SDGs 大場さん
2020.11.25

第10回 ハナコラボSDGsレポート アパレルブランド〈coxco〉とNPO法人〈DEAR ME〉。より良い未来を作るために、代表・西側愛弓さんが始めた2つのプロジェクト。

ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第10回は、エディター、ライターとして活躍する大場桃果さんが、社会課題をテーマにしたアパレルブランド〈coxco(ココ)〉とNPO法人〈DEAR ME〉の代表を務める西側愛弓さんにインタビューしました。

海外で目の当たりにした貧困に衝撃を受け、〈DEAR ME〉を始動。

ーー西側さんはアパレルブランド〈coxco〉のほかにNPO法人〈DEAR ME〉の代表も務めています。まずは、〈DEAR ME〉でどんな活動をしているのか教えてください。

「〈DEAR ME〉は私が大学3年生の頃に発足したプロジェクトで、2015年に学生団体としてスタートしました。フィリピンのマニラを訪れて、貧困地区の子どもたちをモデルとして起用したファッションショーを毎年開催しています。大学を卒業して社会人になってからも続けていたのですが、やはり仕事との両立は難しく…。NPO法人としてしっかり活動したいと思い、2年前に会社を辞めて法人化しました」。

ーーすごい行動力!学生の頃から、環境や貧困への関心が強かったんですか?

「もともとはファッションが大好きで、大学時代に一人で海外を旅して、現地のストリートスナップを集めた雑誌を作っていたんです。当時は本当に貧乏旅行だったので治安の悪いエリアによく滞在していたのですが、それが“都会の裏にある闇”を肌で感じるきっかけとなり、社会問題について深く考えさせられるようになりました。中でも一番衝撃だったのが貧困。ボロボロの服を着ている人だけでなく、服を着られない人がいるってことに驚きました」。

ーー日本にも貧富の差はありますが、衣類を身につけてない人を見かけることはないですもんね…。訪れた国の中で、特に貧困の重大さを感じた地域はどこですか?

「どこの国が一番っていうよりも、どの国でも同様に貧困があるってことが衝撃でしたね。ニューヨークやロンドン、モロッコやボリビアなど、さまざまな国へ行きましたが、どこへ行っても路上で暮らすような人たちがいて。日本にもホームレスの方々はいるけれど、道でうずくまって寝ている子どもは見かけないじゃないですか。でも、アメリカやヨーロッパには、共通してそういう光景があるんです。それを目の当たりにしたことで、貧困に対して何かいいアクションができないだろうかと思い立ち、〈DEAR ME〉を始動しました」。

マニラの子どもたちと。中央でピンクの服を着ているのが西側さん。
マニラの子どもたちと。中央でピンクの服を着ているのが西側さん。

ーー現在は、どのようなペースで活動しているのですか?

「〈DEAR ME〉には約20人のメンバーがいて、発足当時から半年に1回は必ずフィリピンを訪れてファッションショーを開催しています。今年は新型コロナウイルスの影響でまったく行けていないのですが、過去には2〜3ヶ月ほど現地に滞在することもありました。向こうでいろんな方々にお世話になっているので、その人たちに恩返しをしたいっていう気持ちが今は強いですね」。

ーー子どもたちの反応はどうですか?

「みんなすごく喜んでくれて、マニラの小さな村で暮らす子どもたちにとって毎年の大きな行事になっています。私たちが行くと元気よく歓迎してくれるし、会えない期間にもSNSで連絡をくれたりするんです。そうやって喜んでくれる姿を見ていると“この活動を続けないといけない”って感じさせられますね」。

ーー貧しい地域で暮らす子どもたちは、きっと日本以上に“女の子だから”と不当に扱われることが多いのではないかなと想像します。そういう子たちにとっても、自分らしさや自信を手に入れるためのいい機会になりますね。

「かわいい服を身につけたりメイクをしたりすることで彼女たちに笑顔が増えて、自分自身を好きになってくれているのを感じます。やっぱりファッションのパワーってすごいなあと」。

開催したファッションショーの様子。子どもたちの元気な笑顔が眩しい!
開催したファッションショーの様子。子どもたちの元気な笑顔が眩しい!

社会課題をテーマにしたアパレルアイテムを発信。

ーーそうして〈DEAR ME〉の活動を続けている中で、〈coxco〉はどうやって生まれたんですか?

「初めはNPO法人として〈DEAR ME〉だけやっていこうと思っていたのですが、実際にやってみると経済的に難しい部分があって…。ちゃんと持続的にやっていくためには、何か他の事業を始めなくてはいけないと気づきました。そこで考え始めたのが〈coxco〉です。1年ほど前に会社を設立して、今年5月にブランドがスタートしました」。

ーー“社会課題を解決するファッションブランド”として、これまでに2シリーズを発表していますね。

「vol.0は廃棄衣料問題をテーマに、古着を再生して作られる素材からアイテムを製作しました。日本環境設計というリサイクル会社の取り組みで、さまざまなショップに設置した回収箱に集められた不要な服から生地を作る『BRING』というものがあるんですが、今回はそれを活用させてもらいました。廃棄衣料って年間100万トン、およそ30億着が捨てられているといわれているんです。それってかなり深刻じゃないですか。だから、廃棄されるはずだった服を生地として再利用することで、その数を少しでも減らせたらなって」。

vol.0では、パーカーやワンピース、ソックスを製作。
vol.0では、パーカーやワンピース、ソックスを製作。

「vol.1のテーマは残布です。衣類を量産する前に作られるサンプルの生地は、開発段階でどうしても必要になるのですが、サンプル自体は使い道がなくて余ってしまうんです。再利用できない一部の生地は廃棄されてしまったり、ただ保管されているだけでもったいないので、創業100年を超える繊維商社〈株式会社ヤギ〉に協力してもらい、倉庫に眠っていたサンプル生地を使わせてもらいました。サンプル生地はデザイナーさんの意図を汲むためにとてもこだわって生産されるので、質がいいものばかりなんです。実は、このワンピースも海外のメゾンブランド用に作られた贅沢な生地を使っているんですよ」。

vol.1で好評だったワンピース。上質な生地と美しいシルエットが魅力。
vol.1で好評だったワンピース。上質な生地と美しいシルエットが魅力。
〈株式会社ヤギ〉の生地が保管されている倉庫にて。膨大な量のサンプル生地の中から、〈coxco〉のコンセプトやデザインに合うものを探す。
〈株式会社ヤギ〉の生地が保管されている倉庫にて。膨大な量のサンプル生地の中から、〈coxco〉のコンセプトやデザインに合うものを探す。
vol.1で好評だったワンピース。上質な生地と美しいシルエットが魅力。
〈株式会社ヤギ〉の生地が保管されている倉庫にて。膨大な量のサンプル生地の中から、〈coxco〉のコンセプトやデザインに合うものを探す。

ーー捨てられるはずだった素材を活用することで無駄をなくせて、買う側も上質な服を適正な価格で身につけられるから、人にとっても地球にとってもいい効果を生んでいますよね。〈coxco〉では“服の形をしたメディア”というコンセプトを掲げていますが、これにはどんな想いが込められているのですか?

「SDGsが17つの目標を掲げているとおり、世界にはいろんな課題があるけれど、それらを知る機会が足りないと感じていて。みんなにわかりやすいようにハードルを下げて発信しないと、多くの人を巻き込めないと思ったんです。いくら社会のことを考えた商品でも、それがかわいくなかったら興味を持ってもらえないかもしれないじゃないですか。だから、ファッションとして楽しめることを大前提に、好きな服を身につけることで社会の役に立てたらいいなって」。

ーー最近は海外のハイブランドもサステナブルなアイテムを発表していますが、〈coxco〉はテーマとする課題、そしてそれに対する向き合い方をしっかり言語化しているのでよりわかりやすいと感じます。

「ありがとうございます!まだ計画段階ですが、今後は服以外のアイテムも作っていきたいと思っています」。

SDGs 大場さん

新たな雇用を生み、さらに発展した〈coxco〉へ。

ーーこれから先、何か挑戦したいことはありますか?

「新型コロナウイルスの影響で予定より遅れてしまっているのですが、マニラに『coxco Lab』というファッションスクールを作る計画を進めています。スクールといっても学校法人ではなく塾のような感じになるんですけど、10〜15人を対象にパターンやデザインを学ぶコースと、ヘアメイク&モデルのコースを開校する予定です」。

ーーそれは素敵な試みですね。講師は現地の方々なのですか?

「そうです。マニラにあるファッション関係の学校を訪れて直接話したり、InstagramでDMを送ったりして、現地の先生たちに協力をお願いしました。既に場所が決まって契約も済んでいるのですが、まだしばらくはマニラへ行けそうにないため、先に進めずにモヤモヤしています…」。

ーーフィリピンは感染者数がとても多いと聞いたので心配です。ゆくゆくは、スクールの方々に〈coxco〉のアイテムを製作してもらえたら楽しそうですね。

「そうなんです!ただ教育するだけでなく、卒業生に〈coxco〉の服を作ってもらうことで新たな雇用を生むことができたらなと思っています。私はただブランドをやりたいわけじゃないし、ただNPO法人として活動したいわけじゃないんです。ファッションで社会課題を解決するためにはビジネスとして成立しないと持続できないし、『coxco Lab』はすべて無償で授業を行うので、その運営費を賄うためにも〈coxco〉の収益を上げないといけなくて。誰かが苦しい思いをすることがないよう、いいバランスで活動していけたらと思っています。卒業生をしっかり雇用できるような規模のブランドに成長して、これからも末長く活動を続けていくのが今の私の目標です」。

SDGs 大場さん

西側愛弓(にしがわ・あゆみ)
1995年、兵庫県神戸市生まれ。大学卒業後、IT企業に入社し広告商品の開発や営業を担当。2019年に退社し、現在はNPO法人〈DEAR ME〉とアパレルブランド〈coxco〉の代表を務める。フィリピン・マニラに無償でファッションを学べるスクール「coxco Lab」を開校予定。

〈coxco〉
〈DEAR ME〉

SDGs 大場さん

〈coxco〉のポップアップショップがオープン!

開催日程:12/5日(土)、12/6日(日)13:00〜19:00
開催場所:東京都渋谷区千駄ヶ谷 2-9-11 KWビル1階

大場桃果
大場桃果 / エディター・ライター

「1994年生まれ。大学在学中からアシスタントに従事し、2018年に独立。『Hanako』や『GINZA』をはじめとする雑誌やWEB、広告などを中心に活動中。趣味は映画・海外ドラマとアニメ観賞。」

大場桃果さんの記事一覧 →
2021年4月1日以降更新の記事内掲載商品価格は、原則税込価格となります。ただし、引用元のHanako掲載号が1195号以前の場合は、特に表示がなければ税抜価格です。記事に掲載されている店舗情報 (価格、営業時間、定休日など) は取材時のもので、記事をご覧になったタイミングでは変更となっている可能性があります。
TOPに戻る