ティオンバル・エリア

連載「拝啓、〈星〉へいらっしゃいませんか?」/第3回 お洒落シンガポーリアンが休日を楽しむ街「ティオンバル・エリア」の注目スポットへ。【元ハナコのシンガポール書簡】 Learn 2017.08.31

結婚を機にシンガポールへ移住することになった元Hanako編集者による、星(=シンガポール)通信。東京23区ほどの大きさしかない小さな国。にもかかわらずアジア金融の中心を担うこの国には、各国から企業が進出し、活気にあふれています。ごはんもおいしくて、とってもアツい(暑い)国なのです。元ハナコが日々の生活で見つけた星情報、出張、観光の一助に……。第3回は「ティオンバル・エリア」をご紹介します。

日本への帰省中、久々にお会いできて嬉しかったです。目黒アトレ屋上でのBBQに、恵比寿のスナックでの朝までカラオケ。楽しい思い出の余韻に浸っていたいものの、徐々にシンガポール生活へと気持ちを戻すべく、先週末は街をぶらりお散歩しました。

ティオンバル・エリア

行った先は、お洒落なローカルが集まるティオンバル。静かな住宅街の中に素敵なカフェやベーカリー、本屋さん、ギャラリーなどがあるんです。ごく私的意見ですが、空気感としては代々木上原的だと思っています。

市場にパン屋にカレー屋に。ティオンバルの朝は早い

ティオンバル・エリア
ティオンバル・エリア

ちなみにこの街、朝が早いんです。街の中心部にある〈Tiong Bahru Market〉という市場が、生鮮品が手に入るウェットマーケット(ショウケースや床を水でじゃぶじゃぶ洗浄することから名付けられた)なのですが、魚屋と肉屋が昼頃には閉まってしまうため、早朝から新鮮な食材を求めるローカルで溢れています。今年の春に建物がリニューアルされ、白く塗り直された壁にはイラストが描かれていたり、通路が広くなったりと、気持ち良くお買い物ができる環境になりました。

ティオンバル・エリア

この市場の向かいにあるのが、1946年創業の〈Loo’s Hainanese Curry Rice〉。海南カレーは粉状の香辛料を使って香りを強調するインドカレーとは違い、ブルージンジャーやイエロージンジャー、レモングラスを主体にした爽やかな辛みが特徴。カリカリのポークチョップや海老、甘く煮込んだキャベツなどのトッピングと、特製ルーを合わせていただきます。

ティオンバル・エリア

同店は7時45分開店、14時45分まで(週末は開店直後から行列!)。市場の目の前なだけに、魚の仲卸の胃袋を支えるべく早朝オープンする築地市場内の食堂のような役割のお店なのかと思って店主のルーさんに営業時間が早い理由を尋ねたら、「昼過ぎまで営業するのが年齢的に疲れちゃうだけだよ」と、笑い飛ばされました。

ティオンバル・エリア

さて、朝カレーがきまったら、人気のベーカリーへ移動。パリの名ブーランジェ、ゴントラン・シェリエ氏がプロデュースするベーカリー〈Tiong Bahru Bakery〉は、その建物も素敵。

ティオンバル・エリア

このエリアの建物は1936年から1941年にかけて建てられていて、曲線的な外形や角を特徴とする、アール・デコ様式から派生したストリームライン・モダンが採用されています。名物のクロワッサンを調達する前に、外観をパチリ。なお、店内にはカフェスペースも併設されていますが、ほぼいつも満席。よってテイクアウトがお薦めです。

良店が密集!Yong Siak Street歩き

ティオンバル・エリア

続いてYong Siak Streetという、お洒落ストリートを目指します。

ティオンバル・エリア
ティオンバル・エリア
ティオンバル・エリア

全長100mに満たないこのストリートの両側には、ミニカップケーキの〈Plain Vanilla Bakery〉(併設されたコミュニティ・スペースにヒップな若者が集ってます)や、シンガポールのサードウェーブコーヒーの第一人者であるハリー・グローバーさんが手がけるカフェ〈Forty Hands〉、外壁と地面に描かれたイラストが可愛い絵本専門店〈Woods in the Books〉などが軒を連ねます。

ティオンバル・エリア
ティオンバル・エリア

必ず立ち寄るのは〈BooksActually〉。ローカルの人気作家作など、小説を中心としたセレクトが光るお店です。

ティオンバル・エリア
ティオンバル・エリア

最近でこそ一帯にはカフェやスイーツショップがありますが、2005年の同店のオープン当初は住宅しかないエリアだったのだとか。オーナーのケニー・レックさんの勘のよさといったら! と思ったら、「家しかないから店には向かないということで、家賃が安かったんです」(ケニーさん)というのがティオンバル・エリアへの出店理由なのだとか。

ティオンバル・エリア

とはいえカルチャー好きのツボを押さえた選書ゆえ、このお店を目指してティオンバルを訪れる人が次第に現れ、そういった人びとをターゲットにした店が増えてきて今に至るというのだから、ケニーさんの選球眼、恐れいります。

穴場。非営利目的のカルチャースポット

ティオンバル・エリア

Yong Siak Streetを抜けたら、入り口を見落としてしまいそうなほど(実際、私は見落としました)ひっそりと、隠れ家的に営業しているアートスペースへ。〈GREY PROJECTS〉という非営利目的スペースで、ギャラリーや図書室を有し、カルチャーの発展に寄与しています。自由に出入りできるので、ふらりと寄るのにちょうどいい。思いがけず面白いローカル作家のアートが見つかることも。

ティオンバル・エリア
ティオンバル・エリア

歴史的魅力も。抑えるべきポイントだらけ

可愛いお店が多いため、若者に人気のティオンバル。ここで、街の歴史について勉強を。この街は20世紀前半、隣接するチャイナタウンの人口増加の受け皿のような形で区画整理され、住宅街へと変貌を遂げました。その後、世界大戦が始まり、時折投下される爆弾から住民を守るため、住宅建築の下に防空壕を設置。防空壕付き建築は現存していて、建物番号、第78棟のMoh Guan Terraceは有名です。終戦後、一時は住民の倉庫として使われていたそうですが、現在は保存のため、地下は立ち入り禁止。第78棟は、これまた素敵なストリームライン・モダン建築なので、外観だけでもチェックしてみてください。

ティオンバル・エリア

とある筋からの情報によると、シンガポールの都市計画には風水が取り入れられていて、ティオンバルは空気を対流させるために中心部には高層ビルを建てなかった、らしい、です。新しもの好きなローカルを魅了しているのは、常にフレッシュな空気が入ってくる場だから、なのでしょうかね。

ではでは、このあたりで。

敬具

今回紹介したお店

〈Tiong Bahru Market〉
■30 Seng Poh Rd. Singapore 168898
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩10分
■6:00〜
■店によって異なる

〈Loo’s Hainanese Curry Rice〉
■71 Seng Poh Rd. #01-49 Singapore 160071
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩10分
■7:45〜14:45
■木休

〈Tiong Bahru Bakery〉
■56 Eng Hoon St. #01-70 Singapore 160056
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩13分
■8:00〜20:00(金土〜22:00)
■無休

〈Plain Vanilla Bakery〉
■1D Yong Siak St. Tiong Bahru Estate Singapore 168641
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩7分
■8:00〜19:00(日〜18:00)
■無休

〈Forty Hands〉
■78 Yong Siak St. #01-12 Singapore 163078
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩6分
■7:30〜19:00(木金土〜22:00)
■無休

〈Woods in the Books〉
■3 Yong Siak St. Singapore 1686642
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩6分
■10:00〜19:00(土〜20:00、日〜18:00)
■月休

〈BooksActually〉
■9 Yong Siak St. Singapore 168645
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩6分
■10:00〜20:00(日月〜18:00)
■無休

〈GREY PROJECTS〉
■6B Kim Tian Rd. Kai Fook Mansion Singapore 169246
■MRT「Tiong Bahru」駅より徒歩5分
■13:00〜19:00(土〜18:00)
■日曜、月曜、火曜休

☆前回「シンガポール土産」編はコチラ!
☆これまでの連載はコチラ!

Pick Up

YUNO TAKEMURA PinterestヘアメイクアーティストYUNO TAKEMURAさんがPinterestを使う理由。ヘアメイクアーティストとしてサロンワークを中心に活動するYUNO TAKEMURAさん。私生活では、ヨガを取り入れるなど、充実したライフスタイルに憧れるフォロワーも数知れず。そんなパワフルな彼女の好奇心を日々育んでいるのがビジュアル検索ブラットフォーム。 「ブログやSNSが流行り出したのが学生時代。自然と昔からアウトプットやインプットができるツールに触れてきました。そのうちに、ピンタレストも使うようになり、気がつけば8年目。“五感派”の私にとって、すぐに言語化できない段階の感情や脳内のイメージをビジュアルによって整理してくれるピンタレストはとても便利です」 2021年に独立し、フリーになった彼女。同時にプロダクトブランド〈HOPE〉をローンチしたり、結婚披露宴のコーディネートもはじめ、活躍の幅を広げている。 「〈HOPE〉では自分が使いたいと思うものを展開しています。昔の人が使っていた“カンザシ”を、どれだけ現代のライフスタイルに溶け込ませることができるか考えた時にもピンタレストを利用しました。例えば、最初の段階では、漠然とカンザシを作りたいけれど、どういうデザインにしたいかは自分でも見えていないんです。でも、誰に使ってもらいたいか、どういう自分が身に着けたいかというイメージは頭の中にある。そんな時に、ピンタレストを開けば、どういったライフスタイルに自分が惹かれているのかがビジュアルとして上がっているので、本当に求めているディテールが明確になっていきます。そうやって探索していくうちに、想像を遥かに超えて、新しいマインドにも気づかせてくれるので、プロダクトのデザインも着地していきます。そんなふうに、求めているものをより具体的に形にしていくために、ブランドディレクションやウェディングコーディネートの仕事、そして自分自身のビジョンを思い描くビジョンボードをピンタレストで作ってます」。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.26 PR
ホールに入ってすぐの天井には大きなシャンデリアが。
6630個(!)のクリスタルガラスはアルコールのしずくを表している。文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.1「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2022.12.26 PR
Pinterest_WEB連載-3見て、考えて、作って。ピンタレストはもの作りのパートナー。美しく盛り付けられたお菓子の写真が人気を博し、SNSで計15万人以上のフォロワーを持つフードデザイナーのAi Horikawaさんは、お菓子作りはもちろん、ビジュアル制作まで手掛けている。高校生(!)のときから10年以上使っているピンタレストは、もの作りの基礎体力をつけ、今のキャリアを築くためのツールであり「もの作りのパートナーです」という、彼女のピンタレストライフとは。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。Learn 2022.12.12 PR
Pinterest_WEB連載_#2-1ピンタレストは自分の視野や世界を広げるツール。人物やトラベル、企業などの広告撮影で活躍しているフォトグラファー、もろんのんさん。昨年、フリーランスになるまでは、会社員と兼業していた。そのキャリアの過程を聞いてみると。 「もともとカメラが好きというよりは、友人とのおでかけの延長線上に写真があったんです。学生時代から、『日光の紅葉を見に行こう』『国営ひたち海浜公園のひまわりを撮りに行こう』と、さまざまなところへ出向き、撮影したカットをSNSに載せていたら、Hanakoさんからお声をかけていただいて。写真の仕事を始めて8年目です」 独学でカメラを勉強してきた中、ピンタレストがおおいに役立ってきたそう。 Pinterestに関するアンケートはこちらから。 Learn 2022.12.19 PR