季節に合わせて、豊かに暮らそう。 たった一輪の生花がフレグランスに。フローリストから学ぶ、花の楽しみ方。 LEARN 2022.03.04

植物が芽吹き、寒さが和らぐ春だからこそ、やっておきたいこと。植物、食、暮らし、美容、それぞれのエキスパートたちが実践しているあれこれを伺いました。今回は、場所別で楽しむ生花フレグランスをご紹介。動き出した虫たちを呼ぶために強く香る、春の花。花々をディフューザーのように場所に合わせて飾れば、みずみずしい香りで、マスク生活で鈍った嗅覚が目覚める。2月26日(土)発売Hanako1206号「自分を高める、学びの教科書。」よりお届けします。

たった一輪でも香り立つ、花の生命力を暮らしに添える。

春は、香りの強い花が多い。「みずみずしい色合いや、動きのある軽やかなライン、そして香りが春のお花の魅力だと思います。自然界の媒介者である虫が目覚める春、自分に気づいてもらえるように強く香りを放っているんですね」と渡辺安樹子さん。その生命力を、切り花にして暮らしに添える。「この2年のマスク生活で、なかなか外で香りをかぐことができていませんが、せめて家の中だけは。視覚だけではなく嗅覚に訴えることも大切なはず。

ダイニングや洗面所などそれぞれの場所に合わせて香りをアレンジすると、オン・オフを感じられたり、癒されたり」でも、多く買い込む必要はない。「花屋としては一輪でもさらっと買いに来てくださると、とてもうれしいものです。香りを比べ、好みの花を見つけていただきたいですね」たった一輪の香気と生命力で、いつもの空間は息づく。

■用意するもの

220121202_atari

・花ばさみ
花持ちをよくするため、毎日の水換えと共に茎を1~1.5cmほどカットする。このような専用の花ばさみも便利だが、切れ味がよく、茎の断面をつぶさなければ一般的なはさみでもOK。

1.【玄関×水仙】少し独特な澄んだ香りがオンとオフのスイッチに。

220121027_atari

玄関に入った途端、凛と澄んだ香りに包まれる早春の渡辺さん宅。「今は、〈IDÉE〉で見つけたリトアニアのピッチャーに水仙を。出かけるとき、帰ってきたときにふと香ると、オン・オフの切り替えができるような気がしています。春の花を飾ることで、家にいながらにして季節も感じられますよね」。ピッチャーは注ぎ口が花留めになり、花の姿が決まりやすく「花器としてよく使います」。

2.【洗面所×フリージア】水まわりには、清潔感あるさっぱりと甘い柑橘の香り。

220121136_atari

「朝起きて顔を洗い、花の香りをかぐことで気持ちよく一日がスタートできます。甘いけれど爽やかな柑橘系の香りがするフリージアは、清潔感もあり洗面所にもぴったり」。洗顔したりクリームを塗ったりと目を閉じての身支度中も、香りがオンへのスイッチを押してくれる。端正で可憐なイエローは、シンプルな空間に華を添えてくれる。「飾るのは1本でも素敵だと思います」

3.【トイレ×水仙】香りはもちろんのこと、根っこも楽しめる水仙。

玄関とはまた別の小さめな水仙。小さくてもしっかり香り、トイレの天然の芳香剤に。「家のあちこちに飾ることで、前を通るたび気持ちを切り替えられたり、和んだり。トイレは1日に何回かしか行かない場所なので少し贅沢かもしれませんが、花があることで心の余裕を感じられます」。水場の近くに植物があると、とてもクリーンな印象に。根っこ付きも愛らしいインテリアのアクセント。

4.【ダイニング×スイートピー】人が集まる場所にはさりげない甘い香りを。

220121050_atari

「ほんのり甘い香りで、見た目も春らしくかわいいですよね」というスイートピー。華やかで、ふりふりと可憐ながらどこか色気もある香り。ほどよい甘さは好き嫌いがなさそうで、みんなが集まるダイニングにもぴったりだ。「1本でも素敵ですし、たくさん飾ってももちろん華やか」。〈イッタラ〉の名作花器は一見飾るのが難しそうに見えて「花が留まる場所が多く、飾りやすいです」。

【LEARN MORE!】楽しんだあとは捨てずに花びら貯金。

220121191_atari

落ちたり枯れたりしたら、花の部分だけカットして平らな日陰で乾燥。「春のお花は花びらが軽やかで、色もカラフルなのでおすすめです。好きな器に入れてインテリアにしたり、色は抜けてしまうけれどアロマオイルを垂らしたりしても」

Teacher…渡辺安樹子(わたなべ・あきこ)

〈farver〉フローリスト。2010年にオープンした東京・中目黒の生花店〈farver〉を夫婦で営み、自らもフローリストとして店頭に立つ。花のある暮らしの素晴らしさを伝えるため、日々さまざまな活動を行っている。

(Hanako1206号掲載/photo : Akiko Baba text : Miho Arima edit : Nao Yoshida)

Videos

Pick Up