東京喫茶店研究所二代目所長・難波里奈さんがナビゲート。 今、行っておきたい、文化遺産的喫茶店。#5
喫茶店の醍醐味は人にあり! FOOD 2023.05.28

次々と消えつつある、古き良き昭和の純喫茶。店が紡いできた歴史と物語、人々の想いこそ、「文化遺産」そのものだ。そこで東京喫茶店研究所二代目所長・難波里奈さんが、喫茶店ラヴァーにはおなじみのお店、ビギナーも存分に楽しめるお店を厳選。「名物マスターとのおしゃべりを通して、店の歴史やエピソードに触れるとより純喫茶の魅力が深まります。店を受け継ぐ2代目、3代目の活躍やレトロでかわいい制服にも注目」

名物マスターの笑顔に癒される二軒。1.〈Café Deux〉

開業当時から店に立つ2代目の嵯峨雅芳さん。物腰が柔らかく、嵯峨さんの元には長年付き合いのある常連客から学生まで、幅広い年齢層の人たちが訪れる。「最近は、喫茶店文化を残したいと熱意をもった若者も来てくれる。うれしいね」。

2.〈珈琲専門店 エース〉

清水英勝さん(右)、徹夫さん(左)兄弟がマスターを務める老舗喫茶店。コーヒー好きの父に影響されたという二人のこだわりは強く、店には常時コーヒー40種、紅茶10種を取り揃える。英勝さん手書きのポップもかわいらしい。世代を超えて愛される店だ。

先代の想いを受け継ぐ、2代目・3代目。1.〈コーヒーハウスTOM〉

サラリーマンを経て、約20年前に自身の父から受け継いだ2代目の古巻大(だい)さんは、1年半前に店を代々木から実家の1階に移転。駅から離れているため、平日はゆったりとした時間が流れている。「豆の品種のみ、お客さんの要望で少しずつ変えています」。

2.〈喫茶ルオー〉

〈喫茶ルオー〉は、現在、2代目の山下淳一さんに代わり、息子の栄介さんが厨房に立つ。「70年以上歴史のある店なので、いまは常連の方をがっかりさせない、変わらぬ味を大切にしています」。東京大学の関係者が多数来るという店内では、グローバルな雰囲気が漂う。

個性際立つクラシカルな制服3選。1.〈gion〉

「襟元の“gion”の刺繍がポイントです」と、広瀬さん。
「襟元の“gion”の刺繍がポイントです」と、広瀬さん。

ピンクの壁にカラフルなライトアップといった独特な雰囲気を醸し出す〈gion〉。店主の関口宗良(もとよし)さんこだわりの制服は現在5代目だ。アルバイトの広瀬礼奈さん曰く「スタイルがよく見える」とか。人気の「ソーダ水」(470円)は、バニラアイスクリーム(180円)を追加するのを忘れずに。

2.〈珈琲貴族エジンバラ〉

「“かわいいね”と声を掛けてもらうこともあります」と、八木橋さん。
「“かわいいね”と声を掛けてもらうこともあります」と、八木橋さん。

新宿では知らない人はいない有名店の制服は、シャツと茶色のベスト、蝶ネクタイ。「体にぴたっとフィットするベストは、着るだけで背筋がのびます」と、副店長の八木橋千世さん。「ポテトグラタン」(880円)をはじめとするフードやサイフォンコーヒーなど、充実したメニューも魅力。

3.〈ギャラン〉

創業当時から変わらないポップな黄色×赤の配色。「男性スタッフは対照的にオール黒です」と、中川さん。
創業当時から変わらないポップな黄色×赤の配色。「男性スタッフは対照的にオール黒です」と、中川さん。

光り輝くシャンデリアにタイルの床など、心くすぐられる老舗は制服もかわいい。スタッフの中川凪さんは、喫茶店に憧れて働き始めた。「赤のタータンチェックのセットアップはあまり見ないのでお気に入りです」。オリジナルのコースターやフルーツパフェ(1,100円)など、写真映えするものばかり。

photo:Kenya Abe, Chihiro Oshima, Natsumi Kakuto text:Wako Kaneshiro, Moe Tokai, Ami Hanashima, Yoshie Chokki edit:Yoshie Chokki

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