澄んだ空気が心地よい〈法然院〉で侘び寂びの心に浸る。|寺社につき喫茶。絵になる京都ご多幸散歩 Vol.2 寺社編

TRAVEL 2023.11.14

独特の吸引力に惹きつけられ何度でも足を運びたくなる。そんな街といえば、やっぱり京都。飽きない点も魅力だけど、知られざる美しい心の保養地がこの街にはまだまだあるんです。知っているとちょっと“粋”な神社仏閣、そしてその道すがらに出合った“秘密にしたい”素敵な喫茶店、教えちゃいます。案内人は寺社を愛する京都在住のモデル・本山順子さん。今回訪れたのは侘び寂びの心に浸れる寺院〈法然院〉と、レトロな洋館カフェ〈GOSPEL〉。前編では、〈法然院〉の美しい景色をお届けします。

秋に訪れたい、絶景に出合える場所

夜の散歩道、耳をすませば鈴虫たちのオーケストラを楽しめるようになった秋の京都。今回は気が変わりやすい秋空の時期だからこそ、訪れたいお寺〈法然院〉にお伺いいたしました。午後からお天気が崩れるということで朝一番に尋ねてみると、あたりには肌にひんやり沁みてくるようなシンとした空気が立ち込めていました。

秋になったからとはいえ、まだまだ青紅葉が美しいこの季節。秋が深くなるにつれ、このモミジが段々と色づき、圧巻の光景になるのだろうと想像に容易いほどの深緑の木々たち。そしてその中央には、“侘び寂び”とはまさにこのこと、と感じさせられる情緒ある茅葺屋根の山門が。〈法然院〉の通称からわかる通り、浄土宗の開祖である法然上人にゆかりのあるお寺。もとは浄土宗の一本山でしたが1953年に独立しています。

寺社につき喫茶 京都 法然院

山門をくぐると、そこには両側に白い盛り砂、白砂壇(びゃくさだん)が。白砂壇は白い盛り砂で水を表しており、その間を通ることで心身を清めます。砂の上には紅葉が描かれており、季節ごとにその図柄が変わるという心が配られた情景。

実は、前々から気になってはいたものの機会を逃していた〈法然院〉。次の連載でどこに行こうかと、うんと悩んだ末に急に〈法然院〉が頭に浮かんで訪れたのは閉門間近。山門の階段を昇り、見下ろした夕日に照らされた白砂壇の光景があまりに美しく、気づけば声にならない声が漏れ出ていました。「今日このお寺に出合ってよかった」と思わされるほどの体験で、そこには穏やかな静けさだけがありました。

美しき庭園に横たわる倒木が物語ること

中央に阿弥陀三尊を象徴する三尊石を配した浄土庭園には京都の名水である「善気水」が絶えることなく湧き出ています。その心地よい水音の方へ目を向けると、池には巨木が横たわっていました。2018年の台風21号により〈法然院〉の境内では100本以上の木々が倒れ、池の倒木はその時のものなのだそう。復興には延べ800人のボランティアの方々が尽力されたのだとか。

寺社につき喫茶 京都 法然院
寺社につき喫茶 京都 法然院

この一本の倒木が自然の畏怖や記憶を留めているように思えて、変わらないものなんてなに一つないと深く実感したのでした。倒木には苔がむし、朽ちていく様がなんとも美しい

寺社につき喫茶 京都 法然院

本堂にはご本尊の阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)と観音・勢至両菩薩(せいしりょうぼさつ)の三尊像。振り返ると地蔵菩薩(じぞうぼさつ)がお参りしている様子を見守られておられました。

アートと自然の共存の中で自分に立ち戻る

「経堂の中はご覧になられましたか?」と庭のお手入れをされていた方が声をかけてくださり中を覗くと、そこにはたくさんの経典の版木に囲まれた釈迦如来様がいらっしゃいました。

寺社につき喫茶 京都 法然院

1694年建立の大浴室を改装した講堂は、現在はアートの個展コンサート講演会などに利用されているほか、境内にはたくさんのアート作品が点在しているのも〈法然院〉ならではの楽しみ。

足元の苔空を泳ぐ雲包み込むような静寂に身を委ねると“社会での所属”や“家での役割”を忘れ、一つの命として心を育むような時間が流れていました。

寺社につき喫茶 京都 法然院
寺社につき喫茶 京都 法然院

今回訪れたのは…〈法然院〉

寺社につき喫茶 京都 法然院

住所:〒606-8422 京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町30番地
公式HPhttp://www.honen-in.jp/
※方丈庭園や方丈の襖絵、中庭の三銘椿等のご拝観は、夏季を除き、4月1日~7日と、11月18日~24日の伽藍内特別公開。

text_Junko Motoyama photo_Haruka Kuwana

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