娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 【日本酒】祝!連載120回。父・テツヤによる伊藤家好みの3本選りすぐり~『伊藤家の晩酌』第三十六夜〜
20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第三十六夜は、120回もの連載を通して、特に印象深かった3本をチョイス!
キャロットラペ、グラタン、揚げ物にチーズ…和食以外を日本酒に合わせる!
テツヤ「今までもさ、数々の名料理がでてきたわけだけど…特に覚えてるのは、いちごのパスタ!」
ひいな「あったねぇ。何に合わせたんだっけかな」
テツヤ「佐賀県のいちご酵母のお酒だったんじゃない? 一緒に蔵に行ったよね」
ひいな「あぁ『天吹』だ!『ピンクのかっぱ』はキャロットラペ、『天青』はグラタンと、前回と同じおつまみをご用意しました!」
テツヤ「おいしそう!日本酒に乳製品合わせるんだって意外だったんだよなぁ」
ひいな「そういえば、冷え冷えの『天青』とグラタンを食べて合うのか?って不思議がってたんだよね」
テツヤ「合うのかどうか『?』ってなったんだね(笑)」
ひいな「それで、口のなかで『天青』を温めようって言い出して(笑)」
テツヤ「そうそう、それで口内調味しようと(笑)」
ひいな「これは、さといもに下味をつけたものに片栗粉をつけて揚げてパルメザンチーズをかけました!『土田』とどうぞ!」
テツヤ「わぁ、おいしそうだね!」
ひいな「食べてからお酒飲むといいかも」
テツヤ「いいねいいね。おいしい!『土田』の乳酸感とチーズがすごく合う」
ひいな「チーズの旨味とも合うよね。下味にはゆずもたっぷり使ってるから香りもいい感じ」
テツヤ「すごくいいと思う!グラタンも『土田』に合いそうだけど」
ひいな「そうだね」
テツヤ「うんまい!『土田』と乳製品も合う!でもやっぱり『天青』のほうが合うかな」
ひいな「お?よかった!その組み合わせはやっぱり間違ってなかったんだね」
テツヤ「日本酒とグラタンって発想ないもんなぁ。でも合ってる」
ひいな「でも、『ピンクのかっぱ』とキャロットラペを合わせるまっすぐさは、今はもうないかもしれないな…」
テツヤ「そうか。この3年で得たものもあれば、失ったものもあるんだね(笑)」
ひいな「なんかもっとひねらなきゃ!って思っちゃうかもしれない」
テツヤ「でもストレートでいいんだよ、やっぱり。元にまた戻るよ」
ひいな「そう?」
テツヤ「一周回ってやっぱり合うねってなるよ。そのまっすぐさでいいんだよ」
ひいな「そうか」
テツヤ「鉄板、定番って言葉があるくらいなんだからさ。そこは奇をてらわなくてもいいんだよ」
ひいな「今回は、オレンジの皮をそいで身の部分を増やそうと思ったんだけど、出た果汁を下味に使ってみました」
テツヤ「うん、さっぱりしておいしい。あとさ、この里芋の素揚げがお酒に合う合わないじゃなくて、めちゃくちゃうまい!ゆずがすごいね。一品料理としての完成度がすばらしい」
ひいな「わぁよかった。ゆず2個分使ってます」
テツヤ「結局さ、うまいつまみがあればいいってことだよ。マカロニグラタンなんて、この撮影以来かも。なかなか食べないもん」
ひいな「その時も言ってた気がする(笑)」
テツヤ「この塩気がさ、いいね。このグラタンは酒飲みが作った感じがする!」
ひいな「だいぶ強めにしてあります」
テツヤ「だからだよ、すごく合う。つまみグラタンになってて、おいしい。もうおなかいっぱいだよ!」
ひいな「食べて飲んで、最高の晩酌だね」
日本酒だけじゃない、おいしいお酒を求めて!日本全国のお酒をめぐる旅へ!
テツヤ「1本目の『ピンクのかっぱ』はワインぽくて、2本目の『天青』はバランスの取れたザ・日本酒で、3本目の『土田』は一味違う変わった日本酒で。このセレクト自体が、全部伊藤家っぽいな」
ひいな「言われてみれば、そうかも(笑)。このチョイスで伊藤家の好みがわかるよね」
テツヤ「この間飲んだ、 『亀の海 蝉しぐれ』もよかったよね。4本買っちゃったもんな」
ひいな「めっちゃリピートしたよね」
テツヤ「料理家さんの家に持っていくと、すごい喜ばれるんだよ」
ひいな「それはうれしい!」
テツヤ「こうやってさ、いろいろ飲んできたけど、次のテーマ、どうしうようかね」
ひいな「そうだね。日本酒ってさ、おちょこととっくりで飲むイメージがあるけど、それをガラスの酒器だったりワイングラスだったり酒器を変えて飲むことを提案したりしてきたじゃない?さらに今日は、こうやって3種類ともぜんぜん違う味わいの日本酒を飲んだり、その味わいの多様さが日本酒だと思うし、おもしろさは伝えられたかなと思ってて」
テツヤ「そうそう。飲み方もロックにしたり、熱燗にしたり、いろいろやったよねぇ」
ひいな「氷入れるようになったのも最近だしね」
テツヤ「日本酒は、温度によって大きく味が変わるってことも知れたしね」
ひいな「味わいの変化が楽しめるのも日本酒の良さだからね!お父さんもよく言ってるけど、ロックとか水割りとか、バーテンダーさんによって味わいが違うんでしょう?」
テツヤ「そう。本当にうまい水割りってあるんだよ」
ひいな「何が違うんだろう?」
テツヤ「ステア(かき混ぜること)の仕方とか、どこの水を使うかによって違うらしいんだよなぁ」
ひいな「生産者さんから私たちがお酒を飲むまでの間に入る存在って、酒販店だったりバーとかの飲食店だったり。そこで味の伝わり方が違うっていうのもおもしろいよね」
テツヤ「そうだね。バーにも行ってみたいね。プロが出すお酒、もっと教えてほしいし、違いを味わってみたいね」
ひいな「バーって、どういう感じでお願いしたらいいのかとかぜんぜんわからなくて」
テツヤ「そうだね。それこそ大人の嗜みだもんなぁ」
ひいな「有名なバーとかいろいろあるもんね。いつか行ってみたいなぁ」
テツヤ「日本酒以外にもまだまだお酒はいっぱいあるから、ひいなにも飲ませてあげたいよ」
ひいな「飲んでみたい!日本酒以外にも、クラフトビールとか、クラフトジンとか、いまいろいろ国内でもおもしろい動きあるし、私も日本酒を深めると同時にもっとお酒の知識を広げたい!」
テツヤ「いいね、いいね、新しい世界を広げていこう!」
【ひいなのつぶやき】
120回の日本酒との出会いで、焼酎・ワイン党のお父さんもすっかり日本酒の虜になりました!たくさん飲んで新発見を繰り返した3年間。もっとおいしい飲み方も知りたいし、ほかのお酒の世界も見てみたい!!毎日が楽しくなるお酒への道を探求し続けます!
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photo:Wataru Kitao illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita