「暮らしの中で気づく一つ一つのことを、もっと仕事に繋げていけたら」。日々の暮らしが、店を育てていく。
2018.08.12

「鎌倉とわたし」 後編 「暮らしの中で気づく一つ一つのことを、もっと仕事に繋げていけたら」。日々の暮らしが、店を育てていく。

器ファンに愛される暮らしの雑貨店〈夏椿〉。今春、この店が鎌倉に移転したことは雑貨好きの間でちょっとしたニュースだった。鎌倉の新たな遺産と呼ぶべき新店へ、新緑に包まれる佐助の谷戸を訪ねた。前編はこちら。

編集部 / Hanako編集部

「東銀座にある編集部からお届けします!」

編集部
  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア

かつてリビングだったという部屋。無垢板を貼った壁、美しい陶板 タイルの装飾が家の歴史を物語る。木工作家・荒井智哉さ んの黒漆椀、おおやぶみよさんのガラスの花器など。
「一軒家でお店をやるのは、生活の中で実際にどう使うのか、お客様がイメージしやすい環境を作りたいから。たとえば庭の花を花器に生けて飾れば、〝あ、こうも使えるんだ〞とお客様により分かっていただけるでしょう?」

と和やかに語りながら、届いたばかりというガラス作家・蠣崎マコトさんの 「泡鉢」に庭で摘んだ黄菖蒲を浮かべ、 縁側に飾る。気泡を含んだガラス鉢に鮮 やかな黄色が揺らいで、実に清々しい。 眺めていると、ガラスの花器を屋外で使うのも良いな、と気づかされる。

天然染め工房〈マキマロ〉のウエアは〈夏椿〉の定番。

そう、恵藤さんが何より大切にしているのは、自身で「使う」ということ。料理を作って器によそって食べ、服を纏い、 使い勝手や着心地の良さを確かめる。
「天然染めの服はずっと素敵だなと思っていたのですが、着たいと思えるデザインがなかった。それで作り手の方と〝もっとこんなデザインがあったらいいね〞 と相談して微調整してもらう、そんな感じです。器もそう。たとえば蠣崎マコトさんは、私がステム(脚)付きのワイングラスが欲しくて相談したのが始まりで、 今では店の定番シリーズになっています。 自分が欲しいもの、使いたいものを作ってもらった方がお客様にも説明しやすいし、やはり自分が好きなものでないと、 気持ちを込めて売れないですよね」

リビングルームには、以前はグランドピアノが置かれていたとか

彼女が好きなもの、ライフスタイルすべてが〈夏椿〉の礎となっている。「食事を作るときに〝こうだったらいいな〞と思う。そんな暮らしの中で気づく一つ一つのことを、もっともっと仕事に繋げていけたら」と恵藤さん。

人気の木工作家・須田二郎さんの桜のボウルなど。

「山の中に住んでいる陶芸家さんを訪ねると、生活と仕事が一体化しているよう で、ずっと羨ましかったんです。鎌倉に暮らすことで、自分もよりその生活に近づけるんじゃないかって。田舎であって都会でもある鎌倉は、緑豊かなだけでなく素敵なレストランや雑貨店がたくさんあって、散歩が楽しい街。駅から約分の道のりも自然の中を歩いてもらえるか ら、世田谷時代よりも遠さを楽しんでいただけるんじゃないかな(笑)」

客と言葉を交わし、庭の手入れをし、料理をする。そんな日々の暮らしが、店を育てていく。〈夏椿〉は早くも鎌倉を象徴する存在として、街になじみ、街とともに新たな時間を紡ぎ始めている。

■前編はこちら。

〈夏椿〉
■0467-84-8632
■神奈川県鎌倉市佐助2-13-15
■11:00~17:00 
■月火休(祝は営業、振替休日あり)
■natsutsubaki.com

(Hanako1158号掲載:photo : Kenya Abe text : Yoko Fujimori)

編集部

自分が好きなものがまた誰かへと。想いの詰まった素敵な方でした。

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • LINEでシェア
日比谷のまちを、おいしく生きる。
TOPに戻る