武蔵小山〈ボンクルール〉
武蔵小山〈ボンクルール〉

小石原はるかの“食事放談” EATING OUT カレー界隈のおじさんが教える「スパイスをつまみに飲む」ススメ。 Food 2023.09.07

一食たりとも妥協したくないというライターの小石原はるかさんはプライベートでも食の世界を探求。今回はミュージシャンでありカレー界隈でも活躍するカレーおじさん\(^o^)/を招き、〝スパイス飲み〟の魅力を深掘り。

小石原はるか(以下、小石原) 2回目の登場となるカレーおじさん\(^o^)/。前回は「華麗なるカレーの世界」を教えていただきました。その時ちらりと出た話題で気になったのが「スパイスで飲む」ということ。最近人気の〈キクヤ〉然り、スパイス料理とお酒を楽しめるお店が増えているような気がします。

カレーおじさん\(^o^)/(以下、カレー) そうですね、確かに増えてきました。インド料理店ではどうしてもみんなミールス、カレー、ビリヤニあたりをパッと食べて帰るというのが多いと思うんですが。

小石原 実はつまみが充実しているので、カレーを食べずとも満足できますね。直近だと、惜しまれつつ閉店した〈ダバ インディア〉のOBが2店オープンして話題になっていますよね。

カレー その〈ゴンド〉と〈グルガオン〉はあまりに人気なので、今回はまだあまりスポットの当たっていないお店に触れていこうかと。

小石原 ありがたい!

カレー スパイス料理をつまみにお酒を飲むのって、昔からあったんです。でも浸透するのに少し時間がかかって、最近ようやく親しまれるようになってきました。その黎明期からあるのが〈インド富士〉です。

小石原 かつて東小金井にあったお店ですね。その後、高円寺に〈インド富士子〉を出して、今は水道橋に移転されたとか。

カレー はい。お昼はカレーがメインの〈インド富士子〉、夜はスパイスバル〈ムンド不二〉として営業しています。インド料理のレベルも高いし、世界各国の料理があって何を食べてもおいしいんです。一人飲みにも適していて、僕はよく一人で行きます。オリジナル「インド富士サワー」がナイスで。

水道橋〈ムンド不二〉

スパイス飲みの職人が、つまみ中心の店をオープン。
店主が通っていた食堂〈アンチヘブリンガン〉の閉業をきっかけに、「同じように楽しめるお店を」と、バルスタイルで営業。季節のフルーツや野菜を使ったヨーロピアンな前菜の横にはインドのローカル料理「チキン65」など、一つの卓に集まるのが楽しい。

南インド風唐揚げ「チキン65」が鉄板つまみ。
店によってレシピが異なる「チキン65」。こちらではヨーグルトやニンニクでマリネした肉を揚げ、甘辛く炒めている。大1,500円。
南インド風唐揚げ「チキン65」が鉄板つまみ。
店によってレシピが異なる「チキン65」。こちらではヨーグルトやニンニクでマリネした肉を揚げ、甘辛く炒めている。大1,500円。
昼のカレーと打って変わり、飲めるスパイス使い。
多国籍な料理のシメにいただくカレーも、お酒に合う味わい。ランチのさっぱりとしたカレーに対し、パンチのあるメニューにアガる。
昼のカレーと打って変わり、飲めるスパイス使い。
多国籍な料理のシメにいただくカレーも、お酒に合う味わい。ランチのさっぱりとしたカレーに対し、パンチのあるメニューにアガる。
スパイスが沈澱するほど濃い、オリジナルサワー。
しょうが、タマリンド、ターメリック、コリアンダーなどがたっぷり入った「インド富士サワー」600円は、ノンアル対応も可能。
スパイスが沈澱するほど濃い、オリジナルサワー。
しょうが、タマリンド、ターメリック、コリアンダーなどがたっぷり入った「インド富士サワー」600円は、ノンアル対応も可能。

一人でもいろいろつまめる、親切なポーション。
選べる前菜盛り合わせや「チキン65」も、一人向けに小ポーションも用意されているのがうれしい。お酒好きの店主の心配りだ。

小石原 カウンターがあって、いいですね。

カレー それで言うと〈ボンクルール〉もおすすめです。フレンチ出身のシェフが、どの料理にもスパイスを利かせたアラカルトを出しています。

小石原 定番メニューだという馬肉のタルタルがおいしそう……。つまり、これにもスパイスが使われているんですね。

カレー シェフがソムリエでもいらっしゃるので、ワインとぜひ。昼飲みにも最高です。

武蔵小山〈ボンクルール〉

掛け合わせて増幅するフレンチの香りとは???
フレンチの名店で腕を磨いた料理人の服部合沙さんは、カレー好きが高じてスパイスにのめり込んだ。ソムリエールならではの嗅覚で炒り方や組み合わせを研究し、伝統的なフレンチを軽やかに仕上げている。ワインは品種の個性が直に表れたクラシカルな品が中心。

素材を引き立てるスパイスを端から端まで試行錯誤。
スペシャリテの馬肉のタルタル2,700円は黒胡椒がたっぷり。「合わないスパイスでは全然おいしくならないのも発見でした」(服部さん)
素材を引き立てるスパイスを端から端まで試行錯誤。
スペシャリテの馬肉のタルタル2,700円は黒胡椒がたっぷり。「合わないスパイスでは全然おいしくならないのも発見でした」(服部さん)
個性が際立つワインで料理の輪郭を際立てる。
紅茶のような香りのネパール山椒を振った江戸前穴子のカダイフ巻2,800円には、ナパのピノノワールを。グラスワイン800円~。
個性が際立つワインで料理の輪郭を際立てる。
紅茶のような香りのネパール山椒を振った江戸前穴子のカダイフ巻2,800円には、ナパのピノノワールを。グラスワイン800円~。
フレンチとスパイスをコースのように楽しむ。
ランチでも一品料理のシメにカレーを頼む人が多いという。シェアしながら味わうアラカルトのほか、事前予約でコースも可。
フレンチとスパイスをコースのように楽しむ。
ランチでも一品料理のシメにカレーを頼む人が多いという。シェアしながら味わうアラカルトのほか、事前予約でコースも可。

目の前で完成する芳醇な料理をできたてで。
シェフの手元まで見えるカウンター席では、仕上げに振りかけるスパイスの香りまで漂う。つられてつい予定外の注文をしてしまう。

小石原 昼飲み、大好きなワードです!

カレー 知る人ぞ知る〈マルジョウ〉でもランチからワインが飲めますよ。シェフのご実家がお茶農家で、チャイがとってもおいしいんです。お酒が飲めなくても楽しめますね。

小石原 それはいい。料理にもお茶が使われていたり?

カレー 新茶の時期には茶葉を使った品が出てくるようです。メニューは季節ごとに替わるのもおもしろい。

池ノ上〈マルジョウ〉

ビリヤニを中心に自分なりのコースを。

マサラの濃淡を味わう自分で混ぜるビリヤニ。
食材に合わせマサラ(ソース)も変え、お米と層にして炊く。ざっくりと混ぜれば色の濃淡ができ立体的な味に。穴子のビリヤニ2,750円。
マサラの濃淡を味わう自分で混ぜるビリヤニ。
食材に合わせマサラ(ソース)も変え、お米と層にして炊く。ざっくりと混ぜれば色の濃淡ができ立体的な味に。穴子のビリヤニ2,750円。
スパイス料理に合う南仏ワインをペアリング。
さっぱりとした前菜の盛り合わせ1,095円には白を、穴子のビリヤニには軽めの赤など、おすすめのグラスを教えてくれる。900円~。
スパイス料理に合う南仏ワインをペアリング。
さっぱりとした前菜の盛り合わせ1,095円には白を、穴子のビリヤニには軽めの赤など、おすすめのグラスを教えてくれる。900円~。
ビリヤニは、注文後に一食ずつ蒸し焼きする。
ビリヤニは、注文後に一食ずつ蒸し焼きする。

小石原 改めて考えてみても、カレー屋さんで飲めるのって新鮮。なぜ今まで広まらなかったんでしょう?

カレー おそらく、「宗教的にお酒はNGなのでは?」という固定観念を持ってしまっていたんでしょうね。もちろんそういう信念のお店もありますが、宗教によっては全然飲みますし。

小石原 お酒が飲めること自体、想像もしていなかった的な。

カレー ネパール人が営むインド料理店を〝インネパ〟って呼んでいて、それがスパイス飲みのパラダイス。〈ローカル渋谷〉は、ネパールの若者と渋谷の若者が入り乱れていて象徴的です。近頃は他ジャンルの料理と融合したインネパ+αのお店も増加傾向にあります。

小石原 文化のミックスに寛容なんですね。たとえばどんなお店がありますか?

カレー イタリア料理店が手掛ける〈ぽるこネ。〉は、タンドール料理にイタリアンソースがかかったりしていて、唯一無二。

小石原 インネパ+α、ますます広がりそうなジャンルですね。

志村坂上〈ぽるこネ。〉

実は共通点が多い!?インネパ&イタリアン。

サルシッチャと名乗るシークカバブ(1,200円)
サルシッチャと名乗るシークカバブ(1,200円)
名手が作る窯焼き料理をイタリアンソースで。
トロカジキマグロ1,800円にはアジョワンというスパイスが爽やかに利いたフレッシュトマトソースを。グラスワインは3種で各490円。
名手が作る窯焼き料理をイタリアンソースで。
トロカジキマグロ1,800円にはアジョワンというスパイスが爽やかに利いたフレッシュトマトソースを。グラスワインは3種で各490円。
ネパールビールで始め、ネパールラムがシメ。
現地のお酒を堪能したら、セルフサービスのボトルワインを。スパイスの後味をサッと流せるキレのいいものがそろっている。
ネパールビールで始め、ネパールラムがシメ。
現地のお酒を堪能したら、セルフサービスのボトルワインを。スパイスの後味をサッと流せるキレのいいものがそろっている。

OTHER CHOICES

キクヤ
和の器に盛り付けたおばんざいのような創作スパイス料理を、オリジナルクラフトビールと共にいただける。定番のお好み焼きの中でもカレーおじさん\(^o^)/のおすすめ「烏賊」は、マスタードがガツンと効いている。立ち飲みも可。
住所:東京都世田谷区太子堂5-1-12 1F

ローカル渋谷
渋谷のど真ん中にあり、タイ料理や枝豆など“アジア”の多国籍料理が並ぶ。ネパール料理は現地出身者からも厚い支持を得ているそう。モモ(ネパール式餃子)、チョイラ(肉のマリネ)などはそれぞれ種類豊富で、食べ・飲み放題も実施。
住所:東京都渋谷区道玄坂2-28-2 2F

次回のゲストは塩崎省吾さんで、「行ってみたい焼きそばの名店」がテーマです。

photo_Kaori Ouchi illustration_Chihiro Yoshii text_Kahoko Nishimura

Videos

Pick Up

SP用トップ画像ハナコラボ パートナーが楽しむ、とっておきのホテルステイ実現の理由とは。これからの旅にはホテル提携のクレジットカードがお得! 〈ヒルトン小田原リゾート&スパ〉編。久しぶりに行動制限なしで外出を楽しめる今年は、旅行へのモチベーションが高まっている人も多いのでは。旅で使うお金や日常生活の支払いを一つのクレカにまとめると、ポイントや特典がついてお得に。貯めたポイントを次の旅行でも使えたりするから、クレカ選びは大切。今、旅行好きでコスパや特典重視の人たちにおすすめしたいのは、とっておきのホテルステイを驚くほどお得に実現できてしまうカード。 中でも注目すべきは「ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・カード」。料金の上がりがちな週末に世界中のヒルトングループのホテルに一泊無料で宿泊ができる「ウィークエンド無料宿泊特典」などがあり、年会費の元があっという間に取れてしまうと評判です。そこで、旅行好きのハナコラボ パートナーの二人がこのカードを体験してみました。毎日の決済やヒルトンでの滞在などでカードを利用しポイントを貯めている様子や、どんな特典を楽しんだかをリポートします(抽選で100名さまにAmazonギフトコードカード500円分が当たる読者アンケートを実施中。回答は記事の最後から) (PR/ヒルトン・オナーズ アメリカン・エキスプレス®・カード)Learn 2023.08.31 PR
ホテルインディゴ東京渋谷時代と共に変わりゆく街・渋谷を表現!〈ホテルインディゴ東京渋谷〉が誕生大型複合施設〈道玄坂通 dogenzaka-dori〉の上層階に、〈ホテルインディゴ東京渋谷〉が8月29日(火)開業。ここでしか体験できない、クリエイティブな渋谷を感じられる施設とは?気になる魅力をご紹介します。(PR/ホテルインディゴ東京渋谷)Travel 2023.08.29 PR