まちをつなげるパン屋さん by Hanako1186 【北海道】おすすめベーカリーのお取り寄せパン。パンラボ・池田浩明さんが選ぶベーカリーとは? LEARN 2020.07.06

パンラボ・池田浩明さんによる、Hanako本誌連載「まちをつなげるパン屋さん」を掲載。自宅で過ごす時間が増えた。今回は北海道の2軒のベーカリーのお取り寄せパンが届きました。

1.羊蹄山の雪解け水に恵まれた美しいパン。〈ソーケシュ製パン×トモエコーヒー〉/北海道虻田郡

1.パン・ド・カンパーニュ600円、2.食パン460円、3.ヒマワリの種460円、4.レーズン・クルミ920円、5.ブリオッシュ680円(各税込)。このパンを食べると無性にバターやチーズを欲する。店主・今野祐介さんが、隣の〈タカラ牧場〉のチーズや地元産はちみつといっしょに毎日自分のパンを食べているからかも。「『こんな感じがうまいだろ』それをずっとつづけているだけです」
1.パン・ド・カンパーニュ600円、2.食パン460円、3.ヒマワリの種460円、4.レーズン・クルミ920円、5.ブリオッシュ680円(各税込)。このパンを食べると無性にバターやチーズを欲する。店主・今野祐介さんが、隣の〈タカラ牧場〉のチーズや地元産はちみつといっしょに毎日自分のパンを食べているからかも。「『こんな感じがうまいだろ』それをずっとつづけているだけです」

自然の中にある古いドライブインで営業。自家製ルヴァン種を使用、薪窯で焼く。近くで湧く名水や、北海道産小麦、隣接の〈タカラ牧場〉のバターなど地元産の食材を使う。妻のともえさんが焙煎、丁寧にハンドドリップしたコーヒーとパンをイートインすれば心地いい時間が過ぎる。

■北海道虻田郡喜茂別町字中里185-1
■0136-33-6688
■10:00〜17:00 火水木休
■8席/禁煙

■通販:sokeshu.com

2.丘の上にポツンと佇む理想のパン屋〈toi〉/ 北海道河東郡

おまかせ便(5,000円セット、税込)。1.白いパン、2.茶色いパン、3.パンブリオッシュ、4.くるみとレーズンのパン、5.黒いパン、6.ひまわりのパン。葡萄種とホップ種を使用した白いパンは食パンのよう。パンブリオッシュは地元の〈あすなろファーミング〉のバターを使用する贅沢さ。茶色いパンは自家製粉20%のカンパーニュ。黒いパンは自家製粉した全粒粉100%。
おまかせ便(5,000円セット、税込)。1.白いパン、2.茶色いパン、3.パンブリオッシュ、4.くるみとレーズンのパン、5.黒いパン、6.ひまわりのパン。葡萄種とホップ種を使用した白いパンは食パンのよう。パンブリオッシュは地元の〈あすなろファーミング〉のバターを使用する贅沢さ。茶色いパンは自家製粉20%のカンパーニュ。黒いパンは自家製粉した全粒粉100%。

薪窯でパンを焼きたくて移住、小麦畑のそばの人家もない丘にパン焼き小屋を建てた。生産者から取り寄せた自然栽培・有機栽培小麦を製粉、その粉から種も起こし、パンを焼く。旬の果物で作ったコンフィチュール、交流のある道内の生産者によるチーズもパンとイートイン可。

■北海道河東郡音更町字上然別北6線23-4
■0155-32-9177
■11:00〜16:00 月火休
■8席/禁煙

■通販:www.toi-naturel.com

北海道の風も詰め込んでお取り寄せパンが到着

〈ソーケシュ製パン〉から届いた箱を開けると、薪の香ばしさ、チーズのようなまろやかな香りが、一斉に放たれた。コロナという憂鬱な雲に覆われた日常に光が差し込んだように。
〈ソーケシュ製パン〉から届いた箱を開けると、薪の香ばしさ、チーズのようなまろやかな香りが、一斉に放たれた。コロナという憂鬱な雲に覆われた日常に光が差し込んだように。

見上げれば羊蹄山のうつくしい姿が望めることに惹かれ、今野祐介さんは古いドライブインを買った。そこには浅草の名店〈カフェバッハ〉で使用されていた焙煎機も残されていた。妻のともえさんが焙煎したコーヒー、そして隣の〈タカラ牧場〉で作られたバターとともにパンを味わえる、最高に居心地のいいカフェをはじめたのだ。地元の素材を使う。水はわざわざ近くの名水を汲みに行く。「やっぱりうまいんですよね。喉にすっと入ってくる。酵母も調子がいい気がします。羊蹄山の雪が地下を通って湧きだしてくる」

羊蹄山に守られて作られるのが〈ソーケシュ〉のパンだ。自然栽培で小麦を育てる中川泰一さんの畑で、〈toi〉の中西ひろお宙生さんといっしょに草取りをしたことがある。畑を抜ける風で小麦が波のように揺れる中、広大な畑を歩き回って、草を抜いた。「自分が使っている小麦がどうやってできるのか、作業を通して感じたかった」その畑と同じ丘に、中西さんはパン焼き小屋を建てた。快適な都会の暮らしを捨てて、ぽつんと一軒。中川さんなど生産者から送られてきた小麦を自分で挽いて、種も小麦から起こして、薪の火で焼く。草の風味、土の風味、炎の風味。

〈toi〉のパンは、根源的なものに届いている気がして、噛み締めていると目頭が熱くなる。石臼を買い、北海道の中川農場から麦を取り寄せ、挽きはじめた。納得のいくものを焼くのに3年。いま、まるまるふくらんで、麦の香りを120%開花させている。

池田浩明 いけだ・ひろあき/パンラボ主宰。パンについてのエッセイ、イベントなどを柱に活動する「パンギーク」。著書に『食パンをもっとおいしくする99の魔法』『日本全国 このパンがすごい!』など。 パンラボblog

(Hanako1186号掲載/photo:Kenya Abe)

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