山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」

伝えたかった、言葉たち。 山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第24回 LEARN 2022.08.05

乃木坂46を卒業し、ラジオパーソナリティ、タレント、そして、ひとりの大人として新たな一歩を踏み出した山崎怜奈さんが、心にあたためていた小さな気づきや、覚えておきたいこと、ラジオでは伝えきれなかったエピソードなどを自由に綴ります。

(photo : Chihiro Tagata styling : Chie Hosonuma hair&make : Chika Niiyama)

山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」
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「穏やかに冒険する」

自分のことばかり考えているとしんどいから、興味を外に向けた方が気楽だ。何かに没頭することで、今は考えたくない余計なことを、その時間だけは考えないで済む。まさに「浸る」という感覚で、私にとってそれはある種の癒しだ。クイズ番組に出そうな単語のウィキペディアやそれに関連する本を読みあさったり、部屋を真っ暗にしてラジオに耳を傾けたり、何時間も料理をしながら友人と電話したり。一度没頭するとまったく歯止めがきかなくて、やり始めたら体力が尽きるまでやる、極端な人間だった。

しかし最近、むさぼるように没頭する時間が、めっきり減った。文章を読むスピードが遅くなって、単行本を1冊読むのに1週間はかかる。ラジオは「生活の中で聴き流すもの」になったし、料理もすぐ出来上がるものしか作らなくなった。友人との長電話の内容は大体悩みか愚痴だったけれど(笑)、夜中の2時まで話し合うより、睡眠をちゃんと取る方を選ぶようになった。「すべてに対して全力で!」みたいな力の使い方も、できないわけじゃないけれど、激しく消耗した後の補給が大変だから、しなくなった。そのためなら、つまらない選択も、何もしない時間も、大切だ。

色々なものを激しく求め、没頭することが気晴らしになっていた頃は、それ以上に激しく傷ついたり、自分に対する失望も大きかったのだと思う。ひとりでできることなんてほとんどないのに、「完璧を目指さずに、手を抜いてやればいいんだよ」とやさしい言葉をかけてもらって「ああそうだなあ、ありがとう」と思っても、心の奥底では「いや、全部完璧にやりたいんだ」という頑固さもあった。感情の高低差も激しかったし、ネガティブな問題をともなう事態に見舞われても、様子を見たり逃げたりすればいいのに、「逃げずに立ち向かうぞ」みたいな間違った導火線に火がついてしまっていたのかもしれない。そうやって、何かに振り切ることで、自分の中で欠けたものを取り戻し、バランスを修復してきたのだと思う。

大人になってきた証なのだろうか、だんだんとこの「修復方法」が変わっていった。物事の受け取り方も変わったのか、傷つき方も少し穏やかになった。砕けるとか崩れる、もしくはそれを防ぐためにやり返す、というよりも、まあるくなったり伸びたりするスライム的な心でやわらかく受け止めて、時間をかけて消化する、みたいな受け取り方。伝わるだろうか。
なので最近の私は、穏やかに欠けていったものを、穏やかに回復させる方法を、探している。のんびりとやっていこうとしているわけじゃなくて、じっくりとアイデアを練ってから実行したり、しっかり休みを取ってから次に進んだり、そういうマイペースさを大事にできるようになった。思えば、がむしゃらに突っ走って転んで傷だらけになって、みたいな仕事の仕方をしていた頃よりも、「休むことも仕事」ということを理解し始めた頃からの方が、回り回って良い形で仕事に向き合えるようになった気がしている。

ひとりの時間も相変わらず大切で、たまたま縁がなくて読んだことがなかったマンガ「ONE PIECE」を第1巻から読んでみたり、降りる駅だけ決めて新幹線に乗ってみたりと、小さな範囲から少しずつ冒険してみている。何十回も前を通っているのに一度も入ったことのない喫茶店のインスタを眺めていたら、ストーリーズで桃のパフェを見かけ、仕事帰りに直行した。パフェを自分の意思で食べに行ったことがないと気づいたのだ(なぜか「パフェ食べに行きましょう」と誘われたことはある)。新たな冒険への静かなドキドキを抱えてカウンター席に座り、メニューを開くと、桃のパフェは見当たらなかった。もう今日は売り切れてしまったか、メニューから外れてしまったか。おずおずと店員さんに尋ねてみると、「ご用意できますよ」とのことだった。私にとってはこれも、「メニューに書いてないものを頼む」というちょっとした冒険なのだ。

山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」
山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」
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