2022年、いまこそ行きたい神社。 【福岡】迷った道も開ける?道ひらきの三女神の社〈宗像大社〉へ。

LEARN 2022.01.14

日本には日々の喧騒から離れて静かに心を取り戻す場所が守られている。敷地内を心地よい風が抜け、鳥の声が聞こえる神社やお寺だ。昔の人もそっと自分をかえりみたり、大事な人の健康を願った。私たちも時間に余裕ができたら大自然に抱かれた社寺へも、参拝を目的に訪れてみてはどうだろう。緊張した日々を過ごしたこの一年、2022年への希望と共に新たなる一歩を踏み出すために。今回は、福岡〈宗像大社〉を訪れました。

〈宗像大社〉

神宿る島として、世界遺産に登録される宗像・沖ノ島と関連遺産群。中心となる宗像大社(むなかたたいしゃ)は『日本書紀』にも登場する日本最古の神社のひとつ。天照大神(あまてらすおおみかみ)が御子神の三女神を遣わせたとされ、島全体が神域の沖ノ島の沖津宮(おきつみや)。沖ノ島を望む遥拝所を持つ大島の中津宮(なかつみや)。そして総社である辺津宮(へつぐう)の三宮の総称だ。

沖津宮は一般の人は立ち入ることができず、遠くからその姿を見るのみ。まずは三女の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)が祀られた辺津宮への参拝から。五間社流造(ごけんしゃながれづくり)の本殿、古代祭祀の姿を今に伝える社殿のない高宮祭場、唯一神明造の社殿が並ぶ第二宮(ていにぐう)・第三宮(ていさんぐう)。豊かな森に包まれる境内を巡り参拝を進める。それは、道を開いて進むことへの覚悟を問われているようにも思え、心を新たにするひとときとなる。

海を隔てた大島へは30分足らずの船旅で。次女の湍津姫神(たぎつひめのかみ)を祀った中津宮はターミナルから5分ほどの場所にありながら、鳥居をくぐれば雰囲気は一変。古(いにしえ)より祈りが捧げられてきた場所であると、その空気が伝えてくれる。参拝のあとは島の北側にある沖津宮遥拝所へ。長女の田心(たご)り姫神(ひめのかみ)を祀る沖津宮は、直接の参拝が叶わない。そこでもっとも近づける遥拝所から祈りを捧げるのだ。

遡れば神代の時代、天照大神が三女神を「歴代天皇をお助けすれば、歴代天皇が祀るでしょう」と、遣わされたことに始まる宗像大社。大陸との交通や交易の要だった宗像にて、国家の守護神として崇められてきた。交通安全の神として広く知られるのも、そんな歴史あってのこと。道路や航路の安全はもちろん、すべての進む道を照らし、正しく導いてくれる三女神。新たな道を踏み出す一歩を支えてくれる存在だ。

【辺津宮】

〈宗像大社〉

桃山時代初期の神社建築様式を今に伝える本殿は天正6(1578)年に、拝殿は天正18(1590)年に再建されたもの。右の高宮祭場は宗像三女神降臨の場ともいわれる。左の第二宮、第三宮はそれぞれ沖津宮、中津宮の分社で、ここで参拝も可能。交通安全を祈願する人々でも賑わう。

〈宗像大社〉

【中津宮】

〈宗像大社〉

辺津宮とは海を隔てて向かい合って鎮座する。本殿は永禄9(1566)年に再建されたもの。大島は日本の七夕伝説発祥の地とされており、境内には天の川が流れ、織女神社・牽牛神社が向かい合って立つ。左の沖津宮遥拝所は島の北側に。天気のいい日には沖ノ島を見ることができる。

〈宗像大社〉

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