【妊活をしながら、自分らしく輝けるように。 】 不妊で悩む女性を多方面からサポート。NPO法人Fine理事長・松本亜樹子さんの活動とは?

LEARN 2022.02.20

妊活をしながら、ひとりひとりの女性が自分らしく輝けるように。 社会ではさまざまな取り組みが始まっています。今回は、松本亜樹子さんにお話を聞きました。不妊の悩みを抱える人にとって、同じ思いを持つ人の存在が励みになることも。2004年の発足以来、14万人もの不妊当事者の声を聞いてきた法人の活動の根源にあるものは?

不妊経験者の立場から、同じ境遇に悩む人のためのセルフサポートグループを立ち上げた松本亜樹子さん。NPO法人は、不妊や不育症の当事者が正しい情報に基づき、自身で納得して選んだ治療を、安心して受けられる環境づくりのためのサポートを行っている。

当事者の意見や経験を聞きながら、厚生労働省への働きかけも行っている。
当事者の意見や経験を聞きながら、厚生労働省への働きかけも行っている。

松本さんは「日本の教育は妊娠の仕組みについて教わることはあっても、不妊について学ぶことが抜け落ちている。避妊の方法は教わりますが、“妊娠しない可能性がある”ことまで習った人は多くないと思います。その結果、望めばいつでも妊娠ができると思ってしまうんです。それは女性に限らず、男性も同様です。けれど現実は必ずしもそうではありません。私自身も不妊を経験していますが、妊娠をすぐに望む場合でなくても早期から不妊についての知識を持つことが大切だと伝えたい」と話す。

日本人で不妊に悩む人は多いが、その思いを分かち合うことができる場はまだまだ少ない。当事者はもちろん、不妊に悩む人を支えたいと願う人が集うFine祭りを定期的に開催しており、参加者からは「元気をもらえた」「ひとりで悩んでいたけれど話すことで気分が前向きになれた」「パートナーと参加したことでお互いの理解を深めることができた」という意見が寄せられている。「働く女性にとっては、不妊治療と仕事の両立も大きな課題。不妊の悩みを周囲に話しづらいという人も多い。それを改善していくには社会全体が変わっていく必要があります」

わかりやすいリーフレットも、不妊についてもっと普通に話せるための手助けに。
わかりやすいリーフレットも、不妊についてもっと普通に話せるための手助けに。

当事者の心に寄り添い、耳を傾けながら、その思いがよりよい形となるように国への働きかけも。今年4月から不妊治療の保険適用が拡大されることを受け、制度設計への要望をまとめた報告書を厚生労働省に提出するなど、不妊経験者の立場から、その〝声〞を代弁する役割も担う。「妊娠の選択や不妊への理解なども含めて女性が充実感を覚えながら生きられる世の中であってほしいし、そうあるべきだと思う。そのための支援を続けていきたいです」

〈Fine〉

不妊に悩む人はもちろん、不妊に関心のあるすべての人のために自治体や企業などと提携しながら各種セミナーやイベントなどを開催。おしゃべり会&懇親会といった交流の場も。

https://j-fine.jp/

Profile…松本亜樹子(まつもと・あきこ)

松本亜樹子さん

NPO法人Fine理事長。自身の不妊の経験を生かして友人と共著を出版したのをきっかけに、不妊体験者を支援する会を立ち上げる。患者体験を踏まえた講演も。

(Hanako1205号掲載/photo : Kenya Abe text : Keiko Kodera)

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