BARをもっと、カジュアルに。 新宿〈BAR Arca〉のバーテンダー・三上裕貴さん〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜

LEARN 2022.06.13

お酒業界での広報歴12年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第44回目の登場は、〈BAR Arca〉の三上裕貴さん。居心地のよさ抜群の新宿のオーセンティックバーをご案内します。

新宿 BAR Arca

家族と職人と動物達が洪水から逃れるために乗り込んだ「ノアの方舟」。旧約聖書『創世記』によるその物語は悲劇的ではありますが、動物と協力して舟を作ったり、洪水後の美しい虹を描いた絵画もあり、なかには明るくあたたかい希望があったことを感じられます。さて、方舟の話をしたのは、今回のバー〈Arca〉は方舟を意味することから。店内は船の曲線をイメージさせるインテリアやライトが施されています。

新宿 BAR Arca

「コロナ禍でのスタートだったので、荒れた中でも乗り切れるようにと希望の意味を込めて、この名前にしました。外的要因のせいでやらないという選択はとりたくなかったんですよね。やりたいというスタッフもいてくれたので、オープンを決めました」。
バー好きが高じてバーテンダーとして働くようになった三上さん。下北沢や新宿などいくつかのバーで経験を積み、念願の独立を果たします。得意なのはクラシックカクテルのツイスト。季節のフルーツを使った現代的なアレンジでクラシックカクテルを親しみやすいものにしています。三上さんとともに新たな”船”に乗ることにしたのは、ちょうどクローズになってしまった三上さんが直近で働いていたバーのバーテンダーたち。お店に共感するお客さんはひとりふたりと増えていき、オープンから1年半で多くのお客さまが集まるお店となりました。
訪れる人が魅了されるのは、なんともいえない居心地の良さ。長く働いているスタッフ同志のチームプレーのよさはもちろん、お店には初めてでも話しやすい雰囲気があるのですが、それにはある秘密がありました。

新宿 BAR Arca

「扉から入っていただいた時やカウンターに座っていただいた時、カウンターの内側のバーテンダーと目が合うように、土台の高さやテーブルを調整しているんです。あとバーはその場の空気感が大事だと思っているので、全員でいい時間が作れるようにお客さまにもちょっとした緊張感など意識をもってもらえるように心がけています」。
オーセンティックバーならではの背筋が少し伸びる感じはありながら、新宿ならではの特徴ともいえるのがいろんな世代の人が来る幅の広さです。それを受け入れる度量が、バーを魅力的なものにしています。
「ほんとにいろんな世代の人がいらっしゃいます。看板を見て上がってきてくれた20代の若い人から、70代の常連さんもいますし、仕事だったり、遊びだったり、全く違う人が集まりながら、一つ独特な雰囲気を作り上げている。そうした中でバーテンダーとしての技術をみてもらえたり、いろんな会話をして接客できたりというのが、バーテンダーの仕事のおもしろさだなとつくづく思います」。

新宿 BAR Arca

さまざまなタイプの人が乗り込み、三上さんという船頭のもとひとつとなって、日々進む〈Arca〉。目指す新世界は、来る人みんなが毎日楽しく飲めること。これからも力強く進んでいきますように。

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