娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 【日本酒】台湾の人気ごはん「ルーロー飯」に合う、こっくりおいしい熟成酒3選~『伊藤家の晩酌』第三十三夜〜

LEARN 2022.06.05

20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第三十三夜は、いま人気のルーロー飯に合わせたい熟成酒を3本ご紹介。

日本酒度は驚きの−82度!はちみつのような甘みの熟成酒「華鳩 6段仕込み超濃厚貴醸酒」

【日本酒】台湾の人気ごはん「ルーロー飯」に合う、こっくりおいしい熟成酒3選~『伊藤家の晩酌』第三十二夜〜

ひいな「3本目は『華鳩』っていう広島のお酒なんだけど、7年熟成。精米歩合70%だからあんまり削ってないの。日本酒度−100を目指して仕込んだお酒らしくて」
テツヤ「え〜!甘いってこと?」
ひいな「そう。日本酒度−5でも甘いって感じるくらいなんだけど、これは−82」
テツヤ「すごいね。バニラアイスにシロップ的にかけたりとか?」
ひいな「それもいいと思う。バルサミコ酢みたいにね。このお酒は、六段仕込みの最後、仕込み水の代わりにお酒を使って仕込んでる貴醸酒なの。糖分が残ってるほど甘めで度数が低くなる。度数は14.5度。見た目の濃さに比べて低め」
一同「乾杯〜!」
テツヤ「いわゆる熟成酒って、こういうイメージがあるな」
ひいな「『華鳩』は7年熟成なのにね。造り方とか蔵によってぜんぜん違うね」

色も薄いものから濃いものまで。味わいもいろいろ。
色も薄いものから濃いものまで。味わいもいろいろ。

テツヤ「いやぁ、こりゃおもしろいね」
ひいな「おもしろいでしょう?」
テツヤ「コゾさん、どれが一番好きですか?」
コゾ「う〜ん、これ好きかも。『華鳩』」
テツヤ「うん、おいしいよ。俺は『木戸泉』が好きだな」
ひいな「『華鳩』の蔵は、フォアグラ、デザート、ブルーチーズと合うって言ってる」
テツヤ「あぁ、確かにブルーチーズ、絶対に合うな」
コゾ「結構、甘みがあるから」
ひいな「はちみつの代わりにかけてもいいくらいだよね」
テツヤ「これはケーキとかチョコとかに合わせられる甘さだよね」

コゾさん特製、真っ黒いルーロー飯と、熟成酒を合わせていただきます!

テツヤ「そろそろ、ルーロー飯、お願いします!」
ひいな「熟成酒とごはん合わせたい!」
テツヤ「わ、来た!」
ひいな「おいしそう!たくあんがいい感じ!」
テツヤ「コゾさんのルーロー飯!伊藤家に出前してくれました〜!」
ひいな「めっちゃいい匂い〜。『華鳩』合いそう」
テツヤ「絶対合う!コゾさんのルーロー飯は黒いの。黒ルーローっていう新たなジャンルを開拓」
ひいな「どうしてこの色になるんですか?」
コゾ「わかんないの」
テツヤ「だって、本当のルーロー飯、食べたことないんですよね?」 
コゾ「そう。だから、本当のルーロー飯の味がわかんない」
テツヤ「『クッキングパパ』とインリン・オブ・ジョイトイのYouTubeチャンネル『インリンちゃんねる』見て、脳内調理で造ってるから」
ひいな「え?インリン・オブ・ジョイトイってYouTubeやってるんだ(笑)」
テツヤ「ある意味、新しいよね。YouYube見て料理を作るって。本場の台湾やお店に行かなくてもこうやって作れるわけですよ!」
ひいな「私も初めて!」
テツヤ「コゾさん、死ぬまでに一度は本場のルーロー飯、食べに行かないとね」
ひいな「ルーロー飯にたくあんっていうのは基本なんですか?」
コゾ「YouTubeで見た通り…」
ひいな「たくあんも、熟成酒に合いそうだよね!」
テツヤ「合いそう」
コゾ「この安っぽい色がいいんだよ」
テツヤ「この黄色いたくあんがね」
テツヤ「どの熟成酒が合うかわからないから、全部と合わせてみようかな」

テツヤ&ひいな「いただきます!」
コゾ「味見してないんだけどね」
テツヤ「うまい!」
ひいな「おいしい!」
テツヤ「台湾に行きたくなる味!」
コゾ「毎回、味が違うんだよね」
テツヤ「確かに、こないだ食べた時と違いますね(笑)」
コゾ「うん、こないだのほうがおいしいと思う。今日は醤油をケチっちゃったから」
テツヤ「ケチんないで!」
ひいな「ルーロー飯と合わせたら、一番『木戸泉』が合う気がするんだけど」
コゾ「うん。わかる」
テツヤ「確かに。合わせてみるとね」
ひいな「『龍勢』か『木戸泉』で迷うな」
テツヤ「でも、食べた後に飲むんだったら『華鳩』もありだと思う。後味に合うよ」
ひいな「あ、本当だ!後に飲むのありだね」

完食!コゾさん、ごちそうさまでした!
完食!コゾさん、ごちそうさまでした!

テツヤ「このルーロー飯、カレー的な感じでもあるよね」
ひいな「うんうん、スパイスがカレーに近い」
コゾ「あれこれスパイス入れたら、カレーに近づいていくよね」
テツヤ「でも、うまいですよ。最近、店のルーロー飯、食べてなくて、コゾさんのしか食べてないから、俺の基準もだんだんこれになってきちゃって」
ライター薮下「ルーロー飯って、高菜が入ってるイメージです」
コゾ「そうそう、添えてあるよね」
テツヤ「たくあんじゃなくて?」
コゾ「味に自信がないから高菜を使ってるんでしょう?」
テツヤ「(笑)。今日のルーロー飯はどうですか?」
コゾ「60点かな?」
テツヤ「本番なんだから100点の持ってきてくださいよ!」
コゾ「(笑)」
ひいな「でも、すごくおいしいです」
コゾ「おいしいでしょう?でも一回、本物のルーロー飯を食べたほうがいいんだろうね。でも、調べれば調べるほどわからなくなる。八角入れなかったり、紹興酒入れなかったり…」
テツヤ「カレーとか麻婆豆腐とかと同じで、オリジナルでいいんですよ。熟成酒には確実に合ってたし。でも、そろそろ一緒に本物のルーロー飯、食べにいきましょう」

自宅でもきちんと管理すれば熟成が可能!?“自家熟成”というお楽しみ

【日本酒】台湾の人気ごはん「ルーロー飯」に合う、こっくりおいしい熟成酒3選~『伊藤家の晩酌』第三十二夜〜

ひいな「ちょっと最後に自家熟成してみたお酒も飲んでみてほしんだけど、いいですか?」
テツヤ「おぉ?」
ひいな「『土田酒造』の『シン・ツチダ』っていうお酒なんだけどね、家で熟成してみたの」
テツヤ「いつから?」
ひいな「2020年11月から」
テツヤ「1年半!」
ひいな「左が未開封のお酒で、もう1本は、2020年11月19日に開栓してある。生酒とかはダメになっちゃうリスクがあるんだけど、火入れしてあるお酒なら熟成できるよ」
テツヤ「どうやって熟成させればいいの?」
ひいな「日の当たらない場所で、家の中で一番涼しいところに置いておけば大丈夫だよ」
テツヤ「なるほど。さて、どうなってるかな?」
ひいな「開栓済みのほうは、1年半置いてただけで色がついてた」
テツヤ「もう1本も、今日、開封しちゃうんだね!」
ひいな「同じお酒でも口を開けてるのと開けてないのとでは色が違うね。やっぱり空気に触れてる分、色が濃いね」

同じお酒を、同じ年月熟成させても、開栓してるかどうかで、こんなにも色の違いが!
同じお酒を、同じ年月熟成させても、開栓してるかどうかで、こんなにも色の違いが!

コゾ「こんなにも違うんだ!」
テツヤ「ぜんぜん違う!」
ひいな「土田酒造のYouTubeの企画で、開栓した一升瓶の『シン・ツチダ』を1ヶ月ごとに味わうっていう企画があったくらい」
テツヤ「へぇ、1ヶ月ごとに味が違ってくるなら、1年半も置いたらそりゃもうねぇ」
ひいな「開栓したほうが酸っぱいかも」
コゾ「お酢に近いというか…」
ひいな「開栓してあるほうが断然渋いね」
テツヤ「おいしくないってこと?」
ひいな「渋さがうまみな感じがする。ちゃんと熟成酒になってる」
テツヤ「空気に触れさせたほうがいいってことだね」
ひいな「うん、そのほうがおもしろいかも」
テツヤ「確かに、開けてるほうがおいしい!断然うまい!」
ひいな「おもしろいでしょう?蓋を取るだけでこれだけ味が変わるって。まろやかだし、酸も強いし」
テツヤ「空気に触れただけでこんなに違うんだね。熟成に向いてない酒ってあるの?」
ひいな「純米大吟醸とかは劣化して、甘みしか感じないのを“あまだれ”って言うんだけど、そこから良くなるっていうのはあんまり経験したことがないかな」
テツヤ「なるほど」
ひいな「だから、生酒の純米吟醸酒、純米大吟醸酒を熟成するには、管理が必要かな。今日紹介したのは蔵熟成。この『シン・ツチダ』は自家熟成。もう一つ、酒屋熟成もあるから」
テツヤ「酒屋が熟成して売ってるんだな」
編集・小倉「子どもが生まれ日の新聞紙で日本酒をくるんで押し入れに保管しておいて、二十歳になったら一緒に飲むとかもいいですね」
テツヤ「ひいなが生まれた時さ、病院に行って抱っこはできなかったんだけど、帰りにコンビニで酒を買ったわけよ。これを熟成したらいいなと思ったけど、その日に飲んじゃった。1人で」
ひいな「意思、弱っ(笑)!」
テツヤ「俺も父親かぁって浸っちゃってさ…」
ひいな「日本酒だったんだね」
テツヤ「そう日本酒だったね」
ひいな「何を飲んだんだろう(笑)。気になる」

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