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もっと知りたいハワイ!伝説のデザイナー、アルフレッド・シャヒーンのアロハシャツストーリー1 ハワイの美しい自然や歴史、文化がつまったデザインにうっとり
ハワイ好きなら、アロハシャツを切り口に古き良きハワイアンカルチャーを覗いてみては?ハワイの美しい自然や歴史、文化をアロハシャツに込めた伝説のテキスタイルデザイナー、アルフレッド・シャヒーンのストーリーを2本立てでお届けします。
アロハシャツの革命児
ハワイ好きが現地のヴィンテージショップで熱心に探すアロハシャツがある。伝説のテキスタイルデザイナー、アルフレッド・シャヒーンが手がけたアロハシャツだ。1948年に工房を立ち上げ、ハワイだけでなく世界中にファンを作ったシャヒーン。
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1922年ニュージャージー州生まれ。独学で染料やプリント技術を開発し、アロハシャツを流行から文化へと高めた人物。テキスタイル産業を営む両親がハワイに移住。後を追って20代でハワイに。経営者の才能もあり、母親と4 人のお針子と始めた工房は数年で数百人規模に成長。世界的な人気ブランドになる。2008年没。
しかし、88年に引退を決意。工房を閉じたことで、今では熱狂的なコレクターが血眼になって探すほど貴重なアイテムになっている。
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魚や貝、ヒトデなどハワイの海の生物を描いた《Ebb Tide(引き潮)》という名のテキスタイル。シックな配色もシャヒーンの特徴。シルクスクリーンによる多色刷りが美しい。
シルクスクリーンで多色刷りをした美しいプリントや丁寧な縫製、トロピカルなのにどこか品のある図案は、今も色褪せない魅力がある。
製造のすべてを引き受ける自社工場
「アロハシャツ」という言葉が生まれたのは1930年代。20年代頃からアジアの布地を使った、さらりとした着心地のシャツが一般に広がり、やがてそのエキゾチックなファッションに「アロハ」という島の言葉が付き、ハワイ独自のファッションとしてアメリカ本土などで注目されるようになった。30年代になるとホノルルには300軒弱の仕立て屋ができ、世界へ輸出するビッグビジネスに成長!しかし、この頃のアロハシャツの多くは日本から輸入した着物の生地をハワイで縫製したもの。絵柄も、日本人が絵葉書などを頼りに南の島を想像して描いたものだった。
![57_0911A1 57_0911A1](https://img.hanako.tokyo/2018/01/57_0911A1.jpg)
シャヒーンの工房が革新的だったのは、テキスタイルの図案デザインから、シルクスクリーンによるプリント、縫製、そして流通までを一貫して行い、ハワイに7 つもの直営店を営んでいたこと。唯一、正真正銘のメイド・イン・ハワイのアロハシャツだった。
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工房はデザイナー、刷り師、お針子など分業制。シャヒーンはスタッフ教育にも熱心で、彼の元を巣立った職人がハワイのアロハシャツ産業を成熟させたともいえる。
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「彼のテキスタイルはハワイを深く知る人でないと描けないものです」と語るのは、世界的なアロハシャツコレクターであり、ハワイを拠点にファッションデザイナーとしても活動するデール・ホープさん。
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Dale Hopeさん。ハワイの著名なアロハシャツデザイナーであり世界的なアロハシャツコレクター。アロハシャツブランド〈KAHALA〉を立ち上げた人物。著書『THE ALOHA SHIRT』は日本語訳もある。www.thealohashirt.com
「彼は目の前に広がる雄大な自然から直にインスピレーションを受けてモノづくりをしていました」
シルクで刷るハワイの自然
シャヒーンのアロハには見たことのない南国の植物が多く描かれている。ヘリコニア、トーチジンジャー、パイナップル・リリー……。キラウエア火山やハワイの伝統的な漁業の様子など、この島の文化や歴史を感じられるモチーフも特徴だ。
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シャヒーンは島の植物やハワイの古典的な文様からインスピレーションを広げ、独自のテキスタイルを生み出した。実物の自然や、古い資料を参考にしながら丁寧に下絵を描き、それをシルクスクリーンの版にして、多色刷りで細かな絵柄を再現している。テキスタイルには名前をつけていたそうで、いかにデザインを大切にしていたかが窺える。
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シャヒーンのヴィンテージアロハ。タグには「Shaheenʼs of Honolulu」の文字。ほかに「Alfred Shaheen」「Surf ʼn Sand」「Kiilani and Burma Gold Handprints」と記されたタグもシャヒーンのハワイモデル。
![MG_1946 MG_1946](https://img.hanako.tokyo/2018/01/MG_1946.jpg)
ボタンはココナッツ製。
シャヒーンの工房には、彼の右腕として働くテキスタイルデザイナーたちのために古い図案集や植物図鑑などを置いたライブラリーもあったという。
「彼にとってアロハはこの島を表現するキャンバスだったのです」
(Hanako1132号掲載/photo:Akira Kumagai text:Yuka Uchida special thanks:Alfred Shaheen Rep.in Japan(www.alfredshaheen.jp)