だよ!」となって、結果的に何年も仕事のやり方やスタイルが変わらないということになりがちです。

ぶっちゃけ、私はけっこうそれが「きゃりーぱみゅぱみゅ」というプロジェクト全体でも起きているのではないかと思っています。

もちろんいつメンで、過去の成功例に従ってやったほうが、みんなスキルもあって慣れてるし、事務所も仕事を振りやすいので安心して進められます。前の私も、そうやって作られた“成立した環境”でないと、パフォーマンスに自信を持つことができませんでした。

でも、アメリカのフェス「コーチェラ」をきっかけに、そこがだんだん変わってきたんです。

ダンサーさんをはじめスタッフに体調不良者が続出したために、完全アウェーの異国のステージに一人で立たざるをえない状況になってしまった私。いつものみんながいない! だけど絶対やらなきゃいけない、一人でも成功させなきゃいけない…! あの時ほど、人生で追い込まれたことはありませんでした。

振り返ってみると、これも当たり前が当たり前じゃなくなる瞬間だったんですけど、結果的にそのピンチをチャンスにすることができて、それが自信につながったように思います。

「今の自分だったら、新しい環境だったり、新しい人たちをチームに入れても引っ張っていけるかも?」

帰国してからは、キラキラした気持ちでそう考えるようになっていきました。前からモヤッと思っていた「うちらさいこー」を変えてみようと思ったんです。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

だけど、現実はそんなに簡単じゃなかった…。

「じゃあ、具体的にどう変える?」という話から、いざ、衣装さん変えます、メイクさん変えます、ダンサーさん変えます、美術さん変えます、音響さん変えますみたいなリアルな話になると、「え、なんで?」「私はこれだけがんばってきたのに…」となってしまうんです。

人を変えて環境を変えるということは、どれだけ難しいことなのか。理想だけで事は進められない現実が立ちはだかります。

私もその人の仕事に不満があるわけではないし、むしろスキルに対してリスペクトしていますし、これまでの努力や献身に本当に感謝しています。

それに長い期間一緒にいると、その人にしかできない役割とか仕事が生まれて、その人にしかわからないことだらけになります。こっちが何も言わなくても、把握していなくても、いつも完璧に仕上げてくれます。あうんの呼吸ってやつですね。もうその人抜きでは回りません。

だけどその関係って、見方を変えると“おまかせ”でもあって、よくも悪くもお互い頼り切ってしまっている状態です。ある意味、甘えの関係であるとも思えるんです。

その当たり前がなくなってしまうのは実務的にダメージが大きいですけど、でも一緒に手をつなぎながら「うちらさいこー」してると、そのうちどんどん売れなくなっていくのは確実です。

きゃりーぱみゅぱみゅとして、より皆さんに楽しんでもらうには進化をし続けていかないといけないし、その進化のためにはやっぱり新しい人たちと仕事して、私自身も経験値を上げないといけない。

だから、ここでいったん別れてそれぞれの道へ…。

何もないところに道を切り開いていくみたいな話ですから、時には方向を間違えて、「新しくしたけど逆に最悪になった!」っていうこともあるでしょう。でも、現在の自分だったらそれでも引っ張っていけるんじゃないか? 今はそれにチャレンジしたいと思っています。

↑真剣な話をしすぎたのでここでちょっと箸休め。イカスミパスタを食べて口を拭いたら、エイの裏側みたいな顔になってました。
↑真剣な話をしすぎたのでここでちょっと箸休め。イカスミパスタを食べて口を拭いたら、エイの裏側みたいな顔になってました。

さて、とあるミュージシャンの友達も「新しい人を入れたいけど、なかなか入れられない問題」に頭を悩ませているみたいで、こんなことを言ってました。

「正直おっさんらよりも、若手の価値観や、機材選びにしても音作りにしても次世代のセンスをチームに入れたいって思ってても、おっさんは自分の仕事がなくなっちゃうのは嫌だから、下の世代に仕事を回さずに、同じ年齢層の横のつながりだらけで仕事を回しあってる」

「職人気質なところは経験豊富で頼りがいあるけど、いろいろ頭が固いから次世代チームを入れたほうがこっちも刺激になるし、成長できていいのにって思うけど、なかなか昔ながらの体制は変えられない」

そうなんですよね…。体育会的な縦が強い業界だと、上が「できない」と言いだすと、下は上に逆らえないので「俺らも無理っす…」となって、誰も代わりをやってくれなくなってしまうんですよね。まあ、ある種の“帝国”ができてしまうような状態です。

そして、この「できない」。これを言うベテランの人、まじで多い気がします。

この「できない」は、いろいろ試したり考えてみた結果の「できない」というよりも、自分は「やらない」とか「嫌だ」という意味だと私は思っています。

ただ、「できない」と言われて、その人抜きでやってみても本当にできなくて、やっぱ土下座というパターンもあるかもしれないですけどね。でも、これは必ずどこかで乗り越えなきゃいけない課題なんだと思います。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」
きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

そのミュージシャンの友達とこんな話になったのは、私がドキュメンタリー番組「ザ・ノンフィクション」のツイートをしたことがきっかけでした。人力車の回だったんですけど、人力車の会社の社長さんの言葉が響いたんです。

「みんな最初は『働かせてください』と来る。こっちも『働いてほしいな』という気持ちがあるから、両者の気持ちは一致して『一緒に頑張ろう』と働き始める」

「だけど、なんでかわからないけど、そのうち『働いてやっている』という感覚にみんな陥ってしまう。これだと完全に不一致になる。不一致の状態で働くのって、俺はやめたほうがいいと思っている」

「まじでこれや」。目からウロコが出る思いでツイートしたら、他のミュージシャンの友達からもめっちゃ熱いDMやLINEが来たんですよ。この仕事に対する“不一致”で悩んでいるミュージシャンが、こんなにいたとはちょっと驚きです。

というか、俳優の友達も「スタッフさんを変えたいけど変えづらい」みたいなことを言っていたしなあ…。変えられない問題は業界あるある、いや、ひょっとしたら日本全体であるあるな硬直化なのかもしれませんね。

たぶん「停滞」の正体って、人が変わってないってことなんだろうと思うんです。きっと新しい出会いがない状態なんです。

私自身もデビューから11年が経ち、いよいよけっこうな中堅になってきました。でも、「ずっと同じスタイルでこれ以上売れるか?」と言われると、そうは思えませんし、1日6組とか7組しか出れないフェスのメインステージから、ずっとどかないおばさんみたいな存在にはなりたくありません。

自分が進化して、しっかりヒットを出せたときにそこにまた戻れると思うし、逆に今までそこにいれたことが奇跡なんだと思います。だから、今は失敗を恐れずいろいろ挑戦していきたいんです。

きゃりーぱみゅぱみゅの 「大人なLADYになるわよコラム」

当たり前が、当たり前じゃなくなる瞬間。私のように30年近く生きている皆さんなら、少なくとも一度や二度はそんな経験をされているのではないでしょうか?

その瞬間ってとても辛いですよね。鋼のメンタラーな私でも、一日はガチでヘコみます。「うわ、もう自分には価値がないんだ。自分がやってきたことは間違ってたんだ~」って。リーダーという立場を考えると、チームのみんなの前でそんなところはなかなか見せられないですけどね。

でも、「弱音を吐いてくれるリーダーこそ、みんなついていきたくなりますよ」と、誰かに言われたことがあります。それが誰だったのかまでは思い出せません。

10年以上ずっと同じ考えの人なんていないだろうし、次のところに行くために、離れる人もいれば新しく仲間になる人もいます。

だから、お互い前に進もうよ。辛いよね。辛いし、心配になるよね。だけど大丈夫だよ? 成功体験だなんて、もともと成功とか気にしてなかったじゃん。

しっかり前へ踏み出したときに、今までとは違った自分の魅力が引き出されて、まじで新しい出会いがあるから。恋愛もそうだし仕事もそう。当たり前から当たり前じゃない、特別な関係になろうよ。

その根拠をまだなんにも証明できないんですけど、ただただそう思ってる一人のアラサー女の話でした。

過去の連載はこちら


きゃりーぱみゅぱみゅの「大人なLADYになるわよコラム」一覧

Videos

Pick Up

YUNO TAKEMURA PinterestヘアメイクアーティストYUNO TAKEMURAさんがPinterestを使う理由。ヘアメイクアーティストとしてサロンワークを中心に活動するYUNO TAKEMURAさん。私生活では、ヨガを取り入れるなど、充実したライフスタイルに憧れるフォロワーも数知れず。そんなパワフルな彼女の好奇心を日々育んでいるのがビジュアル検索ブラットフォーム。 「ブログやSNSが流行り出したのが学生時代。自然と昔からアウトプットやインプットができるツールに触れてきました。そのうちに、ピンタレストも使うようになり、気がつけば8年目。“五感派”の私にとって、すぐに言語化できない段階の感情や脳内のイメージをビジュアルによって整理してくれるピンタレストはとても便利です」 2021年に独立し、フリーになった彼女。同時にプロダクトブランド〈HOPE〉をローンチしたり、結婚披露宴のコーディネートもはじめ、活躍の幅を広げている。 「〈HOPE〉では自分が使いたいと思うものを展開しています。昔の人が使っていた“カンザシ”を、どれだけ現代のライフスタイルに溶け込ませることができるか考えた時にもピンタレストを利用しました。例えば、最初の段階では、漠然とカンザシを作りたいけれど、どういうデザインにしたいかは自分でも見えていないんです。でも、誰に使ってもらいたいか、どういう自分が身に着けたいかというイメージは頭の中にある。そんな時に、ピンタレストを開けば、どういったライフスタイルに自分が惹かれているのかがビジュアルとして上がっているので、本当に求めているディテールが明確になっていきます。そうやって探索していくうちに、想像を遥かに超えて、新しいマインドにも気づかせてくれるので、プロダクトのデザインも着地していきます。そんなふうに、求めているものをより具体的に形にしていくために、ブランドディレクションやウェディングコーディネートの仕事、そして自分自身のビジョンを思い描くビジョンボードをピンタレストで作ってます」。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.26 PR
ホールに入ってすぐの天井には大きなシャンデリアが。
6630個(!)のクリスタルガラスはアルコールのしずくを表している。文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.1「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2022.12.26 PR
Pinterest_WEB連載-3見て、考えて、作って。ピンタレストはもの作りのパートナー。美しく盛り付けられたお菓子の写真が人気を博し、SNSで計15万人以上のフォロワーを持つフードデザイナーのAi Horikawaさんは、お菓子作りはもちろん、ビジュアル制作まで手掛けている。高校生(!)のときから10年以上使っているピンタレストは、もの作りの基礎体力をつけ、今のキャリアを築くためのツールであり「もの作りのパートナーです」という、彼女のピンタレストライフとは。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.12 PR
Pinterest_WEB連載_#2-1ピンタレストは自分の視野や世界を広げるツール。人物やトラベル、企業などの広告撮影で活躍しているフォトグラファー、もろんのんさん。昨年、フリーランスになるまでは、会社員と兼業していた。そのキャリアの過程を聞いてみると。 「もともとカメラが好きというよりは、友人とのおでかけの延長線上に写真があったんです。学生時代から、『日光の紅葉を見に行こう』『国営ひたち海浜公園のひまわりを撮りに行こう』と、さまざまなところへ出向き、撮影したカットをSNSに載せていたら、Hanakoさんからお声をかけていただいて。写真の仕事を始めて8年目です」 独学でカメラを勉強してきた中、ピンタレストがおおいに役立ってきたそう。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。 Learn 2022.12.19 PR