ミシュランガイド三ツ星「高尾山」で憧れの縦走に挑戦。 初心者でも楽しめる!東京の山・高尾山の「奥高尾ミニ縦走ハイキングコース」前編 LEARN 2019.06.13

都心から1時間ほどでアクセスできる東京の山・高尾山。山頂から一歩脇道にそれると、静かな登山道がのびています。初心者でも楽しめる、憧れの“ミニ縦走”にチャレンジしよう!

知る人ぞ知る、高尾の奥の縦走路。

山頂を往復するのが縦移動だとしたら、縦走は横移動。尾根づたいに歩きながら変わりゆく風景を見るのが最大の楽しみ。
山頂を往復するのが縦移動だとしたら、縦走は横移動。尾根づたいに歩きながら変わりゆく風景を見るのが最大の楽しみ。

東京都民の憩いの山、高尾山。都心から電車で1時間ほどの場所にありながら豊かな自然が息づく森は、富士山と並んでミシュランガイドで三ツ星に選ばれ、海外から足を運ぶ人も多い。高尾山の山頂へ向かうルートはさまざまあって、途中までケーブルカーやリフトを使って登る楽ちんルートや健脚向けルート、水を感じられるルートもある。一緒に登る人の登山経験や季節に合わせて、何度でも楽しめるのも高尾山の魅力だ。
「高尾山って人が多くて、観光地って感じでしょ」という人がいる。確かに季節のいい休日には混雑することはあるが、ミシュラン三ツ星を甘くみてもらっちゃ困る。静かにゆったりと山歩きを楽しみたいという人の希望にだって、ちゃんと応えてくれるのが高尾山の懐の深さなのだ。

高尾山はスミレの王国。約60種のスミレが自生し、タカオスミレやコボトケスミレなど高尾山で初めて発見された種類も。麓の〈TAKAO 599 MUSEUM〉ではスミレの標本が見られるので、登山前に勉強するのもおすすめ。
高尾山はスミレの王国。約60種のスミレが自生し、タカオスミレやコボトケスミレなど高尾山で初めて発見された種類も。麓の〈TAKAO 599 MUSEUM〉ではスミレの標本が見られるので、登山前に勉強するのもおすすめ。

「縦走」という言葉を聞いたことがあるだろうか。単に山頂を往復するだけではなく、山と山をつなぎ、尾根を伝って歩くこと。高い山を幾日もかけて「縦走する」というイメージが強いかもしれないが、標高599mの高尾山でだって縦走はできる。つなぐといっても小さな山々だからアップダウンは少なく、距離も短め。初心者でも憧れの縦走を体験できる格好のスポットなのだ。

風を感じられるリフトでいざ出発。

ケーブルカーとリフトが発着する山麓は京王線高尾山口駅から徒歩5分ほど。
ケーブルカーとリフトが発着する山麓は京王線高尾山口駅から徒歩5分ほど。

スタート地点は山頂を目指す人々と同じ京王線高尾山口駅。

ケーブルカーは快適だけど、風を感じられるリフトがお気に入り。季節ごとの花が見られたりと、山の奥へ入っていく感じに胸が高鳴る。
ケーブルカーは快適だけど、風を感じられるリフトがお気に入り。季節ごとの花が見られたりと、山の奥へ入っていく感じに胸が高鳴る。

すぐ登山道に入って徒歩で山頂を目指す人も多いが、私たちはリフトで山の中腹までひとっとび。リフトを降りると髙尾山薬王院へと続く参道へ出る。

天狗が人々の願いを叶えてくれる〈薬王院〉へ。

〈薬王院〉の本堂から階段を上って奥宮へ。リフト降車駅から本堂へ続く男坂の階段は煩悩と同じ108段。辛いけどお清めと思えば頑張れる!
〈薬王院〉の本堂から階段を上って奥宮へ。リフト降車駅から本堂へ続く男坂の階段は煩悩と同じ108段。辛いけどお清めと思えば頑張れる!

高尾山は古くから信仰の場として参拝者が訪れた霊験あらたかな山。薬王院本堂には飯綱権現が祀られ、その随身とされる天狗が人々の願いを叶えると信じられている。いたるところで天狗様のモチーフを見るのは、この天狗信仰のゆえんなのだ。

参拝したあとはおみくじをひいて。厄除けのほか、学業成就などお守りも種類豊富。
参拝したあとはおみくじをひいて。厄除けのほか、学業成就などお守りも種類豊富。

山頂から一歩それれば、静かな登山道が続く。

奥高尾縦走路は、高尾山頂から神奈川県と東京都にまたがる陣馬山まで続く約18㎞の尾根道。途中、城山、景信山などの山々があり、それらをつないで歩く。途中途中に下山路があるので、体力に合わせて計画を立てて。
奥高尾縦走路は、高尾山頂から神奈川県と東京都にまたがる陣馬山まで続く約18㎞の尾根道。途中、城山、景信山などの山々があり、それらをつないで歩く。途中途中に下山路があるので、体力に合わせて計画を立てて。

薬王院を過ぎると山頂はすぐそこ。天気がいい日には富士山を望め、ここまで来ただけでも達成感は充分。でも、私たちの縦走はここがスタート地点。展望台右手にある小道を入ると、「これより奥高尾」という道標が目に入る。高尾山の奥へ続く道だから「奥高尾」。この尾根をずっとたどれば、神奈川県と東京都にまたがる陣馬山まで歩ける。今回は途中の景信山をゴールとしたけれど、どこまでも歩いて行けるこの旅のような感覚は縦走ならではだ。

山頂を過ぎて奥高尾縦走路に入ると、本格的な山の風景が広がる。アップダウンはゆるやかだが舗装された道ではないので足元は登山靴で。
山頂を過ぎて奥高尾縦走路に入ると、本格的な山の風景が広がる。アップダウンはゆるやかだが舗装された道ではないので足元は登山靴で。

奥高尾の魅力はその静けさ。高尾山頂まではハイヒールを履いたおねえさまも目立つけれど、ここから先は登山靴とリュックを身に着けた「山ヤ」さんだけ。知らない者同士でもすれ違うときには必ず「こんにちは」と声を掛け合うのも、一人前の登山者になったみたいで誇らしい。

(Hanako1133号掲載/photo : Kasane Nogawa text : Yuriko Kobayashi)

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