働く女性のための転機の準備 投資の第一歩を踏み出そう!経済アナリストに聞く、NISAとiDeCoの違い。
将来のことを考えて、資産運用に興味はあるけれど、何から始めればいいのかわからない!そんな初心者に、NISAとiDeCoの違いからおすすめの金融商品まで、専門家が投資のイロハを伝授します。
長期的な視野を持ち、今から少しずつ積立を。
給料はなかなか上がらないし、貯金も増えない。お金は欲しいけれど、何とか生活できている。そもそも資産運用は本当に必要なのだろうか。「世界中でインフレが加速し、さらに日本では円安が進行しています。今後も物価の上昇、エネルギー価格の高騰は避けられないので、生活は厳しくなる一方。それに日本はこの30年、賃金が停滞し続けていて、世界から遅れをとっています。円の価値が下がれば、資産が目減りするので、資産を円だけで持ち続けるのは危険。今のうちから資産運用して、お金に働いてもらう必要があります」と、経済アナリストの馬渕磨理子さん。
資産運用を始める時に利用したいのが2種類のNISAとiDeCo。その理由は、本来投資で得た利益に対しては約20%の税金がかかるが、これらの制度を利用すれば非課税になるから。それ以外の仕組みは大きく異なるので、どれを始めるかはじっくり比較してから口座を開設しよう。「投資の基本は、『長期・積立・分散』。時間を味方につけて、毎月少しずつ積み立て、世界中の株や債券に投資を行えば、資産を堅実に増やせる可能性が高くなります」
【個人型確定拠出年金】iDeCo
老後資金づくりを目的とした個人型確定拠出年金。国民年金や厚生年金を支払っていることを前提に利用可だ。自分自身で運用しながら積み立てていき、原則60歳以降に年金または一時金で受け取ることができる。NISAとの違いは、掛金が全額所得控除の対象になること。「毎年の所得税や住民税が軽減されるので、NISAに比べてiDeCoの方が、節税効果が大きい。受け取る際も退職所得控除や公的年金等控除の対象になります。老後の準備としてや、家計の助けにも」(馬渕さん、以下同)。
掛金は毎月5,000円から1,000円単位で選べ、上限は各被保険者種別や企業年金制度の加入状況などにより異なる。運用商品は、投資信託、保険資産、定期預金で、自営業者なら月額6万8000円、会社に企業年金がない会社員や専業主婦(主夫)は月額2万3000円が上限。「フリーランスなど、公的年金だけでは老後が不安という方におすすめ。ただし60歳まで引き出せないことを頭に入れておきましょう」
【少額投資非課税制度】1.つみたてNISA
2018年に開始された少額投資非課税制度。加入できるのは、日本在住の20歳以上(2023年1月以降は18歳以上)。年間40万円を上限に、毎月一定額を同じ投資信託に継続的に積み立てる仕組み。最長20年間、利益は非課税になる。運用商品は、金融庁が定めた要件を満たした投資信託。
「何千本ある投資信託の中から金融庁が、低コストで長期の資産運用に向いていると判断した約200本を厳選。リスクを極力抑えながら長期的に資産運用できるので、投資初心者をはじめ、幅広い年代の方が利用しやすい制度。またiDeCoと違っていつでも資産を売却して手元に戻すことができるので、老後にかぎらず将来に向けた資産づくりや万が一の備えにもピッタリです」。
iDeCoとの併用は可能で、NISAとの併用は不可だが、年ごとにどちらかにスイッチすることはできる。非課税期間終了後は、自動的に課税口座に移されて、引き続き運用するか、売却するかを選ぶ。
2.NISA
つみたてNISAと混同しないように、「一般NISA」と呼ばれることが多い、中長期の運用を促進する制度。加入できるのは、日本在住の20歳以上(2023年1月以降は18歳以上)。年間120万円まで、5年間非課税で投資・保有できる。運用商品は、国内株、外国株、投資信託。一度にまとまった金額を好きなタイミングで投資することもできれば、つみたてNISAのように毎月一定額を積み立てていくこともできる。
「積極的に投資したい、個別株に興味がある方はNISAがおすすめ。さらに投資信託だけで2,000本以上の幅広い商品があり、利回りの高さが最近話題になっている不動産投資信託『REIT』も選べます」。iDeCoとの併用は可能だが、つみたてNISAとの併用は不可。利益はもちろん、上場株式などから得られる配当金、投資信託から得られる分配金(つみたてNISA同様)も非課税になる。非課税期間終了後は、新たな非課税投資枠への移管により、継続保有が可能。
Navigator…経済アナリスト・馬渕磨理子(まぶち・まりこ)
日本金融経済研究所代表理事。フジテレビ『FNN Live NEWS α』、TOKYO FM『馬渕・渡辺の#ビジトピ』など、メディア出演多数。