娘から父へ…おいしい日本酒おしえます! 【日本酒】飲み口はさらっとライト!ごくごく気軽に飲める低アルコールな日本酒3選~『伊藤家の晩酌』第三十一夜~
20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第三十一夜は、飲みやすいと評判の低アルコールな日本酒を3本ご紹介。
こだわりの米、こだわりの製法で誕生。〈BEAMS〉との話題のコラボ日本酒!
ひいな「最後は岡山の『御前酒』をご紹介します!今度は13度。ラベルだけ見てみて。これ、どっかのブランドとコラボしてます。どこでしょう?」
テツヤ「え〜?食?ファッション?」
ひいな「ファッションっていうか、セレクトショップっていうか…」
テツヤ「え〜どこだろう?」
ひいな「最近だと『仙禽』と〈UNITED ARROWS〉がコラボして雪だるまにアロウズのショップの袋をぶら下げててたりして」
テツヤ「わかった、じゃ〈BEAMS〉だ!」
ひいな「え、え、正解!すごいね、一発で当てたね」」
テツヤ「わはは(笑)」
ひいな「〈BEAMS〉だと、岡山の蔵元の辻本店さんがコラボしてできたお酒です」
テツヤ「あれ?このタグ、〈BEAMS〉カラーじゃない?」
ひいな「あ、ほんとだ!気づかなかった」
テツヤ「このオレンジといえば〈BEAMS〉だもんな」
ひいな「〈BEAMS〉が全国から集めた日本の名品を発信するっていう『チームジャパンプロジェクト』から生まれたお酒なの」
テツヤ「へぇ、おもしろいね。日本酒に目をつけたんだ」
ひいな「『御前酒 ukigumi 菩提酛 純米うすにごり生原酒』
テツヤ「すごいな(笑)」
ひいな「名前が強すぎて(笑)」
テツヤ「菩提酛で、うすにごりで、生原酒」
ひいな「強い総集編でもう最終回なのかな?っていうくらいラスボス感(笑)」
テツヤ「そうだね(笑)」
ひいな「菩提酛といえば、第56回の『風の森』の番外編をやった時に紹介してて」
テツヤ「あったね」
ひいな「まず飲んでみようか」
テツヤ「すごく澱があって。くらげみたいに漂ってるね」
ひいな「すごいでしょう?きめ細かいうすにごりはよくあるけど、こんなにも目に見えるうすにごりってなかなかないかも」
テツヤ「フレッシュ感あるのかな?」
(パコーン!!!開けようとしたらフタが吹っ飛びました!)
テツヤ「すごい勢いで飛んでったね(笑)」
ひいな「びっくりした〜」
テツヤ「ガスがあったんだね」
テツヤ&ひいな「気持ちを落ち着かせて(笑)。いただきます!」
テツヤ「うわ〜!うんまい。これも13度?」
ひいな「うん」
テツヤ「やっぱりこくらいがいいね。おいしい。飲みやすい」
ひいな「お米を噛んだみたいな甘みだよね」
テツヤ「うん、米だね。あぁ、ちょうどいいな。昼飲みにこれくらいの感じ最高だな」
ひいな「ね。低アルって言ってるけど13度あるんだけどね(笑)」
テツヤ「13度の日本酒ってそんなに多くないの?」
ひいな「うん、そんなに多くないかな」
テツヤ「これからも増えてほしいなぁ」
ひいな「私がお店に立ってたら、低アルコールをストックしておいて、ビール飲んだあとに何を飲もうかな?ってお客さんに、いきなり16度とかの日本酒はあれだから、飲みやすい日本酒があるんですけどっておすすめしやすいかなって思う」
テツヤ「いいね、いいね。そういう選択増えてほしいな。日本酒としてのおいしさもちゃんとありつつ、ライトで酸味も旨みもあって」
ひいな「これは特に米感もしっかりあるしね。雄町を使ってる」
テツヤ「へぇ。そうなんだ」
ひいな「地元のお米だからね。あと菩提酛っていう製法が何よりの特徴なんだけどね。奈良の正暦寺発祥で室町時代に生まれた製法で、大正時代には一回なくなっちゃって、ほぼ使われなくなったんだけど、昭和の末期に…」
テツヤ「え、ちょっと待って。昭和の末期って言い方するの(笑)?ついこないだなんだけど(笑)」
ひいな「歴史上だとそうなるらしい(笑)」
テツヤ「バブルの頃ね(笑)」
ひいな「昭和の末期に(笑)、菩提酛が2つの地域で復活したんだって。ひとつは奈良、もうひとつが岡山で、造り方に微妙に違いがあって。奈良式よりも岡山式のほうが手が込んでるというか、時間がかかる菩提酛ではあって。岡山は『御前酒』の前の杜氏をやっていた原田さんって方が岡山式の菩提酛を確立したんだって」
テツヤ「へぇ!」
ひいな「菩提酛で、しかもうすにごりって珍しくて。昭和61年の時点で菩提酛のにごり酒として『御前酒』を原田さんが商品化してるの」
テツヤ「そんな前から造ってたんだ!」
ひいな「そう。それを今回アレンジして〈BEAMS〉とコラボしたの。飲み味を少しライトにしたのかな?」
テツヤ「そういう背景も含めて〈BEAMS〉っぽいよね。めちゃこだわりの1本なんだね」
軽めの飲み心地で、低アルコールが日本酒のイメージを変える切り札に?
ひいな「低アルコールの作り方っていくつかあって…」
テツヤ「加水する!」
ひいな「正解。詳しくなってきてるね(笑)」
テツヤ「あとは…発酵時間を短くするとか?」
ひいな「うんうん。あっという間に正解出ちゃった!」
テツヤ「あとは…」
ひいな「その2つだけだよ(笑)」
テツヤ「あぁ、全部当てちゃったんだね(笑)」
ひいな「大まかには2つあって、加水してアルコール度数を下げるのと、途中でアルコールの発酵を止めるパターン。あとは、赤色酵母自体が度数が上がらない酵母でもあるから、『ピンクのかっぱ』アルコール度数10度で低めだったしね」
テツヤ「日本酒のアルコール度数が今の時代には少し高いのかもしれないね」
ひいな「15度とか16度とかってさぁ飲むぞ!って意気込む感じあるじゃない?」
テツヤ「あるある。今日飲むぞ!明日何もないから飲むぞ!みたいなね。日本酒ってさ、ブームにはなってるけど、実際には広がっているかといえばそこまでではないと思ってて」
ひいな「一部では広がってるんだけど」
テツヤ「低アルコールっていうところにヒントがあるんじゃないかなって今日飲んでみて思ったな。13%がひとつの基準になりそう」
ひいな「うんうん」
テツヤ「だってこんなにたくさん飲んでも疲れないもん(ライター注:撮影日には6〜9本ほど飲むことが多く、この日は6本目の収録中でした)。日本酒ってやっぱりだんだんと疲れてくるっていうかさ。おいしいし、大好きなんだよ?でもやっぱり何本も飲んでると疲れちゃうんだよな」
ひいな「量を飲むか飲まないかは関係なくね」
テツヤ「そう。量じゃなくてね、疲れちゃう感じがあるんだよね」
ひいな「たしかにあるよね」
テツヤ「よくさ、何人かで飲んでてワインだと5本開けちゃった!っていうことは聞くけど、四合瓶5本開けちゃった!ってあんまり聞かないもんねぇ。量が飲めないのもあるよね」
ひいな「家で飲み比べできたら楽しいよね。何本か飲みたいもんね」
テツヤ「もうちょっと気軽さ、カジュアルさがある、低アルって大事な気がするな。ワイン好きな人にも飲んでもらいやすいし。低アルのもっと種類が増えるといいね」
ひいな「低アルがもっと増えて、日本酒を飲むきっかけが増えたらうれしいな。日本酒飲む人って、次の日を気にしがちなんだけど」
テツヤ「そう、気合というか構えがいるんだよな。でもだいたい次の日ってなんかあるんだよ、みんな(笑)。だから低アルが定番になったら、ほかのものが高アルって言われる時代もくるんじゃない?」
ひいな「そうかもね!」
テツヤ「この企画、定番化してほしいな!ほかの低アルも飲んでみたい!」
ひいな「ほかにもまだまだあるのでご紹介します!」
テツヤ「ぜひ教えてよ」
ひいな「夏にはロック用に19度のお酒を出すところもあれば、低アルを出してくるところと二極化するから、夏も楽しみにしててね」
【ひいなのつぶやき】
酒屋さんで買うものを迷った時に、難しい製法やお米の品種ではなく、シンプルに度数で選ぶのもおすすめです!気軽に日本酒を楽しめる時代がやってきました!
★ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中
photo:Shu Yamamoto illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita