Hanako編集部’s note. 「わざわざ」の楽しみを知って、埼玉、そして大阪へ。|『Hanako』2月号特集「47都道府県、おいしいあの町へ」編集後記 TRAVEL 2023.12.07

2023年11月28日発売Hanako「47都道府県、おいしいあの町へ」特集を担当した編集者が自由に記す、編集後記です。

例えば、「食」のために行列に並ぶなんてまっぴらごめん!…そんな、めんどくさがりやタイプの私。当然、わざわざ「食」のために遠出をするということもこれまであまりなかったのですが…。
ありました、私にとっての“桃源郷”が!都心から1時間半の場所に!

今回の特集「47都道府県、おいしいあの町へ」の取材で、初めて訪れた埼玉県・東松山市。都心から向かう途中の車窓には、いっとき、田園風景なども広がり始めて「私は一体どこに向かっているの…?」と少し不安になった頃に、東松山駅に到着。
駅前にはすでに「やきとり」の暖簾を掲げたお店がチラホラ現れ始め「これがウワサの…」と期待が高まります。

誌面をご覧いただいた方はご存知かと思いますが、この辺りには「やきとり」の暖簾を掲げたお店が約50軒。でもほとんどが鶏肉ではなく、豚肉のカシラ肉(頬とこめかみ)を使用しているというのです。取材させてもらったのは、この辺りにおけるやきとり(という名のやきとん)発祥のお店とされる〈大松屋〉。

ドキドキしながら扉を開けると、そこには、大きな大きなコの字カウンター。カウンター周りには愛らしい丸椅子がずらりと並び、広々とした焼き場では、素敵な店主が黙々と串を焼いています。レトロな店内は完璧に片付けられており、歴史はあるけど、とても清々しい空間。何も言わずとも、手元に1本ずつ串が届けられるのも気が利いています。
感動したのは「カシラ」のお味。実はわたし、豚肉が苦手で普段ほとんど食べられないこともあり、今回も正直震えながら味見をしたのですが…「え!?おいしい!」。おそらく素材が新鮮だからでしょう、豚肉ならではの獣臭さが一切なく、豚肉がダメな私でも大丈夫…というか、むしろおいしく食べられた!(これって結構すごいこと)。串にはオリジナルの真っ赤な辛味噌をセルフでつけるのですが、とっても合う〜!

どこから見ても完璧に整えられた、美しいコの字カウンターにうっとり。店主の真摯な性格が現れているように感じます。
どこから見ても完璧に整えられた、美しいコの字カウンターにうっとり。店主の真摯な性格が現れているように感じます。

取材が終わってオープン時間の16:15になると、時間きっかりに常連さんが訪れてカウンターの隅から続々と埋まっていき、それにテキパキと対応する店主。なんていうか、高級日本料理屋さんの、あるいは老舗のお寿司屋さんのカウンターを見ているような、無駄のない洗練された動きです。そして思い思い、好きな酒で串を楽しむお客さん…。あぁ、ずっと見ていたいくらい良い景色。
そこにあったのは、私にとっての理想的な酒場のカタチでした。酒飲みの私ですが、都内でもなかなか理想100%の酒場って出会えないんですが、都心から1時間半の埼玉に、理想500%の酒場があったとは…!ここに来るためなら「わざわざ」も「片道1時間半」も全然アリだなぁ。むしろその時間さえも愛おしく思えそう。

今回の特集には、そんな「わざわざ」を楽しめるお店が47都道府県分収録されています。私のように、普段「食」のために行列に並ぶのも、遠出をするのも億劫…。そんな人にこそ、新しい一歩を踏み出すきっかけにしてほしいです。

「わざわざ」の楽しみを知った私。調子に乗って、わざわざ大阪までたこ焼きを食べに出かけました(もちろん本誌の大阪ページに掲載しているお店)。歴史を感じるタコの看板もイイし、出汁たっぷりで、ソース無しでも絶品のたこ焼きも最高!次はどの県に行こうかな〜。
「わざわざ」の楽しみを知った私。調子に乗って、わざわざ大阪までたこ焼きを食べに出かけました(もちろん本誌の大阪ページに掲載しているお店)。歴史を感じるタコの看板もイイし、出汁たっぷりで、ソース無しでも絶品のたこ焼きも最高!次はどの県に行こうかな〜。

No.1227 『47都道府県、おいしいあの町へ』

『Hanako』1月号特集「47都道府県、おいしいあの町へ」

Videos

Pick Up