【お寺の跡継ぎ・編集者】水野綾子さんのストーリー/「お寺を継ぐ未来を見据えながら 「複業」で軽やかに生きる。」
2020.05.24

第3回 ハナコと考えるSDGs 【お寺の跡継ぎ・編集者】水野綾子さんのストーリー/「お寺を継ぐ未来を見据えながら 「複業」で軽やかに生きる。」

最近よく耳にするようになったSDGs(Sustainable Development Goals)という言葉。「持続可能な開発目標」と訳され、2030年までに“誰一人取り残さない”よりよい世界を目指して17の国際目標が掲げられています。それは政府や企業の頑張りだけでなく、私たちがもっと意識して毎日を“変えて”いくための課題でもあるのです。そこでハナコは、SDGsについて読者のみなさんと考える特集を企画しました。今回は“わたしらしく働く”ことをあきらめない、お寺の跡継ぎ/編集者・水野綾子さんのストーリーを紹介します。
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自分の中に、どれだけ振り幅を持たせられるか。

お寺の跡継ぎ/編集者・水野綾子さん
熱海にある、実家の寺院にて。現在は、水野さんの父が住職を務める。

海の見える熱海の自宅に住みながら、週に1〜2度、東京へ通う。水野綾子さんがそんな生活を始めたのは、2017年のことだった。「実家のお寺を継ごうと決意したのは、2014年に父が体調を崩したことがきっかけでした。そこから、私が実際にお寺を継ぐことを想像して、お寺の役割や未来のお寺の形について、真剣に考え出したんです」当時、人の子を育てながら、東京で朝から晩まで働いていた彼女は、そんな生活をガラリと変え、実家に戻る決意をした。

お寺の跡継ぎ/編集者・水野綾子さん
お寺の境内に建てられた庫く裡り(自宅)の寝室からは、熱海の海が見える。水野さんの両親と夫、3人の子どもたちと共に暮らしている。

「熱海に戻ってからは家族との時間も増えました。とはいえ、仕事は好きだし、東京のスピード感や最先端の感覚は完全に捨てられない。熱海は東京からも近く、どちらも諦めずにグラデーション的に変化していける地だと思います。一つの地域やコミュニティに閉じるのではなく、行き来することでお互いの良さや、逆に足りないところが見えてきます。今は、自分の中に時間軸や目線をいくつも持てているのがいいですね」水野さんは現在、編集者、そしてお寺の次期住職と、様々な顔を持ちながら活動を続け、熱海では、「複業」を求める東京の人材と地元企業をマッチングするサイト「Circulation Life」も立ち上げた。

お寺の跡継ぎ/編集者・水野綾子さん
お寺の境内や本堂は、子どもたちの最高の遊び場。

「自分で経験してみて、〝複業〞という選択が、自身のキャリアの可能性を広げる手段として、今の時代の生き方にぴったりだと感じたんです。地方は人口が少ない分、個人が活躍できる余白もあります。そんな面白さも知ってもらいたいですね」水野さんが軽やかに様々な仕事を行き来している理由は、彼女の生き方に対してのスタンスにある。

「目の前にある波には乗ってみることにしてるんです。考える前にやってみる。ただしどんな時でも最善を尽くす。移住した時も、子どもを産む時もそうでした。実はしっかり計画したことは一つもないんです(笑)でも、抱えすぎるとパンクします。都度の優先順位づけや、捨てることも大事だと思います」しかし、そうして自由に飛び回れるのも、一つの軸があるからこそ。「私の軸は、これから継ぐお寺の住職。自分の中で、それだけは保つようにしています。今やっている様々な仕事も、実際にお坊さんになった時に、きっと役に立つ。人の生き死にに寄り添う仕事だからこそ、お寺がまた昔のように地域のハブのような存在になるには、お坊さん自身の経験の振り幅や中立の目線が必要になると思うんです」複数の仕事に携わることで、良いことが重なり、何倍にもなる。それが不確かな時代を生きる私たちに必要な考え方かもしれない。

【わたしが影響を受けたもの】『王家の紋章』細川智栄子

お寺の跡継ぎ/編集者・水野綾子さん
(秋田書店/既刊65巻/419〜454円)

私が歴史好きになるきっかけとなった漫画。今の時代は瞬間で物事が回っていますよね。だけど、自然や人生は、もっとゆっくり回っているはず。そんな長い時間軸を体感するために、定期的に歴史ものを読んでいます。

Profile/水野綾子(みずの・あやこ)

1985年熱海市生まれ。3児の母。雑誌の編集やPR戦略などを経て、2020年に独立。熱海のまちづくりにも関わり、2拠点、複業(副業)など「多様な働き方」を熱海で実践し、発信している。
■Instagram:@ayako_miz

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」について。

昨年、国際労働機関(ILO)が発表した日本における女性の管理職比率は、全世界平均27.1%に対してわずか12%。この国は女性にとってまだまだ働きにくい環境だといえます。今後、世界中が一丸となって、女性の力をもっと引き出せるような取り組みが進められていく中、私たちも自分の働き方についてポジティブに見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。
Hanakoは“わたしらしく働く”ことをあきらめない、女性のストーリーを紹介します。

(Hanako1184号掲載/illustration:Nodoka Miyashita photo:Takehiro Goto , MEGUMI, Yoshiki Okamoto text:Makoto Tozukai, Rie Hayashi, Narumi Sasaki, Rio Hirai edit:Rio Hirai)

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