娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 【日本酒】幻のお米を現代によみがえらせる!復刻米を使った日本酒3選~『伊藤家の晩酌』第三十夜~ LEARN 2022.03.06

弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第三十夜は、かつて使われていた米を復刻して造られたという限定酒を3本ご紹介。

幻の復刻米「穂増」を使用した「産土 2021 穂増」は2022年2月の発売以来、入手困難!

ひいな「次のお酒は、2022年2月に発売になったばかりのお酒です!」
テツヤ「おぉ!それは気になるねぇ」
ひいな第27回に、同じ蔵の『和水』ていう山田錦を使ったお酒をご紹介したんだけど、“ドメーヌ”がキーワードになっていて」(ライター注:ドメーヌとは水、米など、その土地のものでお酒を造ること)
テツヤ「これも?」
ひいな「そう。このお酒は『穂増(ほませ)』っていうお米を使っています。お酒は『産土』で、うぶすなと読みます」
テツヤ「へぇ!」
ひいな「2021年12月にこの産土シリーズが生まれたばっかりで、最近、すごく注目されてるお酒です!しかも、今日紹介するお米のなかで一番古いお米」」
テツヤ「へぇ。いつ?」
ひいな「穂増の元々の品種が江戸肥後米って名前なんだけど、江戸時代には九州全体で栽培されてたすごくメジャーなお米で、江戸末期には“天下第一”の米って呼ばれてたらしい」
テツヤ「へぇ、ってことは、酒米じゃなくて食米だったってこと?」
ひいな「そう。もともとは食米だったみたい」
テツヤ「聞いたことなかったよ」
ひいな「でね、このお米が復活したのは2017年で、なんとつい最近なの」
テツヤ「うわぁ、そんな昔の米を最近復活させたんだ」
ひいな「地元に根づいたお米で造りたい!ってなったんだろうね」
テツヤ「いいことだね。それぞれの蔵の地域性があらわれるところだもんね、米って」
ひいな「そうそう。飲んでみようか。13度だから、アルコール度数は低めかな」
(パコーン!)
ひいな「わっ!びっくりした(笑)」
テツヤ「すごい勢いで開いたね(笑)」
ひいな「生酒だから。発泡してるね」
テツヤ「初穂増いただきます!」
テツヤ&ひいな「乾杯!」

テツヤ「うわ、何これ?いいねぇ。春飛び越えて初夏って感じだな」
ひいな「おいしい!第27回で紹介した『和水』と共通点あるよね」
テツヤ「うん、あるある」
ひいな「最高に高揚感のあるお酒だな」
テツヤ「これいくら?」
ひいな「2,530円。自然栽培のお米を使ってるから」
テツヤ「自然栽培って?」
ひいな「肥料なし、農薬なしで育ててる」
テツヤ「なるほど」
ひいな「『穂増』自体、農薬が出る前の品種だから農薬を使うとうまく育てられないらしい」
テツヤ「そっか。昔は農薬も肥料もないもんね。復刻米って実は今のオーガニックな流れに合う品種ってことなのかもね」
ひいな「稲が倒れたり、脱粒(だつりゅう)って言って稲穂から種もみが落ちちゃうことが多かったらしくて。明治以降はもっと育てやすいお米に取って代わられちゃったんだって」
テツヤ「なるほど。そうなっちゃうよね」
ひいな「1970年くらいになると甘み、粘りがあるコシヒカリが主流になっていったんだけど、『穂増」の特性は粘りが少なくて、お米としての噛みごたえがあるというか」
テツヤ「まさに大地の恵みだね。『産土』って名前にぴったりじゃない」
テツヤ「ほんとに。産土シリーズはすごくこだわってるお酒だから、ぜひHPを見てほしい!」

【日本酒】幻のお米を現代によみがえらせる!復刻米を使った日本酒3選~『伊藤家の晩酌』第三十夜~

テツヤ「いやぁ、3本とも個性があっておもしろかったな。俺、復刻米の酒好きかも。ナチュールワインにより近い気がする」
ひいな「ナチュールが好きな父にはぴったりかもしれないね」
テツヤ「それぞれの個性があって、ストーリーがあるじゃない」
ひいな「昔のお米を復刻させるってすごい大変なことだもんね」
テツヤ「うん、これは買いたいし語りたくなるかも。日本酒を選ぶ時、お米で選ぶようになったら通だよな」
ひいな「そうだね。これからはお米にも注目してほしいな」
テツヤ「今日の3本はかなりお値打ちだったね。日本酒好きな人に教えなくなる」
ひいな「どれを紹介しても、お土産で持っていっても喜ばれると思う」
テツヤ「語っちゃうよね。これはね…って。いやぁ、最後に飲んだ『産土』の13度が軽くてよかったな」
ひいな「次回(4月3日公開予定)は、まさにアルコール度数に着目した回なのでお楽しみに!」
テツヤ「次号予告まで(笑)。乞うご期待です!」

【ひいなのつぶやき】
蔵の歴史や地域の背景を知ると、味わいもより深みが増す気がします!ぜひ、お米に注目して日本酒を選んでみてください♪
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

photo:Shu Yamamoto illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita

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