2022年、いまこそ行きたい神社。 【京都】海を渡って〈籠神社〉へ。宮津・天橋立のたもとで元伊勢として名を馳せる。

LEARN 2022.01.08

日本には日々の喧騒から離れて静かに心を取り戻す場所が守られている。敷地内を心地よい風が抜け、鳥の声が聞こえる神社やお寺だ。昔の人もそっと自分をかえりみたり、大事な人の健康を願った。私たちも時間に余裕ができたら大自然に抱かれた社寺へも、参拝を目的に訪れてみてはどうだろう。緊張した日々を過ごしたこの一年、2022年への希望と共に新たなる一歩を踏み出すために。今回は、京都〈籠神社〉を訪れました。

南岸の〈天橋立ビューランド〉から眺める天橋立。伊勢のふるさとと呼ばれる、京都・籠神社はその対岸に位置する。
南岸の〈天橋立ビューランド〉から眺める天橋立。伊勢のふるさとと呼ばれる、京都・籠神社はその対岸に位置する。

日本三景のひとつ、天橋立(あまのはしだて)は京都北部の宮津湾に浮かぶ白砂青松(はくしゃせいしょう)の架け橋。その付け根に位置する籠神社(このじんじゃ)へは海を渡る観光船で向かうことを勧めたい。短いとはいえ船旅で海風を切って向かえば、少し清められた気持ちになるから不思議。

清々しい気分で参拝を終えたら、迷わず拝殿の脇へ進んでほしい。そこからじっくり眺めることができる本殿こそ、籠神社が伊勢のふるさとと呼ばれる理由を教えてくれる。その歴史は古く神代まで遡る。

現在、83代目が宮司を務める海部(あまべ)氏の祖先である彦火明命(ひこほあかりのみこと)が若狭湾に浮かぶ冠島に降臨し、奥宮の地・眞名井原(まないはら)の磐座(いわくら)に豊受大神(とようけおおかみ)を祀ったことに始まるという。その縁で天照大神(あまてらすおおかみ)を遷(うつ)し、4年の間、吉佐宮(よさのみや)の名で天照大神と豊受大神を一緒に祀った。のちに天照大神は伊勢の内宮(ないくう)へ遷り、食を司る豊受大神も請われて外宮(げくう)へ。

天照大神が遷った元伊勢は全国に数多いものの、豊受大神と一緒だったのはこの地だけ。内宮の元宮であり、外宮の元宮でもあることから元伊勢の名で広く知られているのだ。養老3(719)年には名を籠神社に改め、現在地へ。彦火明命を主祭神に、天照大神と豊受大神らを相殿神に祀る。

本殿は伊勢の神宮と同様の神明造り。江戸時代までは遷宮も行われており、現存する本殿は江戸末期のものだ。欄干の上には青、黄、赤、白、黒の五色の座玉(すえたま)。これも伊勢と同じで、縁の深さを物語る。伊勢では座玉を目にすることはできないだけに、貴重な眺めでもある。

御祭神それぞれの加護が込められた端正なお守り。

無題(1)
1.お守りはどれも上品で美しい。農業や衣食住の神である豊受大神の加護が込められた、諸業繁栄の勾玉守1,000円。2.主祭神の彦火明命に祈る、事業繁栄の鏡守1,000円。3.物事が良い方向に導かれるよう導きの守護を祈願する、導守800円。4•5.授与されるのは満月の日だけの産霊守(満月)と、新月の日だけの産霊守(新月)各1,200円。それぞれ裏には日と月の文字。日を間違えると授与できないため、HPでしっかり確認を。

もうひとつここにしかないものが、新月と満月の日だけに授与されるお守り。古(いにしえ)より、新月と満月には天地や万物を生成し、発展させる力があるとされてきた。その日に籠神社と眞名井神社を参拝することを「むすひ詣り」といい、新月の日には黒の、満月の日には白のお守りが授与される。合わせれば希望ある明日を切り開く意味を込めた“明”の文字が現れる。新年に心強い支えとなるに違いない。

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