アジア料理研究家に聞いた! ネクストパクチーはどれ?エスニック料理作りでおさえたいアジアのハーブ・野菜12。 FOOD 2019.05.21

大ブームになったパクチーも、今やすっかり日常に定着した感があります。でも、アジアにはまだまだ面白いハーブや野菜がいっぱい。今後注目を集めそうなものをアジア料理研究家の外処佳絵さんに聞きました。

INDEX

1.レモングラス…シンガポール・インドネシア・タイ・マレーシア・ベトナム

レモングラス1

東南アジア各国料理には欠かせないハーブ。レモンに似た爽やかな香りの中に青臭さもあり、肉や魚の匂い消しに重宝する。香りの強い根元は叩いて使うことで、さらに香りが引き出される。上部の繊維が多い部分はお茶にすることも。

2.ミント…タイ・ベトナム

ミント1

いろいろな種類があるなかで、ベトナム料理に多用されるのはスペアミント系。バインセオや生春巻き、フォーにも欠かせない。クセがあまりないので使いやすい。牛肉との相性もよく、炒め物に使うと臭みを消し穏やかな清涼感が加わる効果も。

3.クラチャイ…タイ

クラチャイ1

カーに似たショウガ科の香辛料。細くて白いゴボウのような形状。和名はガジュツ。白ウコンとも呼ばれる。辛味は少なく苦みが強い。魚介料理の臭みを取るのによく使われる。グリーンカレーやスープに使われる頻度も高い。

4.ディル…ベトナム

ディル1

欧米料理でもポピュラーな、爽やかな香りのハーブ。生食よりも、料理の香りづけに茎ごと使われることが多い。魚介料理には必需品で、魚と一緒に炒める料理「チャーカー」が有名。イカやあさりのスープに加えると、風味が格段によくなる。

5.バイ・ガパオ…タイ

ホーリーバジル1

タイ語でガパオは英名のホーリーバジルのこと。インド原産で古代からメディカルハーブとしても使われてきた。バイ・ホラパーよりさらに香りが強くスパイシーで、ミントのような刺激的な味わい。本来のガパオライスには必ずこちらが使われる。

6.ノコギリコリアンダー(パクチーファラン)…タイ・ベトナム

ノコギリコリアンダー1

その名前の通り、細長くギザギザした葉が特徴。普通のコリアンダー(パクチー)よりも香りが強く個性的。料理の仕上げにそのままや刻んで加えることが多い。ベトナムでは、パクチーと並んでこちらも、フォーのトッピングには欠かせない。

7.バイ・マックルー…タイ

バイマクルー1

日本名は「こぶみかんの葉」。英語でカフィア・ライム・リーフという名前の通り、ライムのような柑橘系の香りがする。トムヤムクンやグリーンカレーには必ず使われるほか、刻んでトードマンプラー(さつま揚げ)に入れるなどタイ料理には必需品。

8.ラオラム…ベトナム

ラオラム1

和名はヤナギタデ。ドクダミとパクチーを合わせたような独特の強い香りと辛味があり、消化促進や解毒作用があるといわれている。日本ではまだあまりなじみがないハーブだが、ベトナムでは一般的。これも、フォーのトッピングに欠かせない。

9.ホームデーン…シンガポール・インドネシア・タイ・マレーシア・ベトナム

ホームデーン1

小さい玉ねぎのような形をしている、エシャロットの雑種。和名では「あかわけぎ」。味が濃く、炒め物の香味野菜やサラダの具材、トムヤムクンの仕上げとしてよく使われる。手に入らない場合は、赤玉ねぎで代用されることも。

10.カー(英名ガランガル)…タイ

カー1

ショウガ科の香辛料で見た目も日本のショウガに似ているが、独特の強い香りがある。木の根っこのように繊維が多くて固いので、生食には向かない。通常、トムヤムクンや煮込み料理などの香り付けに、皮ごと叩いたり、薄くスライスして使う。

11.コリアンダー(パクチー)シード…タイ・ベトナム

パクチーの種1

乾燥させた種のままか、粉状にして売られている。生のパクチーとは異なる穏やかな風味で、柑橘系の香りがあり甘味もある。カレーパウダーやガラムマサラには必ず入っているスパイスのひとつ。アジア料理全般に幅広く使われている。

12.バイ・ホラパー…タイ・ベトナム

スウィートバジル1

英名はスイートバジルだが、イタリア料理で使われるものよりも葉が小さめで、香りが強く野性味がある。茎が青紫なのが特徴。カレーや炒め物の香り付けに多用される。サラダに散らして生でそのままの風味を楽しむ使い方も。

アジア料理を際立たせる、バラエティ豊かな香草類。

アジアの料理が大好きで、各国を旅しては現地の素材に触れ研究を重ねている外処佳絵さん。
「アジア諸国には、日本にはない野菜やハーブがまだたくさんありますが、ここでご紹介するのはその代表的なもの。特にアジアンハーブはアジアの料理には不可欠です。クセの強いものも含め、どれもすごく上手に使いこなしていて驚きます」

たとえばパクチーにしても、葉や茎はもちろん、根までしっかりと活用するのがアジア流。
「根をきれいに洗って、白粒胡椒とにんにくと一緒にペースト状にし、料理に活用します。ベトナムではディルの茎を料理に使いますし、日本でももっといろいろな食材と食べ方が紹介されるといいですよね」

外処佳絵/アジア料理研究家。国際中医薬膳師。台湾・香港・韓国・タイ・ベトナム等の現地の料理学校・教室にて、アジア料理を中心に学ぶ。料理教室「PANDA KITCHEN」主宰。

(Hanako1140号掲載/illustration : Etsuko Nagaoka text : Riko Saito)

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