FotoJet-16-16-768x433
c-1-768x768

国領に革命を起こしたイタリアン〈Don Bravo〉の平 雅一さん|星子莉奈のMeet the Chef Food 2023.03.14

レストランのプロデューサーやディレクション、PR、ライターとして活躍する星子莉奈さんが、気になる店のシェフをクローズアップする短期連載。第4回は、国領にあるイタリアンレストラン〈Don Bravo(ドンブラボー)〉の平 雅一さんの登場です。

〈Don Bravo〉の平 雅一さんにインタビュー

自然体な笑顔が眩しい平 雅一シェフ。
自然体な笑顔が眩しい平 雅一シェフ。

みなさんこんにちは。ポカポカ陽気に包まれて、毎日眠気との戦いを強いられている私です。お気に入りのコーヒーたちを常備して、朝から晩まで彼らに頼りっぱなし…。健康を害さない程度に、しばらくコーヒー漬け生活を楽しもうと思います。

さてさて、本日はちょっぴり遠出して東京都調布市国領へ。この地で革命を起こした〈Don Bravo〉の平 一雅シェフに会いに行ってきました。

コンクリート打ちっぱなしのシンプルで予感に満ちる外観。
コンクリート打ちっぱなしのシンプルで予感に満ちる外観。

都心から少し距離のある立地にも関わらず、グルマンたちがこぞって通う東京随一のディスティネーションレストラン。〆にピザが登場するというユニークなコース構成が話題に。国内外の有名店を渡り歩いた平シェフのクリエティビティが光るイタリア料理とオリジナルピザに魅了されて通い詰めるファンも少なくないとか。
「実家はこの場所でお好み焼き屋をやってました。母親の実家も浅草で中華料理店を、父方の祖母の実家は群馬でうどん屋を営んでいて、幼い頃から料理人以外の道を考えたことがなかったですね」。
生粋の料理人家系で育った平シェフ。しかしながら幼少期は食が細く、食事の時間が苦痛だったと言います。そんな少年時代に唯一毎日食べたいと思う程大好きだったのが、スパゲッティ。とにかくゾッコンだったそうで、この原体験からイタリアンの道に進むことを決意。

料理人としてスイッチが入ったターニングポイントは、〈ボッコンディビーノ〉のシェフを任された時だという。
料理人としてスイッチが入ったターニングポイントは、〈ボッコンディビーノ〉のシェフを任された時だという。

名だたる有名店や本場イタリアで経験を積んだ後、独立前には三宿のイタリアン〈ボッコンディビーノ〉でシェフを務め、有名グルメサイトの東京ピザランキングで堂々の1位を獲得。客足の途絶えないお店へと成長させました。
「駅から10分以上かかるようなちょっと不便な場所にあったのですが、それでもお客様はちゃんと来てくれて。美味しい料理さえあれば、それが目的地となって人は集まってくるんだなと実感しました」と、当時を振り返りながら語ってくれました。

〈Don Bravo〉という店名の由来は、ドン(首領)に感嘆詞の「ブラボー!」、最上級のハッピーといったニュアンスで、お店での食体験にぴったりなネーミング。
〈Don Bravo〉という店名の由来は、ドン(首領)に感嘆詞の「ブラボー!」、最上級のハッピーといったニュアンスで、お店での食体験にぴったりなネーミング。
ワイン好きにはたまらない圧巻のラインナップ。
ワイン好きにはたまらない圧巻のラインナップ。

2012年、ついに実家のお好み焼き屋さんを畳んで〈Don Bravo〉を開店。
「この場所での挑戦にはもちろん不安もありましたが、前身のお店での経験もありましたし、ピンチはチャンスじゃないですけど、ここでこんな料理が食べれるのかという意外性に興味を持ってもらえたので結果オーライでした」。
お話しの通り、東京の外れに何やらすごいお店ができたと話題はすぐに広まり、瞬く間に予約の取れない人気店に。
「お店としてはありがたい状態が続いていましたが、地元のお客様が来店できる機会が減ってしまったことや、予約をお断りすることにもどかしさを感じていました。そこで、お店のシグネチャーであるピザにフォーカスし、より気軽に食事を楽しんでもらえる新業態の〈クレイジーピザ〉を同じ国領に立ち上げました。」
〈Don Bravo〉と同じオリジナルのピザ生地をベースに、マヨコーンなどの茶目っ気たっぷりでジャンキーな味わいのピザを楽しめる同店。15歳未満のお子さんには一切れ100円でキッズピザを提供。幼少期においしい味を知る事は将来の財産になるという平シェフの想いからスタートした取り組みは、子供たちの豊かな笑顔を生んでいます。
昨年には待望の2号店を神楽坂にオープンし、今年の夏には虎ノ門に3号店を構える予定だそう。

料理に没入し、表情が変わる平シェフ。
料理に没入し、表情が変わる平シェフ。

「お店を続ける中で、変わらずに大切にされている事はありますか」という私の問いに「自分たちが100%美味しいと思ったものを出し続けること、何よりそれが大事」と、語気強めの回答が。「実は昨年、日本人が選ぶ世界の人々のための日本のレストラン『DestinationRestaurants2022』を受賞し、ローカルレストランという位置づけで捉えられる機会が増えたんです。でもここは地方の自然と一体化したレストランのように綺麗な海や山がある訳でもなく、地の食材を使った料理でもない。その中でどうお客様を感動させられるかと考えを巡らせて方向性に悩んだ時期もあったんですが、根本的には積み上げてきた自分たちらしさを続けたいなと思って。自分たちがいいと思うものを胸を張って続けていくことで尊いレストランを目指して行きたいと思ってます」と内に秘められた想いを明かしてくれました。

生地そのものに旨味があるので耳までペロリです。
生地そのものに旨味があるので耳までペロリです。

シグネチャーのピザ生地はお店のオリジナル。ホエイと玉ねぎ水を混ぜ込み、塩味を抑えながらも生地そのものにしっかりとした味わいと香りがあります。

王道マルゲリータとしらすのハーフ&ハーフ。
王道マルゲリータとしらすのハーフ&ハーフ。
「これはどえらいピザに出会ってしまった…」と心震えたマルゲリータ。
「これはどえらいピザに出会ってしまった…」と心震えたマルゲリータ。

王道マルゲリータとしらすのハーフ&ハーフをお願いしました。
「しらすは和歌山県にある山利の釜揚げしらすを使っているのですが、塩味が控えめなのでこのぐらいどっさり豪快にいくのが正解なんです」と、平シェフ。食材と何度も相談しながらドンピシャな味わいを研究されているのが伝わります。
仕上げに散りばめられた官能的な味わいのカラスミがピュアな味わいのしらすと見事にマッチ!強烈な美味しさで言葉を失います。
お次は私のピザドラフト会議で一位指名を獲得し続けるマルゲリータ様。トマトの爽やかな酸味とコクのあるチーズのバランスが完璧で別格の美味しさです。

クラシカルなトリッパの煮込みが様変わり。
クラシカルなトリッパの煮込みが様変わり。
「これは間違いなく貴族が食すトリッパだ。豪華すぎる!」と、高揚しっぱなし。
「これは間違いなく貴族が食すトリッパだ。豪華すぎる!」と、高揚しっぱなし。

こちらはコースの4品目に出てくるトリッパ。トマトソースで煮込んだハチノス・ギアラ・センマイに、芽キャベツ、プンタレッラ、羊のチーズ、北イタリアのフォンティーナチーズを組み合わせた未体験のトリッパが登場。
しっかりめに味付けされたホルモンはそれ単体でも無茶苦茶に美味しいのですが、ミルキーで深みのあるとろとろチーズを纏って旨さに拍車がかかっています。プンタレッラの苦味もアクセントになって最高!と、思わず膝を打ちたくなる美味しさでした。

国領に革命を起こしたイタリアン〈Don Bravo〉の平 雅一さん|星子莉奈のMeet the Chef

記憶に刻まれる個性的なお料理の裏側にある想いを伺い、ますます〈Don Bravo〉の、いや、平シェフのファンになってしまいました。今後はおいしい幸せを全国の人々に届けるため、地方での店舗プロデュースや冷凍ピッツァに挑戦される予定だとか。アクティブに新しい価値創造に挑戦する平シェフから目が離せませんね。上質なカジュアル空間で大人の好奇心を美味しく満たしてくれる〈Don Bravo〉、これからもせっせと通いたい名店であります。平シェフ、ありがとうございました。

〈Don Bravo〉

■東京都調布市国領町3-6-43
■042-482-7378
■12:00~15:00(14:00LO)、18:00~23:00(22:00LO)
■水、月2不定休 ※休業日はHPでご確認ください。

photo:Miyu Yasuda

Videos

Pick Up

SPpeachPeachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅。2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で豊かな森も美しい海も楽しめ、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島や徳之島、沖永良部島など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高くなるのでは」と心配の声が聞こえてきますが…。大丈夫です! 日本のLCCを代表するPeachなら、奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損!Travel 2023.02.28 PR
サントリーvol3SP文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.3「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2023.02.28 PR
サントリーホールのオルガンは、オーストリアのリーガー社謹製。職人たちが1年がかりで手作業で作ったパイプをはるばる船で運び、半年かけて設置したのだとか。文筆家・塩谷舞による「今日、サントリーホールで。」Vol.2「何か豊かなものに触れて気持ちを切り替えたい。美術館で何かいい展示してないかな、映画館は……」。そんな日常の選択肢に加えて欲しいのが「コンサートホール」。クラシックといって構える必要はありません。純粋に音を楽しむのはもちろん、目を閉じてゆっくりと息を吸いながら、最近の自分のことを振り返ったり、あるいは遠くの場所や知人のことを思い出したり。ホールを出るころには心と体がふわっと軽くなる。文筆家・塩谷舞がサントリーホールで体験して綴る、「コンサートホールのある日常」。Learn 2023.01.27 PR
記事3_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅③ | 絶景サンセットから、夜の森でアマミノクロウサギに遭遇!絶滅危惧種を含むユニークな動植物が数多く生息する鹿児島県の奄美大島。奄美群島のひとつである徳之島、沖縄島北部、西表島とともに2021年に世界自然遺産に登録され、海外からも熱い視線が集まっています。 サンゴを育む奄美ブルーの海と白砂がまぶしいビーチ、アマミノクロウサギをはじめとする天然記念物も暮らす亜熱帯の森やマングローブの原生林。地球の宝ともいえる、奄美ならではの美しい自然を味わってみませんか? 奄美大島は「アクセスが良くない」というイメージもありますが、LCCのPeachが運航する直行便なら、成田空港から約3時間、関西空港から約2時間。そして時期によっては片道4,990円からとリーズナブル! “遠い楽園”が身近になるPeachの直行便で奄美大島2泊3日の旅に出たのは、ハナコラボパートナーであるフォトグラファーのもろんのんさん。今回はサンセットの名所と森のナイトツアーを体験した絶景&アクティビティ編をお届けします。 公式サイトはこちらTravel 2023.03.14 PR
記事2_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅② | とれたての海鮮丼から、島唄居酒屋で歌って踊って!?2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で、豊かな森も美しい海も楽しめ、「沖縄より混雑していない」ことでも注目されて、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島や徳之島、沖永良部島など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高いのでは」と心配の声が聞こえてきますが…。大丈夫です!日本のLCCを代表するPeachなら奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4,990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損! そこで、ハナコラボ パートナーである藤井茉莉花さんが奄美大島2泊3日の旅へ。 奄美に魅せられて移住し、現在は多拠点でライターや通訳士として活動する藤原志帆さん(https://enjoy-amami.com/)に教わったおすすめスポットをまわります。 今回は海鮮丼、島唄割烹、お土産のセレクトショップなど、グルメ&お買い物編をお届けします。 公式サイトはこちらTravel 2023.03.07 PR
記事1_top_1Peachで行く、奄美大島 (直行便!) の旅① | 島とうふにスパイスカレー、超地元スーパーでおかいもの。2021年に世界自然遺産に登録された鹿児島県の奄美大島。一年を通して比較的温暖で、豊かな森も美しい海も楽しめ、旅先に選ぶ人が増えています。 簡単におさらいしておくと、奄美大島は鹿児島本土と沖縄の間の洋上に浮かぶ離島。加計呂麻島(かけろまじま)や徳之島(とくのしま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)など周辺の島々を合わせて奄美群島と呼び、フェリーや飛行機を使って群島ホッピングも可能です。 そんな奄美大島、いざ行くとなると「アクセスが良くなさそう」「航空券も高いのでは」と心配する声が聞こえてきますが…大丈夫です! 日本のLCCを代表するPeachなら、奄美への直行便があるのです。成田空港から約3時間、関西空港から約2時間、そして(時期にもよりますが)片道4990円からとリーズナブル。これは、躊躇していたら損! そこで、ハナコラボ パートナーでフォトグラファーでもあるもろんのんさんが奄美大島2泊3日の旅へ。 奄美に魅せられて移住し、現在は多拠点でライターや通訳士として活動する藤原志帆さん(https://enjoy-amami.com/)に教わったおすすめスポットをまわります。 まずは、島とうふの定食にスパイスカレー、超地元スーパーでショッピングなど、グルメ&お買い物編をお届けします。公式サイトはこちらTravel 2023.02.28 PR