小池栄子のお悩み相談室 第14回:「夫と腹を割って話したことがありません。人生計画に関わる相談は、どのように切り出せばいいのでしょうか」 (30歳・社団法人事務) LEARN 2023.08.04

仕事、プライベート、家庭生活含め、日々頑張っている人ほど悩みは尽きず、誰かに聞いてもらいたい、いいアドバイスが欲しい…そう思っている女性たちの声がHanako編集部に寄せられています。そこで、女優としてひときわ存在感を放ち、かついつもスパッと気持ちのいい発言をされている小池栄子さんに、人生の先輩としてアドバイスをしていただくこととなりました!隔週更新でお届けします。

―― 一生連れ添う覚悟で結婚した相手だからこそ、深刻な悩みをどう切り出したらいいのかわからない…。デリケートなお悩みですが、小池さんの意見をぜひ伺いたいです。

本日のお悩み

同い年の夫と結婚して1年。もうすぐ夫の単身赴任が終わり、初めて本格的な同居が始まるのですが、腹を割った話し合いなどをしたことがない、ということに気がつきました。自分は子供が欲しいと思っていますが、夫は結婚前から「いつかは欲しいけど、まだ先かもね~」「ふーん」みたいなのらりくらりという態度。出会いから結婚まで半年ほどだったということもあり、それでもいいと思って結婚しましたが、いざ大きな相談をするという段になって、さてどうやって話そうかと悩み始めてしまいました。毎日を一緒に過ごすこと、楽しい時間をすごすという意味では相性がいいと思うのですが、困難を乗り越えるとか、シリアスな話をするなどはしたことがなく、うまく伝えられるか不安です。小池さんは、パートナーの方に真剣な、人生の分岐点となるような話をするとき、心がけていることはありますか?(30歳・社団法人事務)

――結婚した相手だけではなく、同居するパートナーや家族の場合も、デリケートな話はなかなか切り出しにくいですね。

そう思います。でも、避けては通れないから、ちゃんと話さないといけませんよね。そして、どうせ話すなら早いほうがいいと思うんです。だって、言えない間はドキドキするものだし、どんなタイミングで切り出そうとか毎日考えて、ずっと苦しいじゃないですか。

――時間が経てば経つほど、自分にかかるストレスも大きくなりますよね。

そうそう。悩みを解決したいと思っているなら、ちょっとした勇気は必要なんですよね。だって、自分でしか頑張れないから。

――どうしたらしこりを残さず、ギクシャクせずに上手に切り出せるのでしょうか。

同居っていいきっかけだから、「もしこの先子供ができたら、この間取りじゃちょっと狭いよね。どう思う?」とか「更新のタイミングで子供のこと含め、この先の計画を考えてみる?」みたいな感じで切り出してみるのはどうでしょう。

――相手の気持ちを聞くスタンスだったり、「どう思う?」みたいに投げかけるのは大事かもしれませんね。

大事だと思います。そのほうが、相手もプレッシャーを感じずに話せるかもしれませんから。

――あともうひとつ気になるのが、「いつかは欲しいけど、まだ先かもね~」とか「ふーん」という、のらりくらりの態度って、あまり真剣に考えているように見えないのですが…。

でも、のらりくらりでいいような気がしますよ。何が何でも絶対に子供が欲しい! という夫婦ならそれに向かって二人で努力するべきですが、「いつかは欲しいね」ぐらいの段階だったら、時々、それこそのらりくらりと話すぐらいでいいかと。だって、人ってその時によって、温度感や考え方は違ってくるし、そのうち「やっぱり子供はいいか」って、お互いになるかもしれませんし。今の想いだけで突き詰めて、はっきり答えを出してしまうよりは、のらりくらりぐらいがちょうどいいかもしれません。

――なるほど〜。それでも話し合ったことになりますかね?

なると思います。“当時、のらりくらりだったけど喋ったな”という記憶があれば。ずっと様子伺いをしながら一度も触れずにいるほうがあぶないと思うんです。その話がいつしか腫れ物みたいになっちゃって、いきなり爆発したり、それによって喧嘩になったりする可能性がありますから。

――先ほど「同居はいいきっかけ」だとおっしゃっていましたが、結婚後初の本格的な同居って、ほかにもいろんな問題が出てきそうですよね。

そうですね。そもそも同居し始めの時ってお互いのリズムが狂うし、想像以上に細かい問題がたくさん出てきて、イラッとすることも増えると思います。それでもその都度、話していくことが大事なんじゃないかな。そう考えると、単身赴任から戻るこのタイミングって、大事な話を切り出すのに、いいチャンスだと思うんですよね。

――勇気を出して、頑張って欲しいですね。あと、「うまく伝えられるか不安です」とのことですが。

うまく伝えなくてもいいんじゃない? 
そもそも伝え方なんて不恰好でもいいし、それよりも子供にまつわることなら、早く話すことのほうが優先だと思います。

夫婦は、どんな問題でもなるべく意見を半々ずつ取り込めることが理想。

――小池さんの場合、夫婦間で何かデリケートな話をする時、うまく切り出すコツや話す際のポイントなどありますか?

もちろん、相手にもよると思います。私の場合は、前にも話したことがありましたが、夫の自尊心を傷つけないことが最優先。だから“あくまでもあなたの意見を第一に考えたいんだけど”というのをアピールしつつ(笑)、「あの件、私はこう考えているんだけど、あなたはどう思うか聞かせて欲しいな」というような言い方をします。夫は「あの件だけど、こうするから」など、もう決まってますよ、みたいな言い方をしてしまうと、俺の意見無視するんだ、もう決まってるんだ、って面白く思わないタイプだから。

――なるほど。相手の性格を考慮した話し方や切り出し方は大事ですね。

そう思います。「あなたはどう思っているのか教えて」と聞いた時に、例えばまるで逆の考えを言われたら「おお、そっか。びっくりだな。私は真逆なこと考えてたから…じゃあどうしようかな」なんてブツブツ言って家の中をうろうろしながら、なんとなくキャッチボールを続けたり。

――その時は、やっぱり相手から出た意見をフラットに受け止めて聞けるものですか? 例えば、あなたの意見が最優先ですよという体で、実は最初からうまく丸め込もうとする…みたいな作戦もあるかと思いますけど(笑)。

そもそも、自分の意見だけを突き通すという発想は、私にはないんですよね。もし相手と結婚生活について意見交換をしたいなら、半分は意見を聞かないとなって思っているんです。でも、夫婦のやりとりって、なんでもそうな気がします。どっちかが折れたり、協力しあって今の形があるわけだから、どんな問題でもなるべく意見を半々ずつ取り込めることが理想ですよね。

――それが一番、平和的ですよね。その場のことや先のことまで考えても。

喧嘩なんてしたくないし、あとあと「あの時、あなたの話を聞いてやったんだから」とか「折れてあげたじゃん」とか言ったり言われたりしたくないですから。だから問題はその都度、お互いなるべくフェアな状態で話し合うことを心がけています。

Photo : Syu Yamamoto text : Aya Wakayama


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