娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 【日本酒】「山田錦」のルーツを深掘り!酒米別に飲み比べ3本~『伊藤家の晩酌』第三十五夜〜
20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第三十五夜は、もっとも有名な酒米「山田錦」のルーツをたどります!
兵庫県生まれの酒米だから、合わせるのは兵庫県のおいしいものいろいろ!
ひいな「今回は、兵庫のおつまみをそろえてみました!兵庫産の塩海苔と〈トキワ〉のさばへしこ、淡路島産の玉ネギはオーブンで丸ごと焼いて上にパルメザンチーズをかけてみました。兵庫県産の赤味噌をかけた牡蠣のどて焼きです!」
テツヤ「うん。うまいね。玉ネギは母が合うね」
ひいな「うんうん。すごく『山田穂』と合う!」
テツヤ「父は何に合うんだろうな?あ、へしこが合うよ。うまい。これはいい。母だとちょっとへしこの匂いが気になる。子どもは何と合うかな?」
ひいな「『山田錦』って、割となんでもいけるイメージがあって」
テツヤ「うん。一番流通してるしね。だから、個性がないっちゃない気もするよな」
ひいな「特徴がないのが、山田錦のいいところでもある」
テツヤ「牡蠣は魚介だからどれでも合いそうだけど。こっくりしてる味噌がいいね。あれ、お父さんと合わないな…」
ひいな「牡蠣って旨みが後から来るから、お父さんの後ろ重心とバッティングしちゃうんじゃない?」
テツヤ「口のなかでケンカしてるのかな(笑)。牡蠣の味噌がお母さんに合うね。『山田錦』はまぁまぁって仲裁してくれるような…」
ひいな「『山田穂』はやわらかい甘みと味噌のまろやかさが一緒のトーンな気がする。お味噌とすごく合うね」
テツヤ「お父さんは?」
ひいな「お父さんは酸があるからね…。牡蠣だけだったら合うかもしれない」
テツヤ「お母さんは、なんでも包みこんでくれる包容力がある感じだなぁ。味噌だとお父さんの存在感が弱くなっちゃうんだよなぁ。牡蠣とは合うんだけど。ここまで特徴がはっきりしてるのっておもしろいね。お米によって全然違うんだな」
ひいな「ほんとにおもしろいよね」
テツヤ「『山田錦』は、何にでも合う優等生な感じだね」
ひいな「うん、さすがサラブレッド」
テツヤ「でも、何か偏りがある方がおいしく感じるなぁ。バランスはすごく取れてるんだけどね」
ひいな「『山田錦』って炊いたらもちもちらしくて、チャーハンにしてもいいらしいよ。飯米としても使えるんだって」
テツヤ「酒にしてもよし、食べてもよしのオールマイティなんだな」
ひいな「日本酒のなかの37%が『山田錦』を使ってるんだって」
テツヤ「3割越えか!あとの63%は?」
ひいな「新しいお米も増えてきてるから。やっぱり『山田錦』は不動だね」
テツヤ「やっぱり育てやすいってことなのかな」
ひいな「使いやすくて、味のバランスが取れてるっていうことかな」
テツヤ「俺はやっぱり、『短稈渡船』だな」
ひいな「父が父を絶賛だね。『渡船』のお酒は結構あるから見つけたら買ってみるといいかも」
テツヤ「いままで見たことなかったよ。この間、滋賀に出張に行ったんだけどさ、米どころだし、水もあるし、農業もさかんでさ」
ひいな「滋賀は蔵も多いし」
テツヤ「発酵文化もあるし、日本酒と合うよなぁって」
ひいな「行きたいなぁ。今回は米を語る会になったね」
テツヤ「お米が違うだけで、こんなに味わいが違うのって、ほんとにおもしろかったよ」
【ひいなのつぶやき】
酒米に注目すると、選び方の一つの指針になって、お酒選びが楽しくなります!お米の特性を把握して造り方を変えている酒蔵さんの巧みな技をぜひ堪能してください!!
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photo:Wataru Kitao illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita