娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 『伊藤家の晩酌』~第二夜3本目/旨みの余韻が心地いい「千鋒天青 純米吟醸」~ LEARN 2019.09.01

弱冠22歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入! 酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは? 3本目は、コクと旨みがありながらも軽やかな味わいの神奈川県・茅ヶ崎のお酒。
(photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita)

今宵3本目は、キレとコクのバランスが素晴らしい「天青 千鋒天青 純米吟醸」

明治5年(1872年)に創業。「熊澤酒造」の看板酒ともいえる「千鋒天青 純米吟醸」720ml 1600円(税別・ひいな購入時価格)/熊澤酒造
明治5年(1872年)に創業。「熊澤酒造」の看板酒ともいえる「千鋒天青 純米吟醸」720ml 1600円(税別・ひいな購入時価格)/熊澤酒造

娘・ひいな(以下、ひいな)「熊澤酒造主催の日本酒&ビールのペアリングが楽しめる『熊澤TABLE MARIAGE COURSE』に申し込んで、一緒に行ったんだよね」
父・徹也(以下、テツヤ)「楽しかったねぇ。これは、この間飲んだやつかな?」
ひいな「そう。『天青』の純米吟醸で『千鋒天青』っていうお酒。『天青』だけでもいろいろある中で、一番、天青らしい旨味があるのがこれだなと思ってて。華やかさもあるし、軽快さもあって、天青のなかで一番これが好きなの。人気もこれが一番みたい」
テツヤ「香りも華やかだね」

〈okeba〉というギャラリーショップも併設しており、このぐい呑も購入。平塚市にある〈岡村工房〉のもの。
〈okeba〉というギャラリーショップも併設しており、このぐい呑も購入。平塚市にある〈岡村工房〉のもの。

ひいな「そう。このお酒にどんな料理を合わせたらいいか、一番悩んだ。熊澤酒造の中にベーカリーがあって、そこで買える塩麹のソーセージがすごく『天青』に合うんだけど、それと他にもう一品考えてみたよ」
テツヤ「ショップで、この酒器も買ったんだったね」
ひいな「ね。このぐい呑、いい感じ」

「千鋒天青 純米吟醸」」に合わせるおつまみは「マカロニグラタン」と「塩麹のソーセージ」

意外な組み合わせの、熱々とろ〜りの「マカロニグラタン」と「塩麹ソーセージ」は、熊澤酒造内にある〈mokichi baker & sweets〉のもの。
意外な組み合わせの、熱々とろ〜りの「マカロニグラタン」と「塩麹ソーセージ」は、熊澤酒造内にある〈mokichi baker & sweets〉のもの。

ひいな「行きつけの有楽町の〈蔵よし〉の店長さんに相談したんだよね。そしたら『天青』に合うおつまみをいろいろ試してみたら、マカロニグラタンが浮上したの」
テツヤ「意外な組み合わせだね。どうしてマカロニグラタンが合うんだろう?」
ひいな「それは食べてもらってからかな」

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テツヤ&ひいな「いただきます!」
ひいな「初めて作ったグラタンにしては、うまくできたんじゃないかな?」
テツヤ「グラタン食べるのいつぶりだろ(笑)」

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テツヤ「う〜ん、正直、合うのかどうかわからない……」
テツヤ&ひいな「(苦笑)」
ひいな「う〜ん、そうだね……。セラーから出したばっかりだから、冷たさで角が立ちすぎてるのかもしれない。もう少し常温に戻してみようか」
テツヤ「うん、そうだね」
ひいな「この間、同じ『天青』を飲んだ時に、コクと旨味が際立つ感じだったから、それがクリームのまったりさと合うっていう結論になって」
テツヤ「なるほどね」
ひいな「いいこと思いついた! 口の中で、一度お酒を温めてみるのはどう?」
テツヤ「なるほど、口のなかで温めるんだね」

(口の中で日本酒を温める父・テツヤ。その後、グラタンをパクッ)
(口の中で日本酒を温める父・テツヤ。その後、グラタンをパクッ)
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テツヤ「お!? なんだろ、喉で感じた味と舌先の味がつながった!」
ひいな「わかってくれた? いいでしょう?」
テツヤ「うん、これはアリかも。さっきね、正直『なんだこれ?』って思ったけど(笑)」
ひいな「あはは(笑)」
テツヤ「これは日本酒の温度によって味わいが変わるってこと?」
ひいな「そう。同じお酒でも温度によって香りや味わい、飲み口なんかが変わるの」
テツヤ「こないだ別府に行った時もさ、燗酒専門店ができていて。温度によって味わいがこんなにも変わるなんて、奥深いものなんだな」
ひいな「『燗付師』がいるくらいだからね」
テツヤ「ひいなも『燗付師』になればいいじゃん」
ひいな「いや、燗はまだ……。好きだけど、奥深すぎて」
テツヤ「温めたら、どうしてグラタンと合うようになったんだろう?」
ひいな「ホワイトクリームのコクに合うんだと思う」
テツヤ「なるほど。さっぱり洗い流してくれる感じ? グラタンを食べようと思った時、日本酒を合わせようって思わないよね(笑)」
ひいな「塩麹ソーセージも日本酒に合わせようって思わないよね」
テツヤ「ないない。ビールか赤ワインだよ」
ひいな「でも『天青』と合わせることで、クリーミーなコクに旨みがプラスされるの。塩麹ソーセージもおいしいから食べてみて」

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テツヤ「このソーセージ、うんまい! 『天青』に合うね〜。さすがの組み合わせだね〜」

酒蔵が手がけるレストラン&ショップ&ベーカリーが楽しすぎる!

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親娘で神奈川県・茅ヶ崎にある熊澤酒蔵を訪問。酒蔵を見学し、日本酒&ビールを楽しむペアリングコースに参加して、そのおいしさの虜に。
親娘で神奈川県・茅ヶ崎にある熊澤酒蔵を訪問。酒蔵を見学し、日本酒&ビールを楽しむペアリングコースに参加して、そのおいしさの虜に。

テツヤ「熊澤酒造、びっくりするくらい洗練されてたよね」
ひいな「敷地内には『湘南ビール』の醸造所や、蔵を改装したベーカリーではビール酵母を使ったパンを販売してたり、パンと一緒に日本酒が飲めるカフェがあったり。レストランもショップもあって、楽しかったねぇ」
テツヤ「そんな蔵、聞いたことないよね。新しい!」
ひいな「1872年に蔵が創業して、廃業寸前まで追い込まれたこともあったんだけど、1994年に6代目が酒造りの改革をスタートしたんだよね。地元の人に愛される酒造りをしようと」
テツヤ「造る本数を減らして、いい酒を作ろうとしたんだよね。質重視。スライドショーで見たから覚えてる(笑)」
ひいな「そう。それでビールも手がけるようになって」
テツヤ「いまは、クラフトビールと日本酒の二本柱なんだよね」
ひいな「ペアリングコースも楽しかったよね。日本酒とビールに合わせながらいろんな料理をいただけるの。一品につき、どちらかのお酒がついてくる」
テツヤ「意外な組み合わせでおもしろかったな。何が出てきたか忘れちゃったけど(笑)」

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ひいな「たくさんお客さんがいて、驚きだったね」
テツヤ「ね。クイズ大会があって。3択のクイズを当てちゃって」
ひいな「景品に、湘南ビールをゲット(笑)!」

熊澤酒造が手がける、無ろ過、非加熱処理で酵母が生きる「湘南ビール」。左からシュバルツ、アルト、ピルスナー。
熊澤酒造が手がける、無ろ過、非加熱処理で酵母が生きる「湘南ビール」。左からシュバルツ、アルト、ピルスナー。

ひいな「これも飲んでみようよ」
テツヤ「『湘南ビール』もうまっ! ペアリングコースでは、和と洋のメニューあって。やっぱりさ、同じ蔵が作ってるんだからさ、ソーセージやパンと合うはずだよね」
ひいな「ね!」
テツヤ「それにしても今回の組み合わせ、意外だった。グラタン食べたの久しぶりだったな」
ひいな「うちの晩酌にはなかなか出てこないメニューだもんね」
テツヤ「なんか罪悪感もあるじゃない。マカロニ……って」
ひいな「そこ、気にするんだ(笑)」
テツヤ「最近、料理するのが好きになってきたからさ、今度俺がつまみ作ってみようかな」
ひいな「いいね、乗り気だねぇ。そのおつまみに合うお酒を考えてみるよ」
テツヤ「料理も俺、日本酒も俺がセレクトして、最終的には『伊藤家の晩酌』じゃなくて『俺の晩酌』になってたりして(笑)」

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