花井悠希の朝パン日誌 人気者に会いに行こう!…〈PATH〉と〈KUKULI〉 LEARN 2020.02.20

今日は人気者にお近づきになれた記念日。パンが好きで日々色々なパンにアンテナを張っていますが、なかなか行く機会のないエリアだったり、なかなか出会えない逸品だったり、お目にかかれないまま私の中で想いだけが膨らんで、焦がれて、焦げつくされそうになっているパンもあります(パンだけに)。開店と同時に消えるパンとか、どうやって行くんだ?という立地のパンとか、予約で何年先までいっぱいとかね。そこまでの天然記念物的レアではないにしても、今回ご紹介する子たちも私の中では憧れのあるパン。ドキドキしながらいただきました。

朝パン天国…〈PATH〉

朝から夜まで“美味しい”を届けてくれるお店、〈PATH〉。朝にはずらりとパンや焼き菓子が並び、お昼すぎまでダッチパンケーキやサンドイッチなどブランチがいただけて、夜はしっかりコースディナーからちょっと一杯まで楽しめる。どの時間に行っても、いい日だなぁって胸を満たす心地よい空間は、一緒に行く誰かとの距離を縮めてくれるパワーがある気がします。最近は朝のオープンから大行列なほど大人気とのウワサを聞き、なかなか足を運べずにいた私。それでもInstagramに更新される魅力的なパンや焼き菓子の写真に想いは募るばかり。そんな私の想いを知ってくれていた素敵な女性が、ある晴れた日に届けてくださったのです。飛ぶように売れていくあのクロワッサン、一つゲット出来たよ〜っと、とっておきの笑顔と共にプレゼントしてくださったのです。前からずっと憧れていたクロワッサン!それだけじゃなくスコーンにカヌレまで!!スコーンやカヌレももちろん〈PATH〉の人気商品。貴重なクロワッサンをゲットしてきてくださったお気持ちも、私を思い出してくれたことも嬉しい。その優しさごと大切に大切に持って帰り、朝パンにさせていただきました。

「クロワッサン」
「クロワッサン」

お皿の上にひらりと着地したクロワッサンのかけらを食べてみたら、その隠せない旨みに期待が加速します。ほんのちょびっとの量でもバターの豊かな味わいが舌に響くんですもの、期待せずにはいられません。さぁいよいよ、禁断の?魅惑の?夢にまで見た!?“ガブリ”、いっちゃいましょう。

バターの芳醇さが前に出ていようとも、そこにでしゃばり感はなく、言うなれば持ってうまれたカリスマ性?自分でカッコつけようとしなくてもカッコいいみたいな。シンプルに美味しい。隙を見て甘さや塩気も前に出ようとはせず、みんな手を取り合ってONE TEAM(1度は言ってみたかったの)。均整のとれたまあるいバランスなんです。こだわって選ばれた混じりけのない素材は、丁寧に積み重ねていくとこんな味になるんだなって。美味しさを決して押し売りせず、こちらに感じ方を委ねて楽しむ余裕を与えてくれる、そんな落ち着いた味わいなんです。好きなときにゆっくり味わおうねって。確かにパンって本当はそうでなくっちゃね。

「カヌレ」
「カヌレ」

こちらはまた性格が違いました。「カヌレ」独特のカリッとした表面を抜けた先は、すぐに楽園。一瞬にして楽園に降り立つことができます。あれ、この「カヌレ」の表面ってどこでもドアなの?こちらのひと噛みを待ちわびていたかの如く、楽園の名の下にラム酒とバニラビーンズが真っ直ぐになだれ込んできます。待って待って。この内側のモチッと感にもう少し酔いたいなぁ、なんてこっちの気持ちは聞かないフリをして両手で両頬をロックオンしてくる感じ。強引ですこの風味のタッグ。

〈PATH〉/代々木公園

表面のカリッと部分に少しの苦みが滲んだと思うと、そこにバニラの甘やかな風味と深く落ちていくラム酒が手招きをしてこちらを絡め取っていきます。その延長のように広がったとろみのある内側。誘惑の風味がとろけてとどまるところを知りません。なんだこの芳醇な食べ物は。カリッと、とろっと、ぶわんと。カリッの内側はとんでもなく甘美な楽園でした。

「スコーン」
「スコーン」

勝手知ったるあの「スコーン」だと思ったら、大間違いです。常識はお皿の上に置いておきましょう。バターのリッチさにクラクラ、立ちくらみを覚えます(座ってるけど)。確かにスコーンを自分で作ってみるとバターをいっぱい使う記憶がありますが、こんなにバターを感じるスコーンは珍しい。もはやこちらクロワッサンです!と言い切りたいほど。(それはただの嘘)

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外側カリッを突破すると、内側のふかふかふぁさふぁさ部分から絶え間なく滲み出るバターの豊かな香りと甘みが口内と鼻腔いっぱいにふわりと広がります。甘みといってもいたって自然体な甘み。甘さの角がない穏やかな味わいは、ジャムやクリームを引き立てることはもちろん、スープやシチューなどに合わせれば、そのリッチな風味がお料理にプラスされ、より満たされたものになることでしょう。お食事に合わせられるスコーンって初めて。やっぱりこの子クロワッサンなのでは!?(違います)
〈PATH〉のダッチパンケーキのブランチやサンドイッチも美味しそうなんですよー!春になったら朝散歩がてら行きたいなー!

食パンの世界が広がる!?…〈KUKULI〉

いま、食パン専門店はブームにのって数え切れないほどたくさんありますが、こちらに並ぶのは国産小麦とオーガニック食材を使い、自家製天然酵母と手仕事で作られている食パンです。雑誌にも掲載され大人気の「ミエル」は、売り切れていることも多い模様。

「プチミエル」
「プチミエル」

見た目より食べてみる方がずっと個性的です。普通の食パンをベースに、松の実とか入ってるのかな?くらいに思ったら、嬉しいサプライズでした。砂糖を使わずアカシアの蜂蜜が使われている生地は、独特なむきゅっという柔らかい弾力があります。いや、もっちり感もあるから、もきゅもきゅが近いかな(こだわり)?蜂蜜が染めるコクのしっかりとした甘みが全体を包んで、香ばしく味わい深くもう生地だけで美味しいのです。そこに松の実がコリッと響いて、角度の違う芳ばしさを生地と対等に主張するけど、バランスが素晴らしくいい。どちらも出過ぎず協調性のあるタイプなのですね、きっと(大切)。木の実の大地の恵み、蜂蜜の恩恵を受けて普通の食パンには到達出来ないような、秋の美しい景色が見えてくるような旨みを手にしています。秋のイチョウの落ち葉で出来た絨毯の上で食べたいな(1年後ですね)。

「プチゴーダ」
「プチゴーダ」

こちらのベースは、生クリームや発酵バターを贅沢に使った食パン生地。しゅわんと柔らかな優しい質感で、小麦の香ばしさと乳製品の華やかなコクを泳がせます。内側は表面ギリギリまで大きくスペースがとられたチーズの部屋がどーん!オランダ産のゴーダチーズを使用しているとのことで香りも味わいも本格派。じゃあお遊びのチーズってあるのか?って感じですが、ジャンクなチーズじゃなく、こちらしっかりとミルクの旨みとチーズの芳香がするものなのです。もったりとした重みでパンの下方に溜まったチーズをはむっといくと、旨みがとっぷりと口内を満たして思わずその幸福にひれ伏したくなります(愛情表現)。それを柔らかな甘みの食パン生地が包みこんでくれるから、もう何も心配することはありません。この胸に飛び込んでおいで(陶酔)。

人気者たちはやはりすごかった。これをスター性と呼ぶのか、オンリーワンな個性を感じずにはいられないパンたちばかりでした。ハードルの高さについ人気者に近づけずにいた私でしたが、触れてみるとやはりその魅力にはメロメロになってしまいました。今日ご紹介したパン達は、ハードル高いといっても早めの時間(オープンとか)に行けばちゃんと出会えるはず。皆さまも人気者たちに会いに行ってみてくださいね。そして、私も誰かの気持ちを想像したり思い浮かべたりして思いやりを渡せるような、そんなことが自然と出来る大人の女性になりたいな、ならなくっちゃと思った15の夜ならぬ、31の朝でありました(倍以上たっている…)。

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