「伊太利亜 ミラノ村からBuongiorno!」第3回 犬も歩けば栗に当たる!?出歩けばそこかしこで美味しい栗に出会える、秋のミラノ。 LEARN 2018.11.27

人生の転機でミラノへ引越しした元築地OLによる、伊太利亜通信。街を駆けまわるのが大好きな好奇心旺盛の食いしん坊が、意外と田舎でミニサイズの愛すべきミラノから、リアルな日常をお届けします。第3回は、栗にスポットライトを当てました!

街中にあふれる、栗。

C9FF9776-BC63-4B1E-826E-834DCD459E43

洋服屋、眼鏡屋のショーウィンドーにも栗が出始めると、秋の到来を感じるものです。イタリアではよく、季節のもの、旬のもの、をファッションと一緒に陳列してしまいます。ほかに秋のものといえばヘーゼルナッツのタルト、クリスマスシーズンにはワイン、グラッパ、パネットーネ(パン菓子)、などなど今までに目にしたもの数知らず……。不思議とファッションアイテムとの相性も抜群で、毎回イタリア人のセンスには脱帽します。

00B05FE7-1F18-43B1-8AE7-E42BE96DD91C

街を歩いていると、「Caldarroste」(焼き栗)と書かれた看板も目にします。〈ドゥオモ(大聖堂)〉前の広場に出ている移動式の売店でも、焼き栗。今年の10月、ミラノは比較的暖かく気候に恵まれましたが、毎年この時期になると霧が出て空気がツンと冷えるため、焼きたての栗の温もりが有難いんです。

A15EF81D-EE3E-4134-9A6F-2A4AB59B1519

さらに歩を進め、パン屋の前を通ると、ショーケースの中に見つけることができるのが「Castagnaccio」(カスタニャッチョ)。小麦粉を使わず栗の粉、牛乳、砂糖、塩、油で作られた、この時期ならではのシンプルなケーキのようなもの。水分を含んでしっとり、ぷるんとしていて、まるで日本の羊羹のような食感。ずっしり重く食べ応え抜群なのに、余計なものが入っておらずとにかく素朴。甘さ控えめで気に入っています。厳密にはケーキではなく一種のフォカッチャのような食べ物なので、ケーキ屋ではなくパン屋に置かれているのです。

100年以上の歴史を持つ、老舗のマロングラッセ。

EAFC2720-5D30-4663-92C2-7605AD2B0A70

ドゥオモから程近い場所に、「marroni canditi」(マロングラッセ)で有名な〈 Giovanni Galli 〉があります。このお店のマロングラッセには普通の栗の2倍以上はありそうな巨粒の栗が使われているため、ずっしりとした重みがあります。べたつきもなく、ねっとり柔らか。初めて食べたとき、あまりの感動に翌日また出向き、なぜこんなに美味しいのかを聞いてしまったほど。栗はナポリ近郊で採れたものを使い、それに、砂糖、水、バニラのみを加えて作られているそう。栗本来の美味しさが引き出される製法は、企業秘密です。

A0B388E2-AB9F-4F77-B616-4A15AFD7068E

このマロングラッセは、イタリア人顧客のみならず世界中から人気を博しました。なんと、最も人気に火がついたのは日本!お茶請けにも、もってこいです。

A8B50B01-2020-47BD-8046-9A2F8A5B323D

〈ポルタ・ロマーナ大通り〉にある本店のカウンターは第二次世界大戦の爆撃から幸運にも逃れたもので、今でも変わらずに使われています。雰囲気のある昔ながらの佇まいが素敵です。

D5554ED8-59A2-4D12-8606-8CABB72AF652

マロングラッセ1粒、約2.5ユーロ(約325円)。量り売りのシステムです。そのほかに注目すべきものは、マロングラッセの外側がブラックチョコレートでうっすらとコーティングされた「marroni canditi con cioccolato」(写真中央下)。チョコレートが栗の甘さを引き立てていて、とっても美味しい!良いコンビネーションです。

知っているようで知らない「モンブラン」!?

栗にまつわるケーキといえば「モンブラン」。イタリアに来て間もない頃、そう、ちょうどこの季節にモンブランが食べたくなり、探しまわったのですが見当たらず…。それもそのはず、馴染みのあった細くひも状にクリームが乗せられたモンブランとは見た目が全く違うことに気が付いたのです。
イタリアでは「モンテ ビアンコ」、フランスでは「モンブラン」と呼ばれ、どちらも“白い雪山”(イタリアとフランスの国境にある山)を意味しているため、生クリームが高く険しい形に盛られていたのです。

23C762B7-7B3B-4F8C-90EE-5C7487D7C522

これは〈 Pasticceria San Gregorio 〉のクラシックなモンブラン。砕いたチョコレートがザクザクと乗った生クリームの内側に、細かくなったマロングラッセのかたまりがごろごろ。さらに、さくさく軽い食感のメレンゲも埋まっています。まさに雪山!下には甘さ控えめのチョコレートクリームが待ち構えていて、盛りだくさんの内容です。2人前のモンブランですが、4人で食べても満足できそうなほどボリューム満点!量り売りで、今回は19.2ユーロ(約2,496円)。

EE28D283-19FC-4E48-A519-986CC0740F08

店内は独特で、色々なものが無秩序に飾られています。幾つものパネットーネが天井からぶら下がっていたり、イギリスから取り寄せたというMr.Beanが描かれた車が置かれていたり。イギリスの右ハンドルから左へ、そしてナンバーもミラノのものに変えたというこだわり様(笑)一見の価値ありです!

33890FD9-CD78-4BA0-B2E0-B3D7E172736D

絶品!栗のリゾットが味わえる、修道院を改装したレストラン。

ミラノの中心部から少し離れた緑豊かな郊外に、美味しい栗のリゾットを提供するお店があるんです。

44C25631-E852-4CA1-AAC3-75A663A6749A

もともとは古い修道院だった〈4cento〉は、その広々としたスペースを活用し開放的な空間を提供する、モダンなお店。なんだかミラノにいることを忘れてしまいます。

CF4CC761-15DB-46E5-B90A-936DE20AD18B

栗のリゾット「risotto alle castagne e rosmarino」は10月中旬から2〜3ヶ月続く、季節限定の夜だけメニュー。熱々の濃厚チーズリゾットの中にたっぷりと入った栗の甘さが引き立つ、期待以上の逸品です!さらにローズマリーの香りが効いていて、粉状のリクリツィア(甘草)がふりかけられているため、複雑な味わいに。量もしっかりしているのに、12ユーロ(約1,560円)と、お手頃。わざわざ食べに行きたい、パーフェクトなリゾットです。

~今回ご紹介したお店はこちら~

〈 Giovanni Galli 〉
■住所:Corso di Porta Romana 2, 20123 Milano(またはVia Victor Hugo2にも店舗があります)
■アクセス:メトロM3「Missori」駅から徒歩1分(Via Victor Hugo の店舗はドゥオモ広場から徒歩3分)
■営業時間:8:30~19:45(日曜日のみ9:00~13:15)
■定休日:なし

〈 Pasticceria San Gregorio 〉
■住所:Via S.Gregorio 1, 20124 Milano
■アクセス:メトロM1「Porta Venezia」から徒歩3分。
■営業時間:5:00~22:00
■定休日:なし

〈4cento 〉
■住所:Via Campazzino 14, 20141 Milano
■アクセス:メトロM3「Brenta」駅近く「Brenta M3」よりバス34番に乗り換え、「Via Ripamonti Via Quaranta」下車徒歩9分。
■営業時間:12:00~15:00(日曜日は12:00~16:00)、19:00~2:00(土曜日は夜のみ営業)
■定休日:月曜日

Videos

Pick Up