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2019.07.21

第1回 娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第一夜1本目…微発泡の美味しさみなぎる「仙禽 初槽 直汲み あらばしり」~

弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?記念すべき第1本目は、日本酒好きになるきっかけとなった栃木の銘酒から。
photo:Tetsuya Ito Hibiki Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita

 

今宵の1本目は、発酵&微発泡の美味しさみなぎる「仙禽 初槽 直汲み あらばしり」。

栃木県さくら市に江戸時代後期に創業した蔵元「仙禽」より、「仙禽 初槽 直汲み あらばしり」1800ml 3200円(ひいな購入時価格)/株式会社せんきん
栃木県さくら市に江戸時代後期に創業した蔵元「仙禽」より、「仙禽 初槽 直汲み あらばしり」1800ml 3200円(ひいな購入時価格)/株式会社せんきん

父・徹也(以下、テツヤ)「ひいなに選んでもらった日本酒が飲めるの楽しみだね」
娘・ひいな(以下、ひいな)「一緒に飲んでくれるのってうれしい。四合瓶買って開けても、1人だと1週間ぐらいかかっちゃう。1人で晩酌って悲しいことがない限りあんまり進まないし」
テツヤ「あははは(笑)。日本酒はぐいぐい飲めないもんな」
ひいな「そう、誰かと一緒に飲みたいし、いろいろつまみながら飲めるのも日本酒のいいところのひとつ。だから晩酌にぴったりだと思う。このお酒を選んだ理由はね、日本酒って“おじさんが飲むもの”っていうイメージを変えてくれた1本なの。このお酒と出会ったから、私は日本酒を好きになった」
テツヤ「おじさんのイメージ、すっごくわかる(笑)!」
ひいな「初めて飲んだのはパック酒だったからそのイメージが強くて、おいしいっていう印象がなかった。だけど、割烹居酒屋で働いていた時に、そこの店長がすごく日本酒が好きで。『仙禽』の『あらばしり』『なかどり』『せめ』の3種類の飲み比べをやってみようってことで仕入れてくれて。『仙禽』の『あらばしり』を飲んで初めて、『お酒ってこんなにおいしいんだ!』って思えた記念すべき一本なの」

テツヤ「おぉ、第1回目にふさわしいね。俺がひいなの年の頃なんてさ、日本酒は悪いイメージしかなくて、だいぶ痛めつけられたもんな」

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ひいな「この『あらばしり』を飲んで、日本酒に酸があるっていうことを知ったの。『仙禽』のラベルに『初槽(はつふね)』って書いてあるんだけど、お酒を作る時、『上槽(じょうそう)』っていう、もろみを絞ってお酒と酒粕にわける工程があるんだけど、その一回目のことを『初槽』って言うの。『初しぼり』とも言うんだけど。絞って一本一本樽から瓶に直汲みしてるんだけど、それはそれは最高にフレッシュな生酒ってことなんだよ!」
テツヤ「どんだけ! 丁寧なんだねぇ!」
ひいな「だから、すごく貴重なの」
テツヤ「本当に一番初めのお酒ってこと?」
ひいな「そう。見てみて。すごい澱(おり)があるでしょう?」
テツヤ「結構あるね。くらげみたいに漂ってる」
ひいな「このお酒、微発泡してるんだよ」
テツヤ「味が気になってしょうがないから、もう、早く飲もうよ(笑)!」

飲む酒器は、父が出張先で買ったお気に入りのものをチョイス!

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ひいな「乾杯の前に、まずは酒器選びから。好きなおちょこ選んで」
テツヤ「せっかくだから、この間、出張した時に買ってきたこれにしてみようかな。手触りがすっごくいいんだよ」
ひいな「これはどこで買ったもの?」
テツヤ「これは京都の作家・松本治幸さんのもの。めちゃくちゃ薄くて繊細で一目ぼれして、この連載が始まるから、ひいなのために買ってきた。旅行や出張で行った先々で酒器を買ったら、もうちょっと話も広がるかなと思ってね」
ひいな「いつのまにか酒器が増えてきちゃったけど、これからもっと増やしていきたい!やっぱり、好きな酒器で飲むのが一番おいしいと思うから。今回はワイングラスとか変わったものはナシで、日本酒を飲むための酒器で、まず楽しんでみて!」
テツヤ「おぉ! 一升瓶からしゅわしゅわ~といい音がする!微発泡!」
ひいな「ではでは、まずは一杯」

京都の陶芸作家・松本治幸さんによる、薄くて軽い、まるで紙のような酒器。
京都の陶芸作家・松本治幸さんによる、薄くて軽い、まるで紙のような酒器。

テツヤ&ひいな「それでは乾杯!」

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(テツヤ、一気に飲み干す)
(テツヤ、一気に飲み干す)
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ひいな「どう?感想は?」
テツヤ「おぉ!! すっごくさわやか!!! う〜ん、ワインぽい、酸味を感じるな」
ひいな「そうそう、これがね「あらばしり」の特徴の“酸”なの」
テツヤ「この酒器で飲むとよりしゅわしゅわ感があるね」
ひいな「私のおちょこは、京都で買ってきた清水焼。これでも飲んでみて」
テツヤ「ぜんぜん違う!」
ひいな「そう、酒器によって味が変わるの」
テツヤ「この器、つるっとしてないから、ざらっとした表面に発泡がひっかかるんじゃないかな。こっちで飲んだ方がおいしい!酒器選びも大事なんだね。俺のチョイス、間違ってなかった!」
ひいな「お酒に合う酒器を見つけるのも楽しいよ」
テツヤ「たまたまこのあいだ買ったやつだったから選んでみたけど、最高の組み合わせ見つけちゃったな」

合わせるおつまみは、酸味の効いた「パプリカのピクルス」

伊藤家特製「パプリカのピクルス」は、皮ごと焼いて丸焦げにして皮をむいてあるから、味もよく染みて、舌触りが抜群!
伊藤家特製「パプリカのピクルス」は、皮ごと焼いて丸焦げにして皮をむいてあるから、味もよく染みて、舌触りが抜群!

テツヤ「それにしても、すごい酸だね。鼻にツーンとくる感じ」
ひいな「え!? それって褒めてるんだよね(笑)?『仙禽』ってもともと酸味が強いお酒なんだけど、その中でも「あらばしり」は力強さを感じる酸があって、それが酸味のあるピクルスと抜群に合うの」
テツヤ「なるほど。酸に酸を合わせる感じ?」
ひいな「そうそう。酸×酸が合うでしょ?「あらばしり」にピクルス合わせたのは、力強い酸に、耐えられるかなと思ったから」
テツヤ「ピクルスに合うね。「酸」はいまの流行りなの?」 
ひいな「流行りだね。流行りだけど、好き嫌いももちろん分かれると思っていて」
テツヤ「はい、また乾杯!「あらばしり」は、顔に近づけるだけでいい香りがしてくるね。でもちょっと苦味も感じたりして」
ひいな「そうなの。樽の中で下、真ん中、上のお酒があるんだけど、「あらばしり」はその下のほうのお酒なの。だから、澱が溜まってるし、濁りもあって味わいはワイルド、少し雑味もあるかも。「なかどり」は真ん中で、一番バランスがいいお酒。「せめ」は上のお酒で、アルコール度が高くて濃厚な味わいになるんだよ」

娘のほとばしる「日本酒愛」が、父を日本酒好きに変えていく!?

愛娘にお酌をしてもらう父・テツヤの顔はもうデレデレ。酒が進み、さらにデレデレに溶けていく……(笑)。
愛娘にお酌をしてもらう父・テツヤの顔はもうデレデレ。酒が進み、さらにデレデレに溶けていく……(笑)。

ひいな「この瓶の出荷日は、“2018年12月”になってるんだけど、半年後でもおいしく飲むためには、きちんとした温度で保存することが重要なの。そのためにセラーが私の部屋にあるんだけどね(笑)」
テツヤ「なるほど、このおいしさをキープするには、ちゃんとしたセラーも必要だってことか」
ひいな「セラーがあればいいけれど、日本酒が出た時に買ってすぐ飲むっていう方法もある。割烹居酒屋で働いてた時、神奈川県・茅ヶ崎市にある熊澤酒造の『天青』が「朝しぼり」っていう企画をやってたの。朝しぼったお酒をそのまま瓶につめて出荷しますって。でも、神奈川県内だけでしか流通しないがわかって、負けてられない!って、2人で一升瓶6本買って背負って渋谷まで帰ってきたこともある」
テツヤ「ひいな、そんなに酒に人生かけてたんだね(笑)」
ひいな「うん、そうだね(笑)。唎酒師の資格取ったのも20歳の時だし」
テツヤ「それもすごいよね。フライングしてないもんな(笑)」
ひいな「高校の頃は野球部だったから、一滴も飲んでないよ。初めて働いた飲食店のおかげだね」
テツヤ「そこのお酒の種類のラインナップがよかったんだな」
ひいな「常時20種類ぐらいあって、在庫を置く場所がなかったから、新しいのとすぐに入れ替わるの。だから出勤するとほぼ毎回新しいお酒が入ってるから、勉強して、その繰り返し」
テツヤ「ひいなの性格に合ってるね」
ひいな「でも、きつかったよ。毎日アルバイトしてるわけじゃなかったから、3日ぶりに出勤したら、お酒がごっそり変わってたりだとか。一緒に働いている人で東京農業大学の醸造科に行ってる人だったり」
テツヤ「おお!お酒のエリート!!」
ひいな「女性だったけど、やっぱり知識の引き出しが違って詳しくて。さらに負けてられない!みたいな」
テツヤ「でもさ、そういう王道じゃない、ひいならしい切り口もあるんじゃない? 日本酒が何よりも好き!っていうところがひいなの強みなんだから。消費者代表としてさ、専門家じゃなく」
ひいな「好きだから、セラーも買っちゃうほど、集めちゃってるからね」
テツヤ「日本酒を飲むようになったのは、ひいなのおかげだから。セラーもずっとワインを入れようと思ってたんだもん。でも、いまは日本酒がぎっしり」
ひいな「いま入りきらなくて(笑)」
テツヤ「早く飲んでスペース空けなきゃな(笑)」

(次回更新は7月28日の予定です)

伊藤 ひいな
伊藤 ひいな / 唎酒師

「東京生まれの24歳。大学入学時から割烹料理店でアルバイトをはじめ、20歳のお酒の解禁とともに日本酒にハマる。唎酒師の資格も取得し、日本酒の知識を増やすべく日々邁進中。父はHanakoをはじめ多くの雑誌で引っ張りだこの人気フォトグラファー、伊藤徹也。酒好き気質は間違いなく父親譲り!」

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